経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

知財活動・真の目的~5つのパターン

2010-01-19 | 企業経営と知的財産
 中小企業の知財支援に関して、昨年のいろいろな活動を通じてまとめてみたのがこの図です。先月のダイワベンチャーランドのコラムにも書きましたが、要するに、知財に取り組む目的を明確にし、その上で実際にワークし得る仕組みを作らないと、知財活動が企業活動の一部として定着し、経営上の成果に結びつけることは難しい。下側の一般的な知識を提供するだけでは単なる押し込み販売で、上側の各企業の実態にあわせた適用をやっていかないと、企業活動をサポートすることにはならない。その上で、左側のコンセプトを書くだけで右側の仕組みがないとかけ声倒れで終わるし、右側の仕組みを作っても左側の目的が不明確だと空回りしてしまう。極めてシンプル、そんなこと当たりまえでしょうといったフレームワークではありますが、いろんな企業の例をここに当てはめてみることで、知財活動が定着して成果に結びついている企業はどうやって回っているのか、逆に成果が十分でない企業はどこがネックになっているのか、わかりやすく整理することができるので、結構役に立ちそうな感じです。

 さて、その左上の「目的」の部分ですが、最近セミナーなどでお話をさせていただく際には、おそらくこれが全てではないと思いますが、私なりに見つけたいくつかの目的を4つに分けて説明しています。そこに先日、5つめに分類できそうなものを見つけたので、ここでは「知財活動・真の目的~5つのパターン」として整理しておきたいと思います。

① 参入障壁形成⇒収益力強化型
 差異化要素となる知財を知財権で固め、高シェア、高利益率を実現する、という最も典型的・教科書的なパターンです。
② 知財の可視化・権利化⇒財産形成型
 目に見えない技術やブランドを可視化し、知的財産権で括ることで企業の財産であることを明確にする。これをやらないと、人とともに知財も流出、という事態を避けられない。不動産に投資した場合であれば、登記して企業の資産であることを明らかにするのは当たり前のことです。
③ 縦方向の力関係規定型
 知的財産権というと対競合、という方向に考えてしまいがちですが、設備等の受注元や発注先との関係で、ボーダーラインにあるような知財を自社側に囲い込むことによって、交渉力を強化する。これは、販売先との価格交渉力の強化、外注コストの削減等に有効に働くものです。
④ 社内のレベルアップ型
 発明提案制度によって創意工夫を促し、社内を活性化する。特許出願で発明を特定する作業により、自らの生み出した技術を客観的に把握し、新製品の提案に結びつける。こうした社内の活性化・レベルアップを重視するパターンです。
⑤ 楔打ち込み型
 製品やサービスの差異が表現しにくい場合に、「特許」という楔を打ち込むことでその中から選ばれる理由を表現し、プロジェクト全体の受注に結びつける。どうも公共・公益系に比較的生じやすいパターンのようです。

 企業の抱えている課題に対して、どれか1つでも解決策になりそうなものがあれば、知財に力を入れてみる価値があるかもしれない。いずれも「これだけでは何のことやらわからん」って感じかもしれませんが、後日、できれば詳しく書いていきたいと思います。


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