経営の視点から考える「知財発想法」

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中小企業の底力・特許の力で引き出そう

2015-04-18 | 企業経営と知的財産
 本日は「発明の日」ですが、昨日の日刊工業新聞の発明の日・特集記事に寄稿させていただいたコラムの本文を、以下に転載します(掲載前の元原稿のため、紙面掲載文とは若干の違いがあるかもしれません)。ややエモーショルな感じの仕上がりになってしまいましたが...


特許の力を活かして中小企業の底力を引き出そう

 手間や費用がかかるのに、どうして特許を取得する必要があるのか。中小企業関係者との間でよく話題になるテーマだが、多くの場合、特許の専門家からは次のような答えが返ってくるであろう。技術を模倣されないため、市場を独占するため、ライセンスで稼ぐため...
 では、現実に目を移してみるとどうだろうか。たしかに、自社製品に関連する特許権を取得して、高収益を実現している中小企業が存在している。特許権が参入障壁として働いていることが推測されるが、そうした企業が競合に積極的に権利行使しているかというと、必ずしもそうではない。参入障壁として機能する他に、何か違うメカニズムが働いているのではないだろうか。
 そうした疑問を抱いているとき、特許活用の成功事例としてよく知られているある中小企業の経営者に、次のようなお話を伺った。
「当社の製品は、特許があるから売れているのではない。製品がいいから売れるのだ」。「だから、なによりも重要なのは製品開発である」。
まさにそのとおり。顧客が製品を購入する理由は、特許があるからではなく、その製品が欲しいからだ。しかし、ここで一つの疑問が湧いてくる。製品開発が最重要と言いながら、なぜその企業は特許取得にも力を入れているのか。特許に費やす労力や費用も、製品開発に回すべきではないのか。
 その疑問に対する答えの1つは、特許取得のプロセスが開発力の強化に役立つということである。
 特許を取得しようとすれば、出願前に先行技術の調査が必要になる。調査を通じて既存の技術水準を客観的に把握し、未解決の課題を乗り越えなければ特許を取得することはできない。特許取得を目標に製品開発に取り組めば、開発された製品は、これまでの悩みを解決する新たな機能を備えた製品となるはずである。その経営者の言葉を借りれば「当社が世に出す製品は常に新しい」ことになる。その分野をリードして、新たなトレンドを作り出す存在となっていることが、こうした企業が競争優位となる最大の要因であり、特許取得のプロセスがその支えになっているといえるであろう。
 さらにもう1つの答えを、多くの元気な中小企業と接するなかで発見することができた。特許の存在がオリジナリティーの証明となり、その企業で働く人々のプライドを支えているということである。
 特許を取得した事実は、自社の技術が世界初であることの客観的な証明になる。それは開発担当者のみならず、営業担当者にとっても、自分が扱っている製品は他にない最先端のものという自信につながる。営業の自社製品に対する自信や思い入れが、顧客の心を動かし、売上に結びつく。特許の存在が販売力の強化につながるのである。
 開発、営業にとどまらず、他にはできない仕事をやっているという意識は、社員の力を引き出す原動力になる。一人ひとりがプライドをもって生き生きと働いていれば、魅力のある企業として多くの協力者を惹き寄せ、社外の力を活かしてくことにもつながるであろう。
 他社を攻撃して、自社の技術を守ることだけが特許の活かし方ではない。法の力のみに頼らず、人の力によって支えられている企業こそが、本当に強い中小企業である。人の力を引き出し、開発力や販売力という企業の基礎体力強化にも役立つのが、特許のもう一つの働きだ。
 優れた技術、固有の技術を持つ中小企業は各地に存在している。特許の力でこうした中小企業の底力を引き出すことが、地方創生という国家的な課題への貢献にもつながるはずだ。
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