ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

マーク・エディ・スミス「指輪物語の真実」

2003年05月06日 | 旧指輪日記
実はこの本、自分では買ってません(汗)お借りしたものです。
どういういきさつで書かれた本なのかなーと思ったのですが、出版年は2002年で、明らかに映画人気に便乗したもよう。作者のスミス氏は、アメリカ在住の、「指輪」が出版されている出版社で仕事をしている人で、作家でもあるようですが、どうやら英文学の研究家等ではないようです。ただし、熱心な「指輪」ファンとのこと。これらから類推するに、氏が勤める出版社から、「指輪」ファンということで「何か書かないか」と声がかかった、ということのようですね。
原題は「Tolkin's ordinary virtues」。直訳すると「トールキンの普通の美徳」・・・。確かにこのままのタイトルでは日本では売れないでしょうね・・・(汗)
紹介文を読んだイメージだと、「指輪」の中に現れている「聖書」との類似点を論証しているのかと思いきや、まるで日曜学校のように「指輪」の中の記述から教訓を学びましょう、というものでした・・・(汗)
ただし、熱心なファンなだけあって、的を外したことは書いてませんし、「美徳」を表している部分というのが、結局は私たちが感動する部分だったりもするので、面白いことは面白かったです。
やはり、「指輪」のあの心をうつ物語は、キリスト教精神が下敷きになくては生まれなかったのかな、ということは感じました。だからこそ、後続のファンタジーが「指輪」の本質からは外れたものばかりになったのかもしれないし、日本であまりウケなかったのもそのせいかなーと。
しかし、「美徳」中心の内容だからなのか、ガンダルフやホビットたち(特にサム)についてはすごく良いことが書いてあるのですが、「美徳」から外れた行動を取る人物たちに対する解釈には非常に物足りないものがありました。特にエオウィンとデネソールについて・・・(サルマンやグリマなんかほとんど触れられてもいなかった(汗))
トールキンが「指輪」を書くにあたって、確かにキリスト教精神を下敷きにした面もあったでしょうが、それだけではない、人間の暗さや愚かさも描かれていると思うのですよね。だから、この本で書かれていることは確かにトールキンが書きたかったことの一面ではあると思うのですが、全てではないと思いました。
まあ、普段キリスト教に馴染んでない人間から見ると、目からウロコの部分もあり、そういう意味では面白かったと思います。

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