ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

世にも不幸なできごと4 残酷な材木工場(ネタバレ)

2005年05月21日 | 読書
昨日妹に図書館で借りてきてもらいました。4巻しかおいてなかったのですが、とりあえず映画で3巻までは見てるからいいか、ということで。
そしてもう読み終わってしまいました。薄いし、あっと言う間に読めちゃいますね。
以下感想を書きますが、映画のネタバレもちょっとだけあります。そして、「ハリーポッター」シリーズを引き合いに出して色々書いてるところがあります。「ハリポタ」の悪口読みたくない方は読まれない方がいいかも(汗)

読んでみて、意外に面白かったです。途中、工場でのひどい仕打ち?を描いているあたりは「つまんないかも(汗)」と思ったのですが、終盤のヴァイオレットとクラウスの(サニーもかな・・・)の活躍ぶりはなかなか面白かったです。
声を出して笑うほどではないですが、結構笑えるところもありました。
いきなりで出しから、「本というものは一行目を読むとだいたい内容がわかる」と書き出して、例としてありがちな児童文学の書き出しの例を3つほどあげていたのがすごく上手くて、これが一番笑えました(笑)
これを読んで、この作品は既成の児童文学にたいするアンチテーゼとして書かれているのかな、と思いました。映画を見てもちょっと思ったんですけど、やっぱりそういう感じか、と思いましたね。
そして、この書き出しだけ読んでも、この人上手いなあ、というか、頭いい人なんだなあと。
内容はとても子供向けで、大人にも耐えうる児童文学、というのとは激しく違いますが(汗)それは敢えてそういう風に書いているんだなあと、その書き出しのせいで思えました。
子供が楽しむように書かれている、或る意味真っ当?な「子供向け」の作品だなあと。
どうもこのシリーズは「ハリポタ」と比較されたりされがちなようですが、私も比較したくなってしまいます。やっぱり類似点があるので。
類似点としては、今までありがちだった、教訓を含んだ「大人にも耐えうる児童文学」とは一線を画して、あくまでも子供向けに書かれているということがあるかなあと。大人の立場で子供に「与えて」いるのではなく、子供の位置まで下りて、子供の視点に近いところで書かれているところが似ているかな、と私には思えました。だから、真っ当な大人は眉をひそめるような記述もあったりするのかなと。
しかし、私はどうも「ハリポタ」には好きになれない部分があるのですが、「世にも不幸な-」にはそういうのは感じませんでした。
その違いは、作者の視点にあるかなあ、なんて思いました。
「世にも不幸な-」では、大人たちは皆愚かで頼りになりませんが、その愚かな大人たちの描写は、現代社会の「大人たち」に対する痛烈な風刺と感じました。これは映画を見ても思ったのですが、原作でも同様に感じたので、あれはやはり原作どおりなのですね。
特に、悪い人ではないけれど頼りにならない大人たちが印象的でした。大人になるということは、社会のしがらみに捉われて、真実を見ることもできず、自らを縛ってしまうことなのだ、そんな風に読み取れました。原作でも映画でも。
で、「ハリポタ」との大きな違いは、おそらく作者は自分自身もその「愚かな大人」の一人と感じているな、と思えるところです。
「ハリポタ」でも視点がとても子供よりで、愚かな大人がたくさん出てくるのですが、どうも作者の視点が主人公の子供たちと同化しているように思えるのですよね。自分も子供時代に帰って、嫌いだった先生や大人たちのことを子供時代の視点から描いているように思えるんです。
子供に共感を呼ぶという点では良い書き方なのかもしれませんが、どうも私にはあまりにも作者が主人公に感情移入しすぎに思えてしまうんですよね。嫌いなキャラクターの執拗なまでに嫌~な描き方がどうしても好きになれないんです。
「世にも不幸な-」では、作者の視点が子供たちの寄り添いながらも、自分もそんな大人の一人なのだということを忘れていない、いわば自虐的な描写に思えるので、不快感がないのかな、と思いました。
作者がレモニー・スニケットという偽名を使って、実際の作者とは別人のキャラクターが書いている、という態度を取っているのも、もしかしたらそういう意図があるのかも、なんて考えすぎでしょうか・・・?
「何の教訓もない」と言っているのも、大人には本当は子供に教えられることなんて何もないんだ、というスタンスなのかもしれないなあ、なんて思ってしまったのでした。

そんなことを色々考えてしまったのですが(汗)終盤は素直に物語を楽しんでました。
ヴァイオレットがクラウスを救うために難しい本を苦労して読む様子は笑ってしまいました(笑)わからない単語を飛ばして読む様子がおかしくて。でも実は私が英文を読むときと同じだったりして・・・(大汗)
クラウスが何度も足をひっかけられて、そのたびに律儀に転んでしまうのも・・・(笑)
それにしても映画のクラウスはメガネかけてなかったですが、次の映画ではかけてないと話が繋がらないですよね。それともこの巻はカットかな。次につながらないような気がするので・・・望遠鏡の話もなかったし。
でも、オラフ伯爵の女装が出てこないのは残念だな(笑)文章で読んでいても、「女に見えるわけないじゃん!」なオラフ伯爵の登場は笑えたので、ぜひジム・キャリーで見てみたいものですが(笑)
この巻では、おそらく初めて、ヴァイオレットが本を読んで、クラウスがひらめきで発明?をして事態を解決したようなのですが、そうすると映画でクラウスが「ヴァイオレットだったらどんな発明をするだろう」と一生懸命考えて頑張ってたのはこの巻の話を取り入れてたんでしょうか? このあたりは原作の3巻までを読んでみないとわかりませんが・・・
(1巻の表紙を見る限りでは、サニーが塔から吊るされるのは1巻での内容みたいですから)
サニーが4本の歯で剣と戦ってしまうのは、「ありえない~」ともうナンセンスギャグの域だったので、全然ツッこむ気になりませんでした(笑)これも映画になったらどう表現するのやら。いくら歯が丈夫だってその前に口が切れるよね・・・(汗)
それにしても、映画でも思ったのですが、この末っ子サニーの存在が効いてるんですよね。かわいいし。
クラウスがいなくなってヴァイオレットとサニーだけになった場面を読んでつくづくと思ったのですが、サニーはまだ言葉も話せない赤ちゃんなのに、ヴァイオレットもクラウスもサニーをちゃんときょうだいの一員として一人前に扱ってるなあ、と。
一人で難しい本を読まなければならなくなったヴァイオレットが「サニーがもっと大きかったら良かったのにと思ったのはこれがはじめてだった」と思い、時々サニーを起こして意見を聞いたりしている様子がとてもかわいかったです。
映画でも、クラウスとサニーが仲良くなったエピソード?とかかわいかったし。結構この3きょうだいのキャラクターもいいなあ、などと思ったのでした。

って、結構気に入ってるみたいですねえ、私(汗)ハマりかけてるのかも? まあ、ストーリーにドキドキワクワク、というのはないんですが・・・
でも3人の両親の謎とかは気になりますが。そう言えば望遠鏡全然出てこなかった・・・あの謎が気になって原作読むことにしたのに(汗)
まあ、買って手元に置いておきたいほどの作品ではないので、図書館で読破したいと思ってますが。
そう言えば、AMAZONでも今は4巻の売れ行きが一番のようで。やっぱり皆映画の続きが知りたいのでしょうか。「指輪」もFotR公開後は文庫の5巻「二つの塔上1」が一番売れてて品切れ状態でしたもんねえ。
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