なかなか書く暇がなかったのですが、ゲド戦記シリーズ再読終わっていたので、感想を。
なんとなく2冊ずつ書いて来たのでこの2冊の感想を書きますが、この2冊をまとめて、というのは何か違うような・・・(汗)物語の時間軸としてはほぼ続いているんですけどね。
まずは「さいはての島へ」。
1,2巻の感想を書いた時に、ハイタカは1巻のあと主役を降りている、と書いたんですが、あらためてこの3巻を読んだら、実はやっぱりハイタカが主役じゃ・・・と思えました。
というのも、初読時からそうだったんですが、どうもアレンに感情移入できないというか、何考えてるんだかよくわからないというか・・・
一見王になるアレンが主人公に思えるんですが、どうもアレンはむしろハイタカの最後の活躍を見守る語り部として登場させられているような気がしてならない・・・ハイタカの魔法使いとしての最後を見届けさせる存在として。
話の筋としては、以前読んだ時も筏の民と出会ってからが面白かったような記憶があったんですが、やっぱりそうでした。
ソレグの子孫の兄妹とか、自らを犠牲にして死者の国への道を開いたオーム・エンバーとか、終盤には結構感動的なエピソードが詰まっていて、素直に面白かったです。
そして、自分の力を棄てて世界を救うハイタカと、ハイタカを支えて生の国への辛い道を辿るアレンと。
ただ、この3巻を最高傑作とする人も多いようですが、私はあんまりピンと来ないというか・・・やっぱりアレンがよくわからないからかなあ(汗)
で、「帰還」です。
この4巻以降は、「ファンタジーに現実のフェミニズムを持ち込むな」みたいな感じで批判している人も多いようで、確かにそうかなあと思う面もあるのですが、私は結構好きだったんですよね、この話。
今回読み返してみて、やっぱり単純に面白く読めました。ファンタジーとしてどうとかではなく、一つの物語として。そういう意味では1~3巻よりもずっと面白かったかも。
虐待された子供であるテルーと、そのテルーに愛情を感じてやまないテナーのエピソードだけでも感動的ですし。
フェミニズムについては、確かに家事をやるのがどうとか、ロークの長たちが女だというだけで話を聞かないとか、現代でもまだ残っているような問題(?)が出てくるとちょっと引いてしまうのですが、古代からどうやって女性が社会から排除されてきたのか、なんてあたりを示唆していると思われるあたりの話は、なるほどなあと興味深く読めました。
2巻でテナーを登場させた時は、そこまで描こうとは考えていなかったと思いますが、テナーの存在があってこそ書けた話だなあと思ったりもしました。
テナーとテルーのエピソードはもちろん、コケぱぱと心を通い合わせるようになるあたりも良いですね。ごく普通の中年女性になったテナーの心情を細やかに描いていたのが、素直に感情移入できたし、面白く読めました。
ただ、ハイタカが力を失ってあまりにも抜け殻になってしまっているのに違和感が・・・。そのくらい覚悟してやったのだと思っていたのだけれど。そのあたりが3巻から続けて読むと違和感あったかな。
最後にテルーが竜だとわかるあたりの爽快な感動もいいですね。
もっといろいろ思うところがあったような気がするのですが、時間が経ったので忘れてしまったなあ・・・(汗)
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