かーちゃんというカイコと72頭のカイコたちの近況です。
最初に来た「か―ちゃん」は、成虫のカイコガに羽化しました。思ったより小さくて、まれにいるそうですが羽が小さく縮れています。多分メスです。
自分からはまったく動きません。指の先に止まらせると触覚と足を少しだけ動かす以外、本当にまったく動きません。おそらくオスが近くにくると動くのでしょうが、こんな生き物がいるのかと思うくらい自己主張をしない生き物です。
かーちゃん以外の72頭のカイコのうち9頭を残してすべてが繭になりました。美しい姿です。
9頭のうち、3頭は現在一生懸命に繭をつくっています。今晩あたり完成するでしょう。
4頭は、まだ餌をよく食べているので繭作りはもう少し先のようです。
1頭は繭をつくることができないカイコです。糸を吐くことができません。身体の色が変わって、もう繭になってもいい時期なのに、頭は動かすのだけれど糸がでません。
1頭は身体がとても小さくて、育つかどうか心配していたカイコでしたが、小さい身体で一生懸命に糸を吐いています。でも繭ハウスが少し出来上がった時、繭をつくることができないカイコが繭ハウスに入ってしまいました。
小さなカイコはしばらく迷って、新しい繭ハウスをつくるために場所を変えました。繭をつくれないカイコは、まるで自分がつくったハウスのように、糸の中へ入り、続きの繭をつくるように頭をあちこち動かしています。
頭を動かしても、糸は出ません。でも一生懸命頭を動かして繭を張ろうとしているのです。吐くことのできない糸を、まるで本当に繭をつくるように・・・。
小さな虫の本能による身体の動きは、一生懸命で、けなげで、なんだか辛くなりました。
命の営みは、時に厳しい現実や予測さえできない事実を教えてくれます。
それは人間だけでなく、こんな小さな生き物にも同様です。
予測できない運命や未来を、それでもただ生きることが大切なのかもしれません。
糸はとっても綺麗です。
繭は見事に形作られています。
そして、カイコたちの命も、あとわずかです。
羽化したかーちゃんの命も。
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