久しぶりの休日。
志に共感して、いつも取り寄せている小豆島のお醤油屋さんを見学に出かけたワタクシ。
ここのお醤油でいただく冷奴は、我が家の夕食の定番なのでね。
昔からのお醤油蔵。
今は5代目の方が、お醤油を作っておられる。
一時期、安いお醤油が市場に出回るようになった時、醤油の樽から金属製のタンクへと移行が進んだ時も、「杉樽」にこだわり続けてそのお店は今がある。
良いものを手間暇かけて。
通常1年で出来上がるお醤油に、精魂込め4年の歳月をかけて完成させている。
こだわり続けるために、中途半端な妥協は許さない。
杉の樽から手造りにこだわり、今年新しい樽を自ら完成させた。
そして、この樽で仕込まれたお醤油が出来上がるのは、4年後。
長い長い年月をかけて、ゆっくりと大切なお醤油が出来上がるのだ。
古い町の一角にあるその蔵は、ずっしりとした空気が漂っていて、蔵に入ったとたんに時間が止まったかのような錯覚を覚えた。
国の登録有形文化財にも指定されている見上げるばかりの大きな杉樽が並ぶ蔵。今にも崩れ落ちそうな柱に土壁に土間。
大きな樽の周囲は、びっしりと厚みのある菌たちでおおいつくされている。
蔵中が酵母菌や乳酸菌たちの心地よい住み家。
まるで、ジブリの世界。腐界に飲み込まれたような・・・もののけたちの森のような・・・そんな空気の漂う世界。
その中で、酵母たちが一生懸命にもろみを熟成させている。
蔵の中で、5代に渡って引き継がれてきた伝統の重み。
採算がとれず苦しい時代もあっただろう。
けれども決して妥協することなく、自らの信念を曲げることなく、自分たちのお醤油を作り続けてきた人たちに、尊敬の気持ちを抱く。
日本の文化と伝統。
信念と想い。
安易な選択や目先の利益に踊らされることなく、じっと足元を見つめて生きてきたことの大きさ。
立場も職業も違うけれど、こだわり続けた先に見えるものは同じなのかもしれない。
このお醤油を料理に使うたびに、きっとあの蔵の空気を感じることだろう。
幼い頃にどこかで嗅いだことのある優しくて心地よい匂い。
日本という国が長い年月をかけて育んできた文化を、伝統に培われた手仕事の重みを感じることができる、賢明な消費者でありたいと思うワタクシ。
つまり・・・やっぱり夕食は、お気に入りのお醤油で冷奴・・・なのです