池さんで働くおばさんの日記

デイサービス「池さん」の大ちゃんママのブログです。

1月は行く月

2022-01-30 17:43:35 | デイサービス池さん

1月行って、2月は逃げて、3月去って、、、

とりあえず月日の経つのは早いのでという意味でしょうが、

確かに早い。

相変わらずのウイルスは、当たり前に近所にも存在してるし、いつまでたってもゼロにはならないはずの数字を、ゼロにしようと追いたてられているような、気が滅入る日常。

どこかで方向転換してほしいと心から願うばかり。

と言いつつ、明日は今月最終日。

 

1月。

まごのて支援で仙人から人間に戻ったおじいさんは、今では池さんの人気者。

足の悪いおばあさんが来ると、「どうぞ」と椅子を引いてあげて不愛想なおばあさんまでがニコニコ。

帰る時には、皆が「さよなら。またおいでよ。」と笑顔で手を振るまでになり、穏やかで柔らかい口調は、おばあさまたちの好感を呼び、乙女チックなばあさまたちのあこがれの人物に昇格を果たした。

腰が曲がった人たちの中で、すらっと背が高く、腰もピンと伸びたおじいさんは、ばあさまたちの注目を集める。

おじいさんが立ち上がると、目をキラキラさせて「あれ~背が高いねえ~♡」と毎回驚く。

残念なことに、自慢のほっそり体型も、毎日のお弁当とデイの利用で食生活が改善したおかげか、最近では少しお腹がだぶついてきた。

一足早く芽を出した「ふきのとう」を持ってきてくれたり、近所の人が杖にしてと届けてくれた竹を磨いてくれたり、活躍の場も増えてきた。

「天気がええけん、池さんに歩いて行こうかな。」と利用日でないのに言ってくれるのも、マイピーに乗って日曜日も遊びに来ていた河渕のじいちゃんを思い出し、なんだか嬉しくなってくる。

おじいさんは生活者に戻ったけれど、全部の行為が理解でき、一人で行えるわけでない。

生活のほぼすべてに、支援が必要な状態。

「今」必要な支援を見極めて、「今」の状態で独居生活がどうすれば続けられるか、考え実行することができれば、なんとか、もうしばらくの間、自分の家で暮らして行けるだろう。

そんなことを考えさせてくれるおじいさんの暮らし。

 

池さんに来るのが楽しみだと言ってくれる一人の優しいおばあさん。

頑張って畑をして、池さんにといつも野菜を持ってきてくれる。

今年のお節料理には、おばあさんの育てた黒豆を使った。

大ちゃんが空豆が好きだと言うと、秋にはいっぱい種をまいてくれたらしい。

「もうこのくらいになっとるよ。」と嬉しそうに教えてくれる。

おばあさんはとっても優しい。

目が不自由な人には、当たり前のように手を貸してあげる。

「お茶熱いけん、気をつけんかいよ。」とコップを持たせてあげる。

ちょっとこわい感じのおじいさんにも「こっちへおいでませ」と二人用のソファーに誘ってあげる。

何か用事をし始めると、必ず手伝おうかと言ってくれる。

気分の浮き沈みはあるけれど、「ここに来るといっつも笑えるから嬉しいよ。ご飯もようけ食べれるんよ。」と嬉しそうに話してくれる。

いつも笑ってるおばあさんを見ていると、いろんな辛さを抱えていることを忘れてしまいそうだけど、でもおばあさんの心の中を想う時、いろんな悲しさや苦しさを感じながら生きてきたのだろうなと切なくなる。

そんなことを考えさせてくれるおばあさんの笑い声。

 

どの人も、生きてきた歴史があって、生活していた過去があって、そして今という現実がある。

どうすればいいのだろうといつも考えながら、

よりベターな方向へと舵を切っていく。

一緒に悩みながら、時に喧嘩しながらも、

少しでも納得できる時間を生きることができるよう、

想いを尽くしていきたいと思う。

 

ふきのとうに菜の花。

柔らかい社会になるように。

暖かい日差しが待ち遠しい。

 

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とうどさん

2022-01-16 21:46:54 | デイサービス池さん

年神様が来られて、今年も一年が始まって、

1月15日は、この地方では「とうどさん」

年神様をお迎えするために飾ったしめ縄や一年皆を守ってくれたお守りなどを、

竹と藁で作ったとうどさんで「はやす」(焼く)

火をつけたとうどさんは、あっという間に黒い煙を上げながら、早朝の空に火の粉を舞い上げてゆく。

「今年1年、どうか皆が元気で過ごせますように」

 

今年は、池さんの職員も腕を上げた。

かつて近藤のじいちゃんが大ちゃんに教えてくれたしめ縄の作り方を、

去年、大ちゃんが皆に伝えたら、

今年は皆が引き継いで、頑張って、しめ縄を飾る水引きを綺麗に作り上げた。

しめ縄の作り方だけでなく、いろんなエピソードと共に、

お正月の準備を重ねていく。

 

今年のとうどさん。

皆がいろんな想いを込めて、

いろんな願いを込めて、

年神様を迎える用意をしたお正月。

その締めくくりのとうどさん。

 

天高く、舞い上がってゆく煙の中に、

真っ赤に燃え上がる火柱の中に、

今年こそ、良き年となるように、

穏やかな日常が帰ってくるようにと、

願う沢山の人たちの願いがこもっているような炎の勢い。

 

今年のとうどさん。

例年と同じようで、例年とちょっと違うとうどさん。

昔から続く小さな町の季節の行事に、

なぜか、いつもよりも感動する気がする今年のとうどさん。

そして、今年も年神様が心優しい日々を、

池さんに与えて下さることだろう。

誰もが、よき時間を生きることができるよう、

心から願いたいと思う。

 

寒さは厳しいけれど、

庭の梅の花のつぼみは、

まだ硬いけれども確かに色づいている。

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新年に

2022-01-05 23:37:49 | デイサービス池さん

新しい年が訪れました。

年末年始、暖かい日差しに包まれて穏やかな令和4年になる・・・はずが、かれこれ2年めのウイルスはいまだ油断できず、加えて鳥のウイルスまでも加わったお正月。

防護服をまとった人たちの検問に出会うたび、なぜだか無性に悲しくなってくる。

十分に資金を投入し、真摯にウイルスの対策を行っていても、どうにもならない時があり、どうにもできず辛い状況を受け入れなくてはならない方たちの心中を想い、心が重くなる。

自然の中に存在するごくごく小さなウイルスという生物のその存在と、対策はこの方法しかないのだろうかと、生活の基盤さえ失ってしまう現実の厳しさに、改めて脅威を感じてしまう。

そんな年の初め。

今年も悲しみの中で、始まった新しい年。

それでもじいちゃんばあちゃんは、今日も元気でやってくる。

お正月を認識できる人にも、今日がいつだかわからない人にも、

同じように新しい時間が訪れる。

同じように新しい年が、新しい時間を、紡ぎ始める。

 

今年こそ、どうか穏やかに生きることができるよう。

会いたい人と会えるよう。

行きたい所へ行けるよう。

大切な出会いができるよう。

幸せな時を育めるよう。

豊かな心で生きることができるよう。

大切に想う人と、思い出深い時間を過ごすことができるよう。

 

社会のことだけでなく、環境も、人生も、命も、

大切に考えることができるよう、

そんな時を生きたいと思っています。

濃く、深く、池さんは今年も生きていきたいと思っています。

どうか、皆さまよろしくお願いします。

 

 

 

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