きまぐれ発言

日々変化する世の中をみて、私はこう思う。

東北の大震災は阪神の場合と違う

2011-09-11 11:31:29 | Weblog
東北の大震災は阪神の場合と違う     (2011.09.11.)

東北の大震災に対して、世界の人々が「必ず復興できる」と言う言葉を、元気付けの為に多くの人が述べて下さる。有りがたい事ではあるが、半年たった実態を振り返って、一向に進展は見られていない。それは、津波と言う想定外の大きな災害が、太平洋沿岸の街々を丸ごと飲み込んでしまったからで、この点の災害の大きさが、阪神の場合と大きく違うところだ。

津波は、復旧復興に対して最前線で指揮をとらねばならない、市町村の機能が全滅し、また住民も農業・漁業が主体であるから、農地、漁場(漁船)が全く使い物にならなければ、手も足も出ない状態が当分続くのは当たり前の事である。国や自治体が悪いわけではなく、天災とはこの様な物なのであり住民も此の事を良く認識して、改めて、如何すれば復旧復興が出来るかを考え直す事が、「住民のパワー」という物である。

阪神大震災の時は、津波という物は無かったが、近郊に大阪・京都・神戸と言う経済の動力とも言うべき大都市があり、復旧復興に向けた、活発な動きが若者たちの働きによって、促進された面があるが、東北の場合は、元々経済的にも衰退する地域で、地方自治体も国からの補助金を当てにする自治体も多く、従って、原子力が唯一地域の経済を支えて居た面もあった。従って、やってもらう事ばかり考え、自分達でやると言うパワーが感じられない。
(少し、言い過ぎかも知れないが、中には、自分たちで生きる力を発揮して、頑張っている若者もおられる)従って、二言目には、「国がやってくれない」と言う言葉が返ってくるのである。

災害後の6か月、震災地での若者の多数が県外の地方へ出てしまい、被災地に残った仮設住宅の住民は、老人が多く、若者がいない町では、住民パワーも期待できない。
仮設住宅も入居を拒否する被災者も居ると言う事は、老人向けの住居で無いからで、このあたりが入居者と、国の対策とが合致していない事を示して居る。
其の上、田舎特有の住居地に執着する人も多く、「高台移転へ」と行政が推奨しても聞き入れないと言うのも復旧・復興が難航する所以であります。

また、原子力事故による放射能被害は、今後に残した大きな問題で、その情報の真相を東電も経産省も明らかにしていない。此の被害に対する住民の感覚は、「除染」すればすぐにでも帰宅出来ると考えている様である。「除染」と言うのは、ただ、放射能をかき集めただけで、無くなるわけではありません。かき集めた放射能は、数十年も残存し、その処置の方が問題で、原子力を使う限り永遠に付き纏ってくる悪魔の存在である。

原子力に明るい専門家の意見では「もはや住めない地域もある」との事で、この認識の違いは、何時かは後になれば、後になるほど地域住民の気持ちを逆なぜする事になり、問題のこじれを大きくするのではないでしょうか。少なくても東電や保安院の隠ぺい体質は排除し、情報をオープンにするべきではないでしょうか。
(えびなたろう)