2013年5月15日(水) 富士山を巡ってー世界自然遺産として
世界文化遺産への登録に関して、ユネスコに審査勧告する機関である、イコモスが、日本から申請していた富士山を、登録するに相応しい遺産であると、先月、勧告したようで、この6月17日から、カンボジアで開催される、第37回世界遺産委員会で、ユネスコの世界文化遺産として、登録されることが、確実となった。
この所、この富士山や、世界遺産に関する話題が多い。当ブログでも、先日、その手始めに、
富士山を巡ってーUTMF (2013/5/10)
を投稿したが、今回は、富士山の世界遺産への登録の経過の中で、当初意図した、自然遺産に関連した話題を取り上げたい。
ここで、我が国の世界遺産としては、以下が登録されている事を、確認しておきたい。
自然遺産 4件 知床 白神山地 屋久島 小笠原
文化遺産 12件 平泉 日光 白川郷 法隆寺 古都奈良 古都京都 熊野
姫路城 石見銀山 厳島神社 原爆ドーム 琉球王国
以上の、16件が登録されており、富士山が登録されれば、我が国、17番目となる。。(日本の世界遺産 - Wikipedia)
これらは、国内としては、国立公園、特別天然記念物、国宝、重要文化財、などとなっている。上図には、平泉、小笠原は入っていない
富士山は、言うまでも無く、日本の最高峰で、一生に一度は、眺望するのは勿論だが、それだけでなく、できれば、登ってみたい山であり、四季を通じて、均整のとれた姿形の美しさは素晴らしい。古来から現代に至るまで、富士山は、山岳信仰の対象や、文化芸術の対象ともなって来ており、色んな意味で、日本を代表する山であることは、国民の誰もが認めるところで、山と言う存在を超えて、精神的なシンボルとも言えようか。俗に、初夢に見ると縁起のいいものとして、1富士、2鷹、3茄子 と言われる。
この富士山だが、世界遺産登録に向けて、長い歴史があり、詳細は省略するが、当初は、自然遺産としての登録を進めてきた。
世界遺産の自然遺産として登録されるには、世界遺産委員会の、以下の4つの基準のどれかに該当している必要があるようだ。(自然遺産 (世界遺産) - Wikipedia)
これらの基準は、大まかに言って
(7) すぐれた自然の美しさ
(8) 地球の歴史の見本
(9) 生態生物学的プロセス
(10) 自然生息地
だが、これらに照らし合わせると、富士山は、
(7) 人的な利用や開発が進んでいて、ゴミやし尿処理問題がある
(8) 火山としての多様性に乏しい
(9) 固有の動植物が多くない
などから、国は、2003年に、自然遺産として申請することを、断念したようだ。
その後、2005年には、世界文化遺産として登録を目指すことで、両県合同会議が発足するなど、活動が本格化し現在に至っているが、こちらについては、次稿に譲りたい。
自然遺産としての登録を断念したのは、ゴミやし尿処理問題があるからだ、と大きく報道された。でも、富士山の、均整がとれて美しい姿形は、自然に出来たものとしては稀有であり、上記の(7)の基準に合致して、自然遺産として登録できる、と考えたのが、やや、甘かったように思える。
今回改めて、ネット情報等を調べた結果、富士山のように、姿形が美しい山は、世界には、数多くあることが判明し、自分でも驚いている。 ネットに紹介されている多数の山の中から、幾つか、画像を引用させていただく。
以下の写真の、ニュージーランド北島の、トンガリロ国立公園にある、ナウルホエ山は、富士山と瓜二つなのにびっくりした。でも、この国立公園全体が、自然遺産(後で複合遺産)として登録されていて、公園内では、美しいこの山だけでなく、多様な火山活動などもあるようだ。(トンガリロ国立公園の絶景写真画像 ニュージーランドの世界遺産)
ニュージーランド北島には、後出の、エグモント山もある。
ナウルホエ山
他の美しい山々の例:
チリ国オソルノ山(現地邦人 チリ富士) フィリピン国マヨン山(現地邦人 ルソン富士)
トルコ国アララト山(大アララト 小アララト) ニュージーランド国 エグモント山
など、多い。
富士山の姿形の美しさは、これらの山々に勝るとも劣らぬものと言えるが、世界に冠たる美しい山、と胸を張るのは、やや、無理があるだろうか。冒頭のナウルホエ山以外は、それぞれの国の、世界自然遺産としては、登録されていないようだ。
因みに、火山の自然遺産として登録されているのは、
米国ハワイ島 キラウエア火山(溶岩流)
エチオピア国 エルタ・アレ山(溶岩湖)
など、現役バリバリの火山である。
噴火を繰り返している、かの有名な
イタリア国 シチリア島 エトナ火山
が、この6月の世界遺産委員会で、富士山と同時に、自然遺産として、漸く登録される予定というのは、やや、驚きである。
ここで、少し余談になるが、富士山の姿形についていささか触れたい。
富士山は、火山の種類としては、成層火山(コニーデ)になるようで、地球のマグマが地上に出て来て、層状に積み上がった結果、出来た火山と言われている。形状は、一般には円錐型になる。
成層火山の仕組み(ネット画像)
富士山は、独立峰として、裾野の雄大さが素晴らしいが、あの陵線の曲線は何だろうか。
以前から、指数関数
y=ex
の曲線が当てはまる、と言われており、ネットには、実物の富士山の画像に、当て嵌めてみた記事が載っている。この記事では、ご丁寧に、反対側の裾野も、同じ指数関数の曲線が当てはまる様子も示されている。(記事のリンク先が、行方不明に!)
成層火山では、山の形は、一般には円錐型で、陵線は、ほぼ直線になり、男体山などはその典型だろうか。
一方、上記の富士山のように、直線でなく、指数関数曲線となることもあるようだ。マグマの柔らかさと、地球の重力の関係等から、独特の曲線になるのだろうか。葛飾北斎の絵に出て来る富士は、それが、更に強調されているようだ。
男体山 北斎 富嶽三十六景
熊本城などの、城郭の石垣の形も、直線でなく、指数関数曲線になるという。重量を支えながら、登り難くする配慮の結果だろうか。