2012年8月22日(水) 中間貯蔵施設
早いもので、フィンランドでの放射性廃棄物の永久保存施設「オンカロ」の建設について触れた、本ブログの記事
オンカロ建設の驚き (2012/7/15)
から、1か月以上が過ぎてしまった。
あの中で、遅々として進まない、日本における貯蔵施設の状況について触れたのだが、先日の19日、政府は、福島県内の建設候補地の具体案を、地元に提示したようだ。
示された候補地は12か所で、大小様々だが、以下の様な収容区分となっている。
双葉町の施設 2か所 第一原発の北西地域の廃棄物を収容
楢葉町の施設 1か所 第一原発の南地域の廃棄物を収容
大熊町の施設 9か所 残る福島県内の地域の廃棄物を収容
環境省公開資料より
具体的にはこれから詰めるようだが、12か所すべてに建設される可能性もあると言う。
敷地は、1か所に作る場合は、3~5km2必要とある。12か所すべてに分散して作るなら、分割損もあるので、全体では、結構広い地域が必要となろう。
この福島県の中間貯蔵施設の建設予定(ロードマップ)では、
2013年(平成25)3月 建設地選定
2015年(平成27)1月 搬入開始
2045年(平成57)迄 貯蔵物を県外につくる予定の最終処分場に移す
(30年以内という時限が付いている)
となっているが、紆余曲折が予想される。
一方、国の永久貯蔵施設については
2028年(平成40年) 場所決定
2038年(平成50年) 操業開始
となっている。
最近の避難区域の解除に伴って、地域の除染が急務となっている訳だが、除染によって出て来る廃棄物を、仮置き場に収容しても直ぐに一杯になるため、この中間貯蔵施設の建設は必須であり、急がれるのだ。
中間貯蔵施設は、放射性物質を含む廃棄物を、一時的に保管貯蔵する施設だが、地下にコンクリートで仕切ったスペースを作り、そこへ廃棄物を容器に入れて密封すると言う。 フィンランドのオンカロなどと、どのように違うのだろうか。地下の深さや、容器の並べ方等、具体的なイメージがよく分からない。下図は環境省の資料によるが、地表面は、広大な公園の様なイメージだ。
左 貯蔵前 右 貯蔵後
地元としては、この施設の建設への不安もある一方で、帰還と町の復興の為には避けて通れないテーマという、ジレンマがある。他所に作ってくれ、と言っても無理な話で、ここは、腹をくくって、地元に建設するしか方法は無いと思われる。
中間貯蔵施設を建設する場合の最大の問題点は、建設地域での放射能に対する安全性だが、最大限の知恵を絞る必要がある。地元としては、条件闘争とならざるを得ないだろう。
施設周辺の、地表での無害性の確保は言うまでも無い。それでも、漠然とした不安(風評)から、当該地域が敬遠される可能性もあるだろうか。
年月が経過する中で、地中で地下水などに漏れ出す可能性、地震等によって地下で破壊される可能性、もあろう。
建設に当たっては、地質調査や、過去の地震の記録、活断層の有無なども重要となる。
廃棄物の量は、福島県内の分だけで、最大で2800万m3もあり、東京ドーム23杯分と言う、膨大な量である。将来的には、廃棄物の量を減らす、減量化、減容化の技術開発が進められ、最終的な保管量は大幅に少なくなると思われるが、はっきりした見通しは見えていない。原発事故体験国として、積極的に取り組むべき重要研究課題の一つだろう。
関東各県で処分に困っている、同様の放射性ゴミを貯蔵する施設については別に作る必要があるが、福島県の事例が、いい見本となろう。