ケイの読書日記

個人が書く書評

湊かなえ 「マイディアレスト」 光文社

2021-06-11 10:40:33 | 湊かなえ
 湊かなえって人は、本当にこういった家族間(この場合は姉と妹)の軋轢というか緊張を書くのが上手だなって、つくづく思う。

 淑子はアラフォー女性。親に厳しく育てられたせいか、人との付き合いが下手で、勤めても1~2年で退職・転職を繰り返す。ここ数年は仕事が見つからず、無職のまま実家でぶらぶらしていた。実家は経済的に困っておらず、淑子が働いてなくても文句を言わないので、のんびり過ごしていた。
 ところが、淑子の6歳年下の妹・有紗が妊娠し、赤ちゃんを産むために帰ってくる。実家は初孫が生まれるウェルカムモードに入ってしまい、淑子が少し居づらくなる。6歳年下の有紗とは実のところ、あまり仲良くない。
 小さい頃から、母親は姉の淑子には厳しかった。(例えば、男の子からの電話を取り次いでくれない)しかし妹には甘々で、お小遣いを与えてデートに送り出す。よくある話だと思う。
 その不満を親にぶつけてみても、うまく言いくるめられる。しかし、両親との関係は悪くなかった。妹が里帰り出産で実家に帰ってくるまでは。

 妹の有紗はイマドキの女の子で、実家にボーイフレンドを連れて泊りがけで帰ってくる。家族は、結婚の挨拶だろうと思ってもてなすが、遊びに来ただけで、男はそのまま帰っていく。そんな事が何度もあった。
 つまり、姉とは全く違って、姉の事をバカにしていた。姉の部屋に勝手に入って来て、本棚のロマンス本を勝手に取り出し読んで「バッカじゃないの!40過ぎの女が大会社の御曹司に見初められハッピーエンドなんて、あるわけないじゃん!!」と毒づいている。

 ああもう、事件の前兆がはっきり現れてるよ。

 そもそも、どうして里帰り出産なんかするの? 実家には未婚の姉がいるのに。母親に手伝いに来てもらえばいいだけなのに。
 だいたい、昔話や民話では、姉より妹が幸せになる話ばかりだ。WHY? 年が少ない方がカワイイという世界共通認識があるんだろうか?
コメント
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