ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

内田樹氏のファンになりそう。

2018-06-27 06:16:46 | 日記
【 NHK Eテレ 100分de 名著 】
好きな番組ですので、録画して置いて時間の余裕のある時、ゆっくり観ています。
講師の解説を伺って、既読の書籍に対しては、〈あ そうした見方もありなんだ〉と、
新しい発見があったり、あまり好きではない分野に属していて未読の書籍などには、
良き入門書となってくれます。
「学歴なし」で基礎学力の広がりに乏しい私にとっては、とても 嬉しい番組です。

6月は、アルベール・カミュ著『ペスト』
講師・中条省平(学習院大学教授)氏
最終回の4回目が終わり、特別ゲストとして内田樹氏が出演されました。
『ペスト』については、〈若い頃に読みました〉程度の知識しかありません。
東日本大震災の後、薦められて再読したのですが、私なりに熟読したかと。
(小さな声で 自慢)。
〈人間の生存を脅かす不条理な現実〉について考えさせられましたし、
得るところは大でした。

ゲストの内田樹(思想家・武道家)氏の著書は何冊か読んでいますが、作者ご自身を
映像で見ますと、実に若々しさを感じさせられる方でした。
「カミュのファン」と語り、
MC・伊集院光氏のコメント、
〈神なき聖者と、人間であることが同じ・・・そこがイコール結ばれれば いいんですね〉
に対して、
「この人 こんなに鋭いのか・・・すばらしい読解力ですね・・・」
と、笑いながら受け止める様子に、青年の様な若々しさを覚え、好感が持てました。
カミュならぬ内田樹氏のファンになりそうです。
武道家ということでもあるからでしょうか、プロポーションも、なかなかグー!

〈人間の生存を脅かす不条理な現実〉
それは、「ペスト」に表象され得るのでしょうが、あらためて、『ペスト』の最終に記された
文章が思い起こされました。

《―――ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり、数十年の間、家具や
下着類なかに眠りつつ生存することができ、部屋や穴倉やトランクやハンカチや反古の
なかに、しんぼう強く待ち続けていて、そしておそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたら
すために、ペストが再びその鼠どもを呼び覚まし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに
差し向ける日が来るであろうということを。》(新潮文庫 宮崎嶺雄 訳)

私が 今 生きているこの時代、この日常の そこここ。
それは、政治の世界であったり、小さな事件の一つであったりして表出される事柄の中に、
「ペスト」に表象され得る〈おぞましきもの〉が、見え隠れしている恐ろしさを覚えることの
多い この頃です。
                           〈ゴマメのばーば〉
コメント (2)
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