ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

おかしいことを、「おかしい」と言えない時代が。

2014-02-01 07:30:46 | 日記
NHK籾井会長の一連の発言は、きわめて不愉快でしたが、連続テレビ小説『ごちそうさん』は、
毎日楽しく観ています。
31日放送のものから、少々の引用を。

世相は戦時体制。
め以子は、町内会の『大日本国防婦人会』の一員となっています。
戦時下の物資不足で、砂糖なども統制品とされ、自由に手に入りません。
『ぜいたくは敵だ』
の標語が、町内 いたるところに貼り出されています。

そんな中、学校に お弁当を持参できない子ども達も出てきたということで、政府の指示により、
婦人会に「パン」作りが命じられます。
め以子も、そのパン作りに当たることとなりました。

パンの材料は、メリケン粉・魚粉・大豆粉・海藻の粉・くず野菜・など。
「こんな材料で作った「パン」は、不味いから別な物を」
という め以子の提言は一蹴されます。
〈そもそも おいしいもんを食べようと思うこと自体、ぜいたく極まりない話しやねんで〉
〈前線の兵隊さんのこと考えたら、おいしいの、まずいの、言うていられますか〉
と、叱咤されます。

家に戻って、嫌々ながらパン作りをしている め以子に、長女の ふ久が、
「なんでやるん? そんなに嫌だったら やらんかったらえぇん 違う」
そう言うのです。

別なものをつくれば……と言う ふ久へ、
作ることを、約束してしまったから、やらねばならない。
「あんたの学校とは話がちがうの。〈ご近所〉なんて、やめとうても やめられへんの」
「おかしいな思うても、やらなあかんことは、やらなあかんの」
と、め以子は不機嫌に応えます。

「けど、みんなが そないしたら おかしなことを、おかしいと、言わへんまんまにならへんの。
おかしいまんまに」。
ふ久 は、そう言って、め以子の側を離れます。

このテレビを観ていて、私は戦時中の体験を思い出したのです。
私の母も、隣組の国防婦人会では よく嫌みを言われていました。
母は、運動機能が人さまより 少し劣っていたのでしょうか。
焼夷弾落下に対する消火訓練に、手際よく対処できなかったのです。
だから、よく注意や、嫌みを言われておりました。

「出来ないんだから、出来ないって言えば」
私が不服げに言いますと、
「おかしいと思っても、やらなくちゃぁいけないことは、やるほかないの」
母はそう言っていたのです。め以子と同じように。
諦めというよりは、あの時代、そう言うしかなかったのでしょう。

「おかしいと思っても、やらなくちゃぁいけないことは、やるほかないの」
と言わざるを得ない時代が確かにありました。
『愛国・国策』という『錦の御旗』の前には、何も言えない時代が。
この目で見ました。
体験しました。

おかしいことを、「おかしい」と言えない時代にしてはなりません。
                                 〈ゴマメのばーば〉
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