これも数日前の話ですが、以前取り上げた案件が、お互い引くに引けずに訴訟になっています。
まずは春日電機。
こちらのエントリのその後の展開です。
会社を乗っ取ったうえに架空取引で利益を吸いあげたといわれたソフィアホールディングスが反論と訴訟提起をしました。
春日電機株式会社開示内容に関しての弊社見解
(平成20年12月4日 株式会社ソフィアホールディングス)
弊社としましてはそのような関与は事実無根であり、強く抗議の意を表明するとともに、断固たる法的手段を取ることを検討致します。
で、すぐに
弊社子会社における訴訟提起(名誉毀損)に関するお知らせ
(平成20年12月9日 株式会社ソフィアホールディングス)
春日電機は、常務取締役佐藤将氏の関与のもと、平成20年12月3日付けで「株主総会開催禁止仮処分命令申立事件の決定について」という表題にて、ソフィアモバイルがあたかも架空取引に関与しているかのような開示を行い、ソフィアモバイルの名誉と信用を傷つけました。ソフィアモバイルが架空取引を行った事実は全く存在しないことから、春日電機と佐藤将氏に対して損害賠償を求めるとともに(現時点で1200万円の損害賠償を求めるものですが、今後、損害が拡大したときは、請求を拡張する予定です。)、春日電機に対し、謝罪広告(開示)を求めて本訴訟を提起するに至ったものです。
弊社子会社における訴訟提起(売掛金支払請求)に関するお知らせ
(平成20年12月9日 株式会社ソフィアホールディングス)
ソフィアモバイルは、無線クレジット決済端末3000 台を春日電機に代金1億5750万円(以下「本件売買代金」といいます。)で売り渡しましたが、春日電機は、代金支払期日である平成20年10月31日において本件売買代金の支払いを行わず、現在もなお未払いとなっています。春日電機は、本件売買代金の支払いを拒む理由として架空取引の疑いがあるとの開示を行っていますが、そのような事実は一切ありません。このため、ソフィアモバイルは、春日電機及びその連帯保証人である篠原氏に対し、本件売買代金の支払いを求めて本訴訟を提訴するに至ったものです。
まあ、こうせざるを得ないでしょうが、まだ春日電機の代表取締役がソフィア側の株主なので、証拠の保全偽造や訴訟遂行の意思決定のプロセスなど春日電機内の問題は山積で、会社法の機関運営の格好のケーススタディになりそうです。
<関連エントリ>
春日電機
春日電機その3
春日電機その4
春日電機その5
春日電機その6
もうひとつは有料老人ホーム事業の譲渡を巡るゼクスとラディア・ホールディングス(旧グッドウィル)の争い(過去の経緯はこちら参照)。
両社ともこんなことにかまっている前に本業や資金繰りに注力したほうがいいのではと思うのですが、一度開示してしまった以上徹底的に戦わないといけなくなっているのかもしれません。
訴訟の提起に関するお知らせ
(平成20年12月8日 株式会社ゼクス)
(1)請求内容
① 事業承継に関し、要した諸費用の返還 約159百万円
② 事業承継後、運営に要した費用の返還 約1,250百万円
③ 事業承継会社である株式会社ゼクスアクティブ・シニア株式の買取 1円
④ ゼクスアクティブ・シニア株式の所有或いは未所有に関わらず、入居者保護のため、現在未収入金として、ゼクスアクティブ・シニアで計上している入居一時金未償却残高相当額の現金の返還 約3,009百万円合計 約4,419百万円
(2)請求原因の概要(当社の主張概要)
平成20年11月20日付「固定資産の譲渡契約の解除に関するお知らせ」にてお知らせしたとおり、当社とラディアホールディングス株式会社(以下、「ラディア」という。)との間で締結しておりました不動産売買契約を解除し、不動産売買契約に則りラディアに対し、当該施設を運営する当社子会社である株式会社ゼクスアクティブ・シニアの株式買取り及びこれまで当社にて負担した運営に関する諸費用等の支払ならびにラディアに消費寄託されている入居一時金未償却残高の返還を求めてまいりました。しかしながら、ラディアより当社の要求に対し何ら返答がないため、当社といたしましてはその損害賠償、株式買取、寄託金返還を求め、訴訟の提起を行ったものです。
株式会社ゼクスの「訴訟の提起に関するお知らせ」について
(平成20年12月9日 ラディアホールディングス株式会社)
2007年9月21日にゼクスと不動産売買契約を締結後、諸手続きが整うまでの間、物件の引渡しを延期し、ゼクスの子会社であります株式会社ゼクスアクティブ・シニア(以下ゼクスアクティブ・シニア)と定期建物賃貸借契約を締結し、同社にて施設運営を行ってまいりました。しかしながら、2008年7月26日以降、定期建物賃貸借契約の不締結、賃料の支払停止という事態が発生しました。当社は・・・2008年8月25日までにかかる状態が解消されない場合、前記不動産売買契約を解除する旨の通知を発し・・・前記売買契約は既に解除済みで・・・す。従いまして、売買契約の有効な存在やその後発生した事象を理由に売買契約の解除を主張し、ましてや入居者からの預かり金である保証金(入居一時金)をゼクスアクティブ・シニアの未収入金として計上しているため返還を求めるという請求は全く理由がないものです。
いまひとつ判然としない内容なのですが「ゼクスと不動産売買契約を締結後、諸手続きが整うまでの間、物件の引渡しを延期し」た時点でどういう合意があったのか、が焦点だと思います。
特に「入居者保護のため、現在未収入金として、ゼクスアクティブ・シニアで計上している入居一時金未償却残高相当額の現金の返還」というところがよくわからないのですが、これはもともとこの老人ホームが<建物所有:グッドウィル、運営:コムスン>という仕組みでコムスンから会社分割をうける事業承継会社が運営を引き継ぐはずだったのが(参照)、預託金相当の現金が物件引き渡しのトラブルにまぎれてゼクスアクティブシニアに渡されず、一方で会社分割は成立したのでゼクスアクティブシニアが債務だけ負っている、ということなのでしょうか(でもそんな間抜けな会社分割があのかなぁ?)。
また、そもそも会社分割なら賃貸借契約の地位なども承継されるのにあえて「ゼクスアクティブ・シニアと定期建物賃貸借契約を締結し」なおしたというあたり、結局承継会社(=ゼクスアクティブシニア?)に事業の分割はなされず、運営だけ暫定的に引き継いだということでしょうか。
だとすればそもそもゼクスアクティブシニアは預託金返還債務を負っていないようにも思います。
このように開示資料だけではよくわからないのですが、契約者がいい迷惑なことは確かです。
預託金付きの会員サービスでオペレーターや契約者が事業再編したときは注意したほうがいいという教訓ですね(今のところそんなものに入会する余裕はないですが(笑))。