今年は今日で御用納めになります。
新年恒例の新聞各紙で「有識者に聞く今年の景気予測」というような記事が載りますが、今年は経済情勢が激変しているので日経新聞は締め切り後にも差し替えを認めることにしたとか。
でも、他紙が差し替えできないとすると、同じ人で違うコメントが載ってしまうことにならないんでしょうか。
ところで、2008年の新年の予測はどうだったかと日経新聞を見てみます。
まずは日経平均株価予測
2007年12月末の株価は15,307.78円でした。
「有識者」21人の平均は、高値18,476円安値14.633円でした。
特に安値は一番低い人でも14,000円(3人)で14,500円(10人)15,000円(7人)と全般的に底堅いという見方がうかがえます。
高値は比較的ばらついていて、一番低い人が16,500円一番高い人が21,000円でした。
ところが2008年は大発会に15,156.66円の高値を付けた後下落を続け、10/28に6,994.90円の安値を付けました。
高値予測が一番高く一番強気だったと思われるのが鈴木大和証券グループ本社社長。
「判断理由」の欄には
年央までに金融不安は沈静化。北京五輪後も衰えない中国経済を筆頭に新興国の成長がけん引し、年後半にかけて堅調な相場展開。
とあります。
業種柄、強気なコメントをせざるを得ないのかもしれませんね。
高値予測が一番低く一番弱気だったと思われるのが藤原しまむら会長。
コメントは
世界的に転換点となる1年。07年度企業業績の出る5月がピークでその後は世相に合わせ市場は軟弱化すると思われる。
と正鵠を得ているのですが、それでも安値の予想は14,500円でした。
次に為替(円ドル)。
20人が6月末と12月末を予測しています。
20人中10人が年末のほうが円安、と予測、年末のほうが円高と予測したのは5人だけでした。
高値(円安)平均は111.55円(うち最高値は117円)、安値(円高)平均は106.55円(最低値は95円)でした。
一方実際は、昨年12月末の終値は112.26円で、年明けは1月2日の112.12円が結果的に最高値で、12月17日には87.10円まで円高になっています。
一番円安を予測したのは佐々木JTB社長。実質成長率のところのコメントには
企業業績に先行き不透明感がある。原油価格の上昇や米国経済の先行きに懸念
とあり、秋口までの見通しは当たっています。
唯一二桁の円高を予測したのは田谷貞三大和総研特別理事。
ただコメントは
個人消費、設備投資、輸出それぞれの伸び率が若干鈍化。住宅投資の反動も大きくない。
ともっぱら国内景気についてだけだったので、為替予測の根拠はわかりませんでした。
どうしても将来予測は予測時点の数字に縛られてしまいますし、他の経営者・有識者と著しく違う予測を立てたときに外れるとみっともないと考えたりすると、結局は予測時点の数値を基準にほぼ似たようなものになってしまうのは仕方がないのかもしれません。
さらに昨今の情勢下では経営者・有識者がコメントを出し渋る気持もわかります。
ただ、そういう人の目を気にして中庸をよしとする経営者がこの激変期を乗り切れるかという問題もあるかもしれません。
その意味ではこのタイミングではけっこう面白いとおもったのがこれ。
トヨタ社長交代、豊田章男副社長が昇格へ 09年4月
(2008年12月23日3時7分 朝日新聞)
ご本人の能力・性格は知りませんが、他人の目を気にせずに大胆な経営をするにはオーナー(大株主)が経営に当たるというのはいいのかもしれません。
なにしろ下手を打つと親戚一同の資産が目減りするわけですから。
(それにサポートする役員とか現場などの足腰がしっかりしているのでそんなにひどいことにはならないでしょうしね。)