一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

リプラス亡き後

2008-12-01 | あきなひ
家賃滞納者の鍵替え家財処分 「追い出し屋」被害相次ぐ
(2008年11月30日16時53分 朝日新聞)
賃貸住宅の連帯保証を請け負う業者らが、家賃を滞納した入居者に強引に退去を迫る「追い出し屋」の被害が広がっている。被害者の多くは低所得者ら。弁護士らは「新手の貧困ビジネス」と批判し、救済に乗り出しているが、家賃保証業務を規制する法律はない。

保証会社の多くは90年代に設立。高齢者や外国人労働者らのニーズもあり、新規参入が続いた。今は100社以上あるといわれる。グレーゾーン金利の撤廃で経営が悪化した消費者金融会社からの転出組もあるという。
 保証会社の関係者は「競争が激しく、滞納しそうな入居者もどんどん入れる。その結果、滞納率が高まり、無理な取り立てをする業者も出てきた」。別の司法書士も「家賃保証の仕組みが悪いのではなく、違法な手口が問題なのだ」。
 保証会社は宅地建物取引業法や借地借家法の規制外で、現在は「監督官庁もない状態」(国土交通省不動産業課)だ。

先日倒産してしまったリプラスはファンドや中国でつまづいてしまったものの、本業の家賃保証事業は好調でした。
このビジネスは確かに貸金業からの参入も多く、取立てが荒っぽいところもかなりあるようで、大手の賃貸会社などでは紹介先を限定しているそうです(その意味でもリプラスの倒産は痛いらしい)。

そうすると、中小の業者は賃料の安い(=利益の少ない)ところや保証人がいなかったり大手の保証会社に断られた借り手からの依頼(=リスクが大きい)によるので「回収力勝負」になるということだと思います。
しかし遅延損害金の利率はひどいですね。


しかしこの問題は突き詰めていくと賃貸住宅を借りるのに連帯保証人が必要、というしくみが少子高齢化のなかで機能しなくなっていることと、借地借家法上賃借人が保護されている(判例でも3ヶ月以上の滞納がないと解除が認められないことが多い)ことと、明け渡しの強制執行の時間と費用が高い、というところに行き着きます。

つまり、貸し手側としてはテナントが賃料を滞納した場合にかかるコストが大きいので、連帯保証人という人的担保を取るのが手っ取り早い、ということになります。
そうでなければ敷金を12ヶ月入れろとか賃料を2年分前払いしろ、というようなことになりかねません。
(ある意味2年分の家賃を1月分の保証料で保証するということは2年分の賃料を貸して分割返済するのと同じなので貸金業の規制をかけるのは規制の観点だけからならなじむかもしれません)


ところで、連帯保証会社を規制した場合、中期的には物件の競争力が高い物件は連帯保証人または保証会社(または高額敷金)を求め、競争力のない物件は保証人(保証会社)がいなくても仕方がない、ということになるかもしれません。
ただそれは長期的には、<競争力のない物件の収益力の低下→貸主(往々にして個人オーナーだったりします)の資力の低下→物件の資産価値の低下(修繕しない・点検しない)・貸主の信用リスクの低下(敷金が帰ってこないかも)→一層の競争力の低下>というスパイラルになる可能性もあります。
そうすると、社会のインフラとしての賃貸住宅の二極化とか一部でのスラム化の問題も出てくる可能性もあります。
現在でも街中に「どうしちゃったんだろう」というような老朽化した賃貸アパートが建っていることがありますよね。
東京R不動産などでは古い物件や人気のない物件を新しい切り口から発掘してビジネスにつなげていますが)


業者の行為規制と違約金の規制をして、あとは市場原理に任せるというのが当面の方策になるんでしょうか。


コメント
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