ジェンダーからみるカンボジア

カンボジア社会について、ジェンダー視点から色々な情報をお届けします。

出稼ぎに出る女性たちの権利擁護?

2009年07月13日 | 女性の自立



「国外に出稼ぎに出る女性と、お手伝いさん(Domestic worker)として雇用主の家で働いている女性たちの権利の保護」に関するセミナーが開催されたので、ちょこっとだけ顔を出しました。

会合の主催は、わたしが長年理事長をやってる団体、Legal support for children and women。女性と子どもに無料で弁護士を提供する団体。

国外に出稼ぎに出る女性たちは、さまざまな人権侵害の被害にあいやすい。

マレーシアに出稼ぎに行くと、パスポートを雇用主が取り上げちゃう(それが合法)。普通ならちょっと考えらえないよなあ。

1日10時間以上労働させられたとしても苦情を言える先がなく、我慢するしかない(家に閉じ込められている場合も多いし)。

かつてあった本当の事件。マレーシアで家事労働をしていたあるカンボジア人女性。あまりにもつらい目にあってどうしようもなくなって、でも家から逃げることが不可能だったので、2階から飛び降りて大怪我をしちゃった・・・

それでもマレーシア側は、「外国人を搾取なんてするわけないだろう!」って態度だから、カンボジア側からいろいろお願いしても対応してくれなかったりするらしい。カンボジア大使館もクアラルンプールにあるんだけれど、予算がないからなかなか対応してくれないらしい。だから、カンボジアのIOM(国際移住機構)事務所が、「お金だすからともかくすぐに被害者を救出してくれ!」って叫ぶ事態になってるんだよなあ・・・



他方、ドメスティックワーカーは?

カンボジアの労働法では、「ドメステッィクワーカーは本法律の保護対象とならない」と明記してあって、労働者として保護されないんだよなあ。

あまりにも幼い子どもをほぼ無料で働かせていたり、体罰を加えたり、一切休日を与えなかったり、信じられないような悲惨な環境で働かされている女性が数え切れないほどいるのだ。たいてい親戚関係とかで地方からプノンペンに奉公にきているから、給料なんてほとんどないに等しい。雇用主は、「食べさせてあげてるんだらか」って態度をとることも少なくないし。

そういった弱い立場におかれている女性たちを、どうやって保護していくか・・・

国連女性差別撤廃条約委員会では、2008年12月に、移住している女性労働者の権利保護のためにGeneral Recommendation No 26 というのを採択しているのだけれど、今後いったいどうやってこれを履行していくのかは大きな課題。

ILOやNGOががんばって政府(労働職業訓練省)に働きかけているけれど、課題が山積なので、なかなか取り組みが進まないとのこと。


いろんなところに、いろんな問題があるなあ・・・・

日本に出稼ぎにいくカンボジア人も、これから増加するかもしれないから、セーフティーネットが必要だよなあ。