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玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

式場さんのこと

2011年10月14日 | 日記
 ソフィアセンターに置いてあったDM葉書と、入口に貼られていたポスターに惹かれて、十日町市の「星と森の詩美術館」で開催中の「いのちの詩を謳う……式場庶謳子(しょおうこ)展」を観てきた。
 DMは《古代のヒト(母と子)》(一九九八)という作品をつかっている。その作品はアール・ブリュットを思わせる一見稚拙な作品で、異様な力強さを持っている。ポスターの方は《うたう古代のひとびと│星座と│》(一九九八)という作品で、こちらは群衆の上に蒼い星座を描いて、力強さと繊細さを混在させている。
「星と森の美術館」でまとめて五十点あまりを観て、その迫力に圧倒されてしまった。県内に、こんなすごいおばあさんがいたのかという発見の喜びがあった。木版画だが、そのほとんどは一点もので、複雑を極めた技法が駆使されている。
 ところで会場にあったリーフレットに、「父は歌人で国文学者の式場麻青」とあり、帰ってからどんな人なのかインターネットで調べてみたら、「越後タイムス見出し一覧」にヒットした。昭和六年一月一日号に「大阪南郊の寓居より」を寄稿している。
 さっそく読んでみると、麻青がタイムスの寄稿者の一人で、良寛研究家だったことが分かる。文中、「甥の古美術憧憬文も快読した」という一文があるが、その甥とは誰あろう、山下清の才能の発見者で精神科医の式場隆三郎のことであった。
 十日町に向かう途中、「式場庶謳子は式場隆三郎と何か関係があるに違いない」などと仲間と話していたが、隆三郎は庶謳子さんの従兄なのであった。
 隆三郎は戦前から昭和三十年代にかけて、「民芸」についての文章など、タイムスにたくさんの寄稿を寄せている。麻青の寄稿は、隆三郎の紹介によるものだったかも知れない。

越後タイムス9月9日「週末点描」より)

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