玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

グルメフェスタ

2012年11月01日 | 日記
 二十日・二十一日と市民プラザを会場に、グルメフェスタが開催され、予想を上回る大盛況だった。二十一日の昼食に、北海道の「うにめし丼」でも食べようと思ったのは甘い考えであった。どこもかしこも長蛇の行列ができていて、長時間待たなければ食べられそうもない。
 もともと行列に並んでまでおいしいものを食べようとは思わないので、すっぱりと諦めてラーメン店へ。ところがそのラーメン店も人でいっぱいの混雑ぶりで、それも諦めざるを得なかった。結局、スーパーの弁当を買って食べる結果となった。
 グルメフェスタには市内外から二日間で二万三千人もの人出があり、全て売り切れだったという。行列に並んでお目当てのグルメを食するのを諦めて、飲食店へ流れた客が大勢いたのである。遠くから来た人には気の毒なことだが、柏崎にとってみれば大きな経済効果があったわけだ。
 六日・七日に南魚沼市の塩沢で開かれた「国際ご当地グルメグランプリ」には、二日間で五万七千人もの人が訪れ、柏崎の「鯛茶漬け」が見事グランプリに輝き、二連覇を達成した。B級グルメばかりの大会で、鯛という高級食材をつかった「鯛茶漬け」が勝利をおさめるのは、考えてみれば当たり前のことである。
 ところで、本家のB1グランプリも二十日・二十一日に北九州市で開かれ、こちらは六十一万人の人出だったという。グランプリは八戸のせんべい汁。柏崎でもおなじみとなった福島県浪江町の浪江やきそばは、大健闘の第四位だった。B1グランプリは、まちおこしの有力な手段となりつつあり、出店団体の意気込みにも凄いものがある。
 裏返して考えてみれば、こうした現象は、大都市ばかりが栄え、地方が疲弊している日本の現状が大きな要因となっている。疲弊どころか、浪江町などは存在自体が危惧されているありさまではないか。B級グルメは町民をつなぐ最後の絆なのだろう。
 テーマパークや温泉施設などで都市間競争を行う時代は終わった。下手をすれば夕張市のように財政破綻に陥りかねないからだ。B級グルメによるまちおこしはお金もかからないし、創意工夫が要求されることから、自立心も育まれることだろう。
 柏崎観光協会では来年の「国際ご当地グルメグランプリ」を柏崎で開催することを目指しているという。その時は、もっと大きな会場を用意してもらいたい。訪れた人がお目当てのグルメにありつけるように。

越後タイムス10月25日「週末点描」より)

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使用済み燃料の問題

2012年11月01日 | 日記
 八月二十八日・二十九日の「これからの柏崎とエネルギーを考える」シンポジウムの取材は、長丁場の取材で疲れたが、これまでになかった画期的な試みの第一歩として評価したい。
 枝廣氏の講演について書くスペースがなかったので、ここで紹介する。枝廣氏はブータンのGNH(国民総幸福)を最初に取り上げ、GNP(国民総生産)の指標では、国民の幸福を測れないことを指摘する。価値観の密かな転換が始まっているというのだ。
 東日本大震災と福島原発の事故を目の当たりにして、価値観の転換は“密か”どころか、劇的に進んでいると言ってもよいのではないか。誰もが“豊かな”生活に疑念を抱き、経済を至上とする社会に息苦しさを感じ始めている。
 枝廣氏は講演で、経済よりも大事なものがあること、GDPよりも高い自給率(特に食糧)や人とのつながりを、新しい指標にするべきだと訴えた。原発を中心にまちづくりを行ってきた柏崎にとっては、耳の痛い話である。しかし、3・11以降、本気で考えていかなければならない一つの問題提起であった。
 もうひとつ、今回のシンポジウムで、棘のように突き刺さる発言があった。本間保氏の発言で、柏崎原発がこれから先、使用済み核燃料の保管場所となる可能性に触れた部分があった。核燃料サイクルが機能していない中、中間貯蔵施設を受け入れる場所がなければ、どこの原発でもいずれ敷地内が保管場所となる可能性は否定できない。
 原発事故による指定放射性廃棄物の受け入れ先選定もうまくいかないように、誰だって自分のところにゴミが溜まることは嫌に決まっている。使用済み核燃料や高濃度放射性廃棄物の問題こそ、原発への賛否を超えて考えていかなければならない問題である。

越後タイムス10月10日「週末点描」より)

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