玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

「北方文学」第57号始動

2006年02月13日 | 日記
 文学同人誌「北方文学」第57号の原稿が玄文社に寄せられはじめた。一番最初にそれらの原稿を読むのが、発行元の玄文社主人である私の役割である。小説については特に同人たちの相談を受ける。評価を求められるし、まずいところがあったら指摘することも要求される。
 その結果「書き直してほしい」と突っ返すこともあるし、そのまま編集会議に委ねることもある。編集会議をきちんとやることで45年も続いている「北方文学」の質を維持してきたつもりだ。集まった原稿をただ載せるだけなら簡単だが、そうはいかない。
 自分では小説を書いたことはない。このところ小説を書く同人たちが元気で、かなりのボリュームの小説を次々と送ってくるので結構読むのは大変だ。
 あるプロの作家の別名である美能憲二から「長屋門の聖夜」という小説が届いた。一晩で一気に読んだ。三島由紀夫への愛憎をバネにずっと書いてきた人で、今回はエピグラフに三島の「春の雪」の一節を使っている。文章の完成度も高く一気に読ませるものがあった。
 「長屋門の聖夜」に対して意見を求められているが、この小説のキーとなる”父と娘”の関係への異常なこだわりの部分を除けば、何も言うことはない。このまま編集会議に委ねることにしよう。
 編集会議は今月25日に玄文社で行うことにしている。