玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

ネズミとの死闘

2006年01月13日 | 日記
 コタツに入って、タイムス新春号の記事を書いていると、ガサゴソと音がする。視界に小さな黒いものが入ってくる。部屋の隅に置かれたテレビの下から、小さなネズミが恐るおそる顔を出しているのだ。
 先日、台所で麺類や粉類の袋が大量に食い破られる被害があったばかり。居間にも出没することが分かったから、ネズミが食べると死んでしまう毒入りのエサが二箇所に置いてある。
 体長五センチほどのその小さなネズミは、だんだん大胆になってきて、部屋のあちこちを走り回る。「気が散って仕事ができないじゃないか」。つかまえてやろうと立ち上がると、素速く逃げて隠れてしまう。記事に戻るとまた出てくる。寒いせいか、コタツに近づこうとまでする。立ち上がる。逃げる。立つ。逃げる。
 「ザルで捕まえてやろう」と台所のザルを脇に置いて、出てきたら捕まえようと身構える。二、三度捕獲を試みたが、うまくいかない。一度は尻尾がザルの端に引っかかったが、素速く逃げられてしまった。
 現在進行形で、この文章を書いているが、ネズミは大胆さを増してきて、何度でもテレビの下から出てくる。ザルを投げてもうまくいかない。「チクショー」。そのうち目の前で毒入りのエサをうまそうに食い始めた。「死ね、死んでしまえ」。しかし即効性の毒ではない。
 そのうち、人を馬鹿にして至近距離までやってくる。よく見ると可愛い。うちで飼っているウサギよりずっと可愛い。体力を消耗するから、つかまえる努力はやめた。いつか毒が体に回って死ぬ運命だ。部屋の戸を開け放って出て行ってもらうことにした。
 ところが、それでもネズミは出没を続ける。大胆にもコタツの布団に近づいて来て、目と目が合った時、ネズミの一瞬の躊躇を見逃さずに素手で捕まえた。あまりに小さくて可愛いので、バケツに入れて写真に撮った。
 その後、どう始末してやろうかと考えたが、そのままバケツに雪を入れて凍死させた。哀れだった。
 ところで、あんた。来年はあんたの出番じゃないよ。

(平成一七年十二月十八日記)