大正時代の家庭用児童劇の本を、正風館自由文庫から持ち帰った(2006.9.14)

2006-09-14 14:26:02 | Weblog

正風館(旧庄和町の公民館・現春日部市)の誰でも持ち帰れる自由文庫の“かくれ愛好者”は、どうもけっこういらっしゃるようです。

みんな本が好きなのです。今朝の新聞(朝日23面)に、千葉県の病院の“患者図書室で働く”という60歳の女性の生きがい話が大きく載っています。春日部市立病院にもあったような・・・と昔の記憶。私がいく春日部駅近くの診療所には、ロビーにあります。10円だったか入れて持ち帰れます。健康診断書が必要な時にいくのです。本好きが、もう病気状態であるのですが、チェックする項目がないから、いつも異常なしです。

昨日ブログを送って、自由文庫から持ち帰った本を開いていたら、これがけっこういい。ハード・カバーで、箱付きのしっかりした本。装丁・化粧箱や表紙のデザインが、84年後の今見ても美しい。
タイトルは、家庭用児童劇(坪内逍遥著)なのだが、表紙には、KATEIYOU-JIDO-GEKI ,TSUBOUCHI SHOYO SAKU とローマ字で入っている。大正11年11月4日発行。大正時代の文化の明るさが思われる。大正デモクラシーと言われた時代である。

こんなきれいな本を読んで、家庭で 劇を楽しむ時代があったのだ。現在よりはるかに、こころ豊な家庭生活だったのか、と思ってしまう。


定価の2円20銭が、生活費の中でどのくらいだったのだろうかと、考えてしまうのは、どうも自分の育った環境のせいだ。1960年代以前の日本は、貧しく、暗い日本だと、決めているからかもしれない。そんな日本は、先の戦争、長い戦争の間だけということを、覚えておかなくてはならないようだ。

子どもたちが家族や友だちとつくる劇のシナリオが12本が載っている。
家庭向きに劇の演じ方や、欧米家庭での劇や生活の例を引きながら、児童劇のありかたを論じている。なかでも、使用する“お面”・・・紙の立体お面の作り方は、楽しい。今、すぐにでも小学校の劇作りや、町の子どもたちと遊んでいるお母さんサークルに役立つだろう。
・・・・・ああ、小学校に学芸会がなくなって随分になるなあ、どうしてなくなったのだろうか。

 

 【おまけ】
私は、新聞やネット・メディアの著作権について、関わっていました。大正11年の本書末の次の記述は、全文引用したくなります。
今、この本に書かれていることの著作権は消滅しています。公演しても、問題ありません。
「本書に収載した脚本は特に家庭の為につくられたのですから、公演用に使用されることを辞絶します。家庭内の私演に採用なさるのは御随意です。家庭以外の実演はすべて公演と見做します。もっとも或る特殊な事情があって、著者が承諾した場合には、公演用に供することもありませう。若し公演を希望なさる場合にはすべて早稲田大学出版部へ御交渉下さい」。