*BROADSIDE-REUNION(Folkways-FR5315)、ディランは、Blind-Boy-Gruntの名前で歌っています。
先週の金曜日(9月28日)のことです。新宿で寄り合い(飲み会ではない)がありました。東京に出かけるときには、2つ3つ別のことを重ねるようにしていますが、持ち時間が少々だったので、いつものレコード屋さんに行っただけです。
ジャズではなく、アメリカのフォーク・カントリー・ブルースといったジャンル、(世間ではルーツミュージックというらしい)に強い店です。45年間、この種のレコードを追っかけていますが、いくつもあったレコード屋も、東京では、私を満足させてくれるのは、ここだけでしょう。
ディスク・ユニオン本店の5階です。この店は、私が現役中には、御茶ノ水にありました。新宿に移ったのです。
探しているジャンルは、さらに狭い範囲ですので、いつもの棚をさ~っと見れば終わりです。ぐらっときたのが3枚のCD。無収入者ですから、昔のようには大胆には買えません。1枚だけ!1枚だけ!です。3枚のうち1枚は、新しいからAmazonで買える。次の1枚は、絶対に他の人は、買わないから後日でもいいでしょう。残りの1枚は、ボブ・ディランのレア盤だから、今買わなければ、2度とお目にかからないだろう。
買っておかねばなりません。
私は、1970年代後半から、やたらボブ・ディランのレコードを買ってきました。1970年になってからです。1960年代には、レコードを買う余裕がなかったのです。
ボブ・ディランのレコードは、3種類に分けられます。
①公式のボブ・ディランのレコード;1年に1枚ぐらい出ていました。むろんすぐ買います。この頃は、新しく出たことを知っても、すぐに買わなくなりました。
② 海賊盤ですね。ブ-トレッグとか、プライベート盤とかいわれます。ライブ録音や、公式録音でボツになった録音(アウトテイク)が、海賊盤になって売られます。私が初めて神田で買ったのが、1975年ごろ、だんだん新宿あたりで買いやすくなっていきます。見つけて買うことに、夢中になりました。60年代、70年代の音源のものに特化して集めていました。その時代の音源のものは、パーフェクトに持っています。
③ もうひとつは、公式販売盤ですが、他のミュージシャンのバックで出ていたり、偽名で出ていたりする、セッション参加レコードともいわれます。むろん、山のようにある諸先生のディラン解説本・攻略本によって知り、レコードを買うわけです。
解説本もあまりなかった70年代、解説本からの知識なしで<ディランが参加しているのに違いない>と買ったレコードが、その後ディランが参加していたことを知る<私の発見盤>も、たった1枚ですがあります。公式販売盤ですから全部買えます。
この③のレコードで、一枚だけ持っていないのがあったのです。
先日買ったCDは、持っていなかったレコードのCDなのです。
ディランが田舎(ミネソタ)からニューヨークに出てきたのが1961年。初めてレコードが出たのは1962年。1963年に2枚目。1964年に3枚目です。
その頃、アメリカは、フォーク・リバイバルの真っ只中、公民権運動の真ん中でプロテスト・ソングが歌われていました。そういう連中は、薄っぺらな雑誌“Broadside”(ブロードサイド)に歌を発表し、歌われていったのです。そんな歌は、集めてBroadside・Recordからレコードになったのです。
Broadside・Recordから6枚のレコードが出てて、第1巻と第6巻に、ディランの歌が入っていたのです。1巻(Broadside・Ballads)に4曲、6巻(Reunion)に2曲です。1巻(Broadside・Ballads)は、後に日本でも発売されました。
6巻(Reunion)は、買うことができなかったのです。
それが、このあいだ買ったレコード(CD)なのです。
月日が流れ、フォークソングの時代はおわり、レコードもCDにとって変りました。そうして、今パソコンにダウンロードする時代で、CDそのものも消えそうです。
Broadside・Record会社は、スミソニアン博物館の音楽部門に吸収されました。
その時代の、懐かしいレコードは、博物館に保存という時代です。実は、このCDは、博物館(Smithsonian-Folkways-Archive)から、ダウンロードできるのです。有料です。
だから、いつでも聞けるのですが、やはり、あのレコードと同じデザインのカバー(ジャケット)がいるのです。この間、買ったCDは、正確にはCDではなく、CDRなのです。自分でダウウンロードするのと同じです。
そのレコード屋で店員さんが、電話で客と応対しているのが、聞こえてきました。
電話の相手は、3000枚ほどのレコードを売りたいと言っているようでした。店員さんは、<1枚10円ぐらい>と言っているようでした。
今回、買ったCDは、コレクター気分を満足させてくれましたが、おそらく聞かないでしょう。
完璧に揃っています。<ボブ・ディランの有数のコレクション>ですが、もうボツボツ捨てることを考えねばならんでしょうね。残った家族には、捨てるのにもお金がかかるのだそうです。
いったい今まで、何ぼ!かけて買ったのでしょうね。
【おまけ】
* 長いこと探していた6巻(Reunion)ですが、その曲そのものは、海賊盤になっていて聞いてはいるのです。
* また、Broadside・Recordの1巻から6巻は、後に<全集>になって発売され、それは、もちろん持っています。
その辺のことは、以前ブログに書いています。<ここです>
*ということは、要するに、わたしゃ、アホですね。