「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

演技性パーソナリティ・スタイルになるために (2)

2006年12月30日 12時04分26秒 | 「パーソナリティ障害がわかる本」 より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43714214.html からの続き)

 演技性パーソナリティ障害の人は、容姿や性的な魅力ばかり 重視しますが、

 それらは年齢と共に どうしても衰えていきます。

 若いときの付き合いでは 大切であっても、

 人生の長い付き合いにあっては そうではなくなってくるでしょう。

 それよりも 人間的な内面を 成長させるほうが、より重要になってきます。

 趣味や教養や家事など 身の回りのことや、自然と触れることなどに

 楽しみを見いだせるようになると、バランスが取れてきます。

 子育てなども 自分を縛ることではなく、

 逆に自分自身が 教わることが多いと思います。

 演技性パーソナリティ障害の人は 感覚的な面が得意で、

 じっくり考えるのが 苦手なことが多いが、

 感性の長所を伸ばすと同時に、

 日記などを付けることが 自分と向き合う 良い機会になります。

 
 また、楽しみを残しておくということが うまくできません。、

 絶えず楽しもうとして どれも充分に味わえなかったりします。

 でも ひとつひとつのことを じっくり楽しむようにするほうが 幸せです。

 それが人生を より深みのあるものに してくれることでしょう。
 

 演技性パーソナリティ・スタイルの人は、

 人を楽しませる職業が 向いています。

 タレントや接客業,サービス業,営業の仕事などです。

 家の中にこもっていると 鬱屈しがちですから、

 外に出て活躍することで、活き活きとした生活ができるでしょう。

〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕
 

演技性パーソナリティ・スタイルになるために (1)

2006年12月29日 21時31分01秒 | 「パーソナリティ障害がわかる本」 より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43673967.html からの続き)

 自分が人々の注目の的に なっていないとき、

 苛立ったり 悲しんだりしている 自分の性格に、

 まず 気付くことが必要です。

 その次には、そういうときに 人目を引こうと

 血道を上げてしまう 自分の行動を 認識することです。

 演技性パーソナリティ・スタイルの人は、

 いつも人の賛美や支持を 貪欲に求めるのではなく、

 それらを ゆとりを持って 楽しむことができます。

 誉められようとして 欲張りすぎると、

 かえって株を下げてしまうことが 分かっているからです。

 演技性人格障害の人には、注目への激しい飢餓感があります。

 必要以上に 人の関心を集めようと がむしゃらになってしまうのです。

 そんな自分を 省みてみることです。

 むさぼるような気持ちを セーブできるようになったとき、

 人は本当に魅力的になるのだ ということを 理解することが肝要です。

 周囲の人も、何気ないほめ言葉や 評価をしてあげると、

 本人の注目への飢餓感は だんだん和らいでいきます。

 まず 癒される段階が必要です。

 そんな関係が ある程度築けると、人目や体裁だけに左右されず、

 自分の気持ちを 大事にしていくことが できるようになります。

 演技性パーソナリティ障害の人は、

 個性的なふうに振る舞いながら、単に突飛なだけであることがあります。

 うわべだけで、人真似である場合もあります。

 オリジナリティを発揮するには、周囲の評価を適切に受けながら、

 自分自身の価値観や感性で 歩んでいくことが大切です。

 周囲の人も 本人のその人らしさを 讃えてあげてください。

〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43729351.html
 

演技性パーソナリティ障害と 演技性パーソナリティ・スタイル

2006年12月28日 11時57分52秒 | 「パーソナリティ障害がわかる本」 より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43643478.html からの続き)

 演技性パーソナリティ障害の人は、人の関心や注目を 引こうとするあまり、

 逆に自分をだめにしたり、嫌われたりしてしまいます。

 容姿やセクシュアルなことに 非常に重きを置き、

 「小悪魔」 と言われる人が 典型的なタイプです。

 蠱惑的な魅力で 人を惑わして もてあそび、

 自分に尽くさせますが、こちらから愛を与えることはありません。

 そうして 世を渡って行ければいいのですが、

 演技性パーソナリティ障害の人の内面は、

 弱くて傷つきやすいものを 持っています。

 外面的には人目を引き チャーミングに見えても、

 にわかに落ち込んだり、不安や虚しさに 捕らわれたりしてしまいます。

 とても 人に依存するところがあって、人に囲まれていないと 心配でなりません。

 人の外聞に寄りかかっているため、相手が期待に応えてくれないと

 一遍にふさぎ込んでしまいます。

 
 一方 演技性パーソナリティ・スタイルの人は、

 ファッショナブルで人を魅了し、印象深い振る舞いをしますが、

 人を惑わせたり 妙にセクシーではなく、たしなみがあります。

 誉められたり もてはやされるのは好きですが、

 そればかりを求めて 踏み外したりはしません。

 センシュアルな楽しみを 大事にする一方、大胆さと慎ましさを使い分け、

 感覚的に不満足でも 辛抱することができます。

 パフォーマンスが得意なので、大勢の人の前でも 堂々と自己表現ができます。

 感情や愛情を全身であらわし、自分もパートナーも 楽しみますが、

 放縦にならないよう 慎みを心得ています。

 自分の価値観や 好みも大切にしながら、

 場当たり的ではなく、筋を通して 務めを果たします。

 自分も人々も楽しむために、見かけだけではなく、

 内実の伴った 表現をすることができるのです。

〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43714214.html
 

自己愛性パーソナリティ・スタイルになるために

2006年12月27日 11時19分32秒 | 「パーソナリティ障害がわかる本」 より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43613894.html からの続き)

 自己愛性人格障害の人は 自分のことしか考えず、

 自分を誇示したり 自慢話をしたりします。

 相手の人は お世辞を言いながらも、内心では

「また自慢話か、幼稚な人だ」

 と思っているかもしれません。

 自己愛性パーソナリティ・スタイルの人は、自分のことだけでなく

 相手がどう思うかということも 考えることができます。

 それによって 自分の言動を抑制することができるのです。

 自己愛性人格障害の人は、自分の利益や満足を

 近視眼的にしか 考えることができません。

 これは 他の人格障害にも通じることで、

 彼らは刹那的な 快・不快の感情を求めてしまうのです。

 でも 自己愛性パーソナリティ・スタイルに成熟していくと、

 長期的な視野で 自分の利害を考えることができます。

 今は不満でも のちにより大きな充足が得られるなら、

 我慢することができます。

 そうすると 周りとのトラブルも抑えられるし、

 かえって人から信用され 評判も高まるでしょう。

 そのほうがずっと 自分にとって得策だと 了解しているわけです。

 要するに 自己愛性人格障害を克服していくには、

 自分中心の欲求に 捕らわれるのではなく、

 視界を広く 大きくしていくことです。

 それはどんな人にとっても 人間的に成長していく道でしょう。

 自己愛性の特性を 活かせるようになれば、

 自信を持ち、自分を進歩させ、社会的にも活躍することができます。

 政治家や実業家,弁護士や医師などには、

 こういうタイプの人が 多いといいます。

〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43673967.html
 

自己愛性パーソナリティ障害と 自己愛性パーソナリティ・スタイル

2006年12月26日 12時23分02秒 | 「パーソナリティ障害がわかる本」 より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43577077.html からの続き)

 自己愛性パーソナリティ障害の人は、

 自分は人から尊敬され 有名になれる人間だと信じています。

 自我が肥大していると言えます。

 自分は偉大であり、しかるべき成功をすると 夢見ており、

 傲慢で 人の立場を考えません。

 「自分は賞賛され、特別な扱いを受けなけれならない」

 というのが基本信念です。

 自分のために 他人を利用することしか考えません。

 ナルシストとも言われ、このような人は多くなっています。

 しかし、それらの特性を 良い方向へ向けて、

 社会や仕事に 適応させることができれば、

 それは 「自己愛性パーソナリティ・スタイル」 になります。

 
 自己愛性パーソナリティ・スタイルの人は、

 健全な自信を持ち、目的のために努力することができます。

 それを誇示したり 不遜な言動を取ることはありません。

 逆に 人に媚びることもしません。

 相手の心や事情にも 注意します。

 それが結果的には 自分に有益になって戻ってくると、

 長い目で見ることができるのです。

 夢と現実を区別するよう 気を付けています。

 誉められれば喜びますが、自惚れることなく 批判にもしっかり耳を傾けます。

 良薬は口に苦いということを 知っているのです。

 思うがままに うまくいかなくても、感情的にならないよう 心がけています。

 取り乱しては 自分の品位に関わり、自尊心を傷つけることになるからです。

 また、他人の幸せや出世などにも 敬意を払います。

 ジェラシーや悔しさを 向上心に転化し、ポジティブに努力していこうとします。

 自己愛性パーソナリティ・スタイルの人は、利得にも敏感です。

 ただし その場の損得でなく、長期的な立場で 物事を冷静に見ることができます。

 自分のために 周りのものを役立てることもしますが、

 相手を活かすことによって 結局 自分もより多くの利益が得られることを、

 理解して 実行することができるのです。

〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43643478.html
 

境界性パーソナリティ・スタイルになるために (2)

2006年12月25日 10時55分58秒 | 「パーソナリティ障害がわかる本」 より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43548663.html からの続き)

 境界性パーソナリティ障害の人には、

 自分をサポートしてくれる人が なくてはなりません。

 しかし 密着すぎて、双方とも傷ついてしまうことが多いのです。

 そうならないためには、自分一人で歩いていける 足腰を持つことが必要です。

 日頃注意しながら 一人歩きのトレーニングしていけば、

 少しずつ 自分で自分のことが できるようになります。

 何かある度に 人に電話してすがったり、

 一人が淋しくて すぐ誰かを求めたり、

 何でも人に頼ったりしないよう 自分を鍛えるようにしてみてください。

 そうしていくうちに、自分で自分を支える力が

 案外 自分にもあるということが 分かっていくでしょう。

 また、一人で時間を過ごすことにも 慣れるようにしてください。

 それは自分自身に向き合う 良いチャンスとなるでしょう。

 大切に思う人が 実際に目の前にいなくても、

 心の中で その人の存在を しっかり感じることができます。

 離れていても不安にならず、その人の愛情が信じられれば、

 この障害を乗り越えられた ということになるのです。

〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43613894.html
 
 

境界性パーソナリティ・スタイルになるために (1)

2006年12月24日 13時09分25秒 | 「パーソナリティ障害がわかる本」 より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43517719.html からの続き)

 境界性パーソナリティ障害の人は 感情的になるとそれで一杯になり、

 自分も相手をも 呑み込み尽くしてしまいます。

 でも 人との関係を壊さないために、先方に何でも 要求しすぎないことが肝心です。

 一遍に没入しないよう 欲求をセーブし、

 一歩一歩 相手との関わりを作っていくことです。

 大切な人であればあるほど、少しずつ歩んでいくほうが かえって絆が深まります。

 少し飽き足りないくらいのほうが 長続きするし、良い人間関係ができるのです。
 

 また 気持ちが沈んだり 不安になるときは、

 とやかく考えるよりも、今は疲れているのだと思って

 早く休んだり のんびりするほうが賢明です。

 逆に 境界性パーソナリティ障害の人は、

 調子がいいときは 頑張りすぎてしまいがちです。

 そういうときには 無理をしないようにし、

 調子がよくないときには じたばたしないよう 注意してください。
 

 パーソナリティ障害の人は 親に対しての執着が かなり深いと言えます。

 親に強い愛着を持つ一方、怒りや憎しみなどを感じており、

 このジレンマが 本人にも周囲にも 辛い思いをさせてしまいます。

 でもいつかは 親から自立していかなければなりません。

 そして、親のほうにも そうならざるを得なかったのだという理由や、

 様々な事情があったということを 知っていくことが必要です。

 広い視野で見られるようになれば、親に対するネガティブな気持ちも和らぎ、

 自分にとって大切な人として 受け止められるようになるでしょう。

 そのためにも、お互いに問題から逃げず 正面から向き合って、

 何度も繰り返し 関わり合っていくことが 求められます。

 そういうプロセスを経過して、真の親子の縁を 回復することができます。

 親としっかり 結びついていることが感じられれば、

 親との確執から 解放されていくのです。

〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43577077.html
 

パーソナリティ障害から 「パーソナリティ・スタイル」 へ

2006年12月23日 12時01分34秒 | 「パーソナリティ障害がわかる本」 より
 
 「パーソナリティ障害がわかる本」 岡田尊司 (法研) という本があります。

 10種類の人格障害を 解説しているものですが、

 この中で筆者は、「パーソナリティ・スタイル」 という 考え方を示しています。

 それぞれのパーソナリティ障害が 回復したときに、

 各パーソナリティ障害の 特徴を持ちながら、

 病的な偏りではなく コントロールする力を身につけ、

 バランスの取れた個性として 成熟していくというものです。

 パーソナリティ・スタイルの特性を、

 「パーソナリティ障害がわかる本」から 紹介してみましょう。
 
 

 境界性パーソナリティ障害は、「境界性パーソナリティ・スタイル」 という

 魅力ある個性へと 育っていくといいます。

 境界性パーソナリティ・スタイルの人は、人との関係を大事にします。

 でも、あまり執着しないように 抑制することができます。

 感受性やイマジネーションが豊かで、表情や振る舞いも魅力的です。

 気持ちが時々変わったりしますが、それがエネルギッシュでもあります。

 気分がすぐれないときは 迷わずに休みを取り、元気を回復するようにします。

 様々なことに興味を持ちますが、その場限りにならないよう 程合いを心得ています。

 特に心を寄せる人を信じ、その人とのつながりに重きを置きます。

 裏切られるのではないかという 不安に陥ることなく、

 相手を信頼して大切にし、愛情を持って 接することができるのです。

〔 岡田尊司 「パーソナリティ障害がわかる本」 (法研) より 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43548663.html
 

「ひやかす」? 

2006年12月21日 12時42分08秒 | 心子、もろもろ
 
 心子は 僕の部屋で食事をしたあと、

 「ひやかして」 と言うことがありました。

 「飯なんか食いやがって、 ひゅー、ひゅー!」

 いえいえ、そうではありません (^^; )。

 汚れた食器を 水に浸しておくことを

 心子は 「ひやかす」 と言ったのです。

 彼女は それが珍しい言い方だという 自覚もありませんでしたが、

 僕は 初めて聞きました。

 心子と同じ東京出身の 僕の親父も、聞いたことがないと 言っていました。

 心子は足立区の育ちですが、局地的な方言なのだろうか とも思い、

 長年の “謎” でした (^^; )。

 そこで ネットで調べてみました。

 すると、富山, 新潟, 長野などで

 この「ひやかす」 という言い方がされているのが 分かりました。

 心子は 富山に親しい友人がいる と言っていましたが、

 それで 知らないうちに覚えたのでしょうか? 
 

 「水に浸ける」 という意味での 「かす」 という言葉は、

 「淅す」 「浸す」 「漬す」 として 古語辞典に載っているとのこと。

 水に浸すから 「冷やかす」? 

 でも お湯に浸けるのも 「ひやかす」 と言うそうです (^^; )。

 お米を 水に浸しておくのも 「ひやかす」 と言う人もいました。

 ちなみに 愛媛では 「かしとく」,

 北海道では 「うるかす」,

 津軽では 「うるがす」 と言うとか。

 方言の不思議を 改めて感じますが、

 心子がどうして 自覚もなく 「ひやかす」 を覚えたのか、

 いまだに “謎” です (^^; )。
 

エピローグ

2006年12月20日 11時26分14秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43391733.html からの続き)

 身体障害者,がんの告知,ハンセン氏病,エイズなど……、

 かつて タブー視されていたものが、

 次第にオープンにされ 偏見が取り除かれつつある。

 今や 精神障害者の番である。

 精神障害者の人権を守ろうという マスコミの配慮が 逆に、

 今まで 彼らの存在を覆い隠し、偏見を 生んでしまったのかもしれない。

 精神障害者の移送という、一見スキャンダラスにも 見えそうな仕事を、

 決して 際物として捉えるのではなく、

 人の心の絆を見つめなおす きっかけとしたい。
 

 少年の凶悪事件が続発し、引きこもりの若者が増え、

 家庭が崩壊していると 言われる現代、

 家族のあり方という 今日的な問題が 立ち表れる。

 物質的豊かさを求めて 盲進してきた 20世紀後半だが、

 その結果 人間性が疎外されてきてしまった。

 人間の幸せとは?

 生きる意味, 目的とは……?

 新しい世紀を迎えて、我々はそれを 問いなおすときが

 来ているのではないだろうか。

(以上)
 

精神障害者に対する 社会の理解とサポートを (2)

2006年12月19日 10時02分41秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43359978.html からの続き)

 今日もまた 精神障害者に関する 悲しいニュースが報じられる。

 そのたびに 押川氏は思う。

 一般に 精神障害者たちは 優しく繊細で、

 物事をごまかせずに 真面目に生きている人が多い。

「決して 嘘をつかない人たち」。

 押川氏は 彼らのことを そう言う。

 精神障害者の本当の姿を もっと身近に知り、

 普通の人たちとして 付き合っていくことが望まれる。

 彼らの発する サインを受け止め、

 必要なときには 適切な医療に 結びつけられるように しなければならない。

 もしも 精神障害者が事件などを 起こすことがあるとしたら、

 それは 彼らのことを知らずに 敬遠してきた 我々社会全体の責任だ。

 引きこもりや 自傷他害などの行為は、

 救いの手を求める 彼らの必死の叫びなのだと、押川氏は訴える。
 
 

 押川氏によって 医療に繋がり、退院後も 彼と関わりを 続けている家族もある。

 押川氏の目的は 患者を病院に 連れていくことではない。

 患者と家族が 絆を取り戻すことなのだ。

 かつて 患者が幻聴や幻覚に 苦しめられたことさえ、

 笑って話せる関係が そこにはできあがる。

 それが 彼が求めている 本来の人間の姿なのである。

 そんな 押川氏たちの笑顔がまぶしい。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43425852.html
 

精神障害者に対する 社会の理解とサポートを (1)

2006年12月18日 11時31分39秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43326786.html からの続き)

 押川氏が 移送に関われる患者は、

 それを必要としている人たちの 氷山の一角に過ぎない。

 行き場もなく 困惑している 精神障害者や家族は、

 実は 目に見えない所に あふれるほど存在している。

 自らを傷つけたり 事件を起こす寸前の、

 一刻の猶予もできない状況で 患者と家族はあえいでいる。

 しかし 多くの精神障害者の家族は、移送業の存在さえ知らない。

 また、細い糸をたぐるようにして 押川氏のもとを訪れても、

 ヒヤリングの結果 条件が整わず、

 移送の契約にまで 至らなかったケースが 圧倒的に多い。

 事務所に山積みされた 実現できなかったファイルを見ながら、押川氏はそう語る。

 精神障害者と家族の 切羽詰まった現状を理解し、もっと受け皿が増え、

 患者と家族を サポートする体制が 整ってほしいと、彼は切望している。

 1999年の 精神保健福祉法 改正により、移送が法律的に 明文化された。

 また、2002年4月には 精神障害者 居宅生活 支援事業が 施行される。

 そうした状況を 踏まえて押川氏は、

 行政や企業に向けて 移送のコンサルティングも 精力的に行なっているのである。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43391733.html
 

精神障害者の心をつかむ 説得術 (2)

2006年12月17日 10時29分19秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43307536.html からの続き)

 押川氏の 説得のノウハウは 全く独自のものだ。

 彼は 心理学や精神医療の 専門的な勉強をしたことはないという。

 学問的な知識や マニュアルではなく、幾多の現場を踏んだ 経験から培った勘と、

 研ぎ澄まされた感性で 患者の心に入り込む。

 ヒヤリングを通して 患者が何をしてほしいのかを読み取り、

 それをぶつけることによって 一気に患者の心をつかむのだ。

 一般に 心理の専門職は、時間をかけて 患者を受容することによって 理解していく。

 しかし 押川氏の場合は それとは逆に、

 彼の熱い想いを 患者のほうが理解するのである。

 感情をぶつけることを恐れず、ときには 声を荒らげることもあるが、

 患者を好きなんだ という押川氏の本心が 相手には伝わっていく。

 今まで 誰からも置き去りにされてきた 精神障害者たちは、

 本気で体当たりしてきてくれることを 内心望んでいるのだろう。

 最後は言葉ではない。

 彼らのSOSのメッセージを 全身で受け止めるのだ。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43359978.html
 

精神障害者の心をつかむ 説得術 (1)

2006年12月16日 18時07分47秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43269747.html からの続き)

 押川氏は タイミングを計って、いよいよ 精神障害者本人と直接会い、

 説得する作業が始まる。

 彼は一人の人間として、精神障害者と対等の立場で 友達になっていく。

 誰にも物おじせず近づける、彼ならではの 率直で巧みな話術。

「いま 助けに行きますからね。

 ちょっと待っててくださいね」

 部屋に引きこもって 誰も入れない若い患者に、押川氏は声をかける。

 寄ってたかって 病院へ行けと言われる 患者に対しては、

「助けにいく」 という言葉が 一番心に届く。

「お前ら、殺してやる!」

 獣のような形相で ナイフを突きつける 患者に対しても、

 押川氏は 少しもひるまない。

「いいから ちょっと座ろうよ。

 私たちは あなたを捕まえようとしてる わけじゃありません。

 あなたの話も きちんと聞きます」

 彼が 床に腰を下ろして 患者の眼を見つめると、

 相手も 気持ちが落ち着いてくる。

 時には 猥談に花を咲かせて、患者の心に 入っていくこともある。

「皆 あんたのことが 好きなんだよ!

本気で心配してるんだよ!」

 押川氏は必死で 自分の想いをぶつけるのだ。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43326786.html
 

移送の依頼から、精神障害者と会うまで (2)

2006年12月15日 11時37分10秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43244296.html からの続き)

 親分肌の押川氏は 社員に対する指導も 手厳しいが、何よりも人材を大事にしている。

 スタッフは リストをもとに、移送先の病院に 片っ端から電話をかける。

 しかし 入院先を確保するのは 困難を極める。

 病院側は、難しい患者を受け入れて 事件を起こされては

 責任が取れない と言うのだ。

 一方 警察は、事件を起こすまで 立ち入れないと言う。

「事件を起こして 措置入院させればいい」

 と言う あり様である。

 そうならないよう 病院で治療するべきなのに 本末転倒だ。

 保健所などの 行政も腰が重い。

 家族も 世間体ばかり考えて、患者のことを隠したり、

 厄介者払いのために 入院させようとすることが 少なくない。

 そしてマスコミも、精神障害者の問題は

 人権が絡むための 批判を恐れて 触れたがらない。

 皆が 精神障害者の抱える問題から 逃げている、と押川氏は訴える。

 彼は、入院の必要を認めない病院に 患者のビデオを見せて、

 症状の深刻さを 証明することもある。

 周囲が 精神障害者の現状を もっと理解し、受け入れ体制があれば、

 早期発見 早期治療ができ、問題を深刻化させなくてすむのだ。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/43307536.html