※ 練習3-3 焦点のシフト
意識の流れにおいて、 焦点を当てているものを特定するものです。
注意をあちこちに シフトさせるのに役立ちますが、
感情と感覚の焦点のシフトを 区別するのに役立ちます。
現在の瞬間の経験と、 感情的に内的に起きていることを 分離することによって、
どちらに焦点を当てるかという 選択肢を与えてくれます。
練習の前に、 現在どのように感じているかということを 見極める必要があります。
人が完全に無感情であることはありません。
次の指示を読んでください。
レコーダーに録音しておいて、 流しても構いません。
● 指示
10分間は邪魔されない部屋で、 落ち着いて座ります。
注意をそらす音は消してください。
ゆっくりと深呼吸を数回し、 リラックスしましょう。
目を閉じて、 自分がどのように感じているか注意し、 感情に名前を付けてください。
感情に形があったら どのように見えるか思い描いてください。
〔以下、 焦点 (注意) をシフトさせるごとに、
それを時間をかけて行ない、 ゆっくり深呼吸を続けます。
シフトさせるごとに 1分間、 間を置いてください。〕
目を開けて、 何かひとつの物に 焦点を当てましょう。
形と色に注目し、 手にした感じや 重さなどを想像してください。
その物について できるだけ詳しく表現しましょう。
目を開けて、 自分の感情に焦点を戻してください。
感情を表わしていると思う 音について考えましょう。
騒音でも歌でも結構です。
次は、 感情に関連した 行動について考えてください。
感情への理解を深めるものなら 何でも構いません。
ここで目を閉じたまま、 聞こえてくるどんな音にも注意しましょう。
部屋の外や中から聞こえる音が、 何であるか留意してください。
思考によって注意がそれたら、 焦点を聴覚に戻します。
焦点を感情に移し、 感情の強度と特徴を描写しましょう。
創造的になって、 必要なら比較してみてください。
今度は、 嗅覚に集中します。
何の匂いにも気付かなければ、 空気が鼻孔に入っていくのを 意識しましょう。
焦点を感情に戻します。
感情に関して抱いている 思考に注意しましょう。
できるだけ具体的に、 その思考が別の感情でないことを 確認してください。
最後に、 触覚に注意を向け、 何か物に触れましょう。
どんな感じがするか留意しましょう。
指先で感じる感覚に 注意してください。
終わったら、 ゆっくりと3~5回深呼吸をし、 焦点を部屋に戻しましょう。
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
[星和書店の許可のうえ掲載]