「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ホクロとがん (1)

2013年10月31日 22時41分45秒 | Weblog
 
 梅津コーチがメラノーマで逝去したとき、 ホクロとがんの違いの記事を書きました。
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/63530718.html )

 ワイドショーで放送していた内容を 基にしたものでしたが、

 きのう 「ためしてガッテン」 で ホクロとがんの違いをやっていました。

 ワイドショーの内容と 一部違っていましたが、

 「ためしてガッテン」 のほうが 信頼性があるかと思うので

(ワイドショーを 否定するものでは全くありません)、

 少し書いてみようと思います。

 ホクロとがんの違いとして、 一般的に次のような  “噂” が言われています。

1. 足の裏や手の平にある

2. だんだん大きくなる

3. 色が青い

4. 盛り上がっている

5. 形がいびつ

6. ホクロの毛を抜いたり、 ホクロを取るとがんになる

 1. と6. は、 いわば 刺激が与えられると がんになると言えますが、

 医学界でも数年前までは そう考えられていたそうです。

 「巨人の星」 で、 星飛雄馬の初恋の人・ 美奈は

 悪性黒色腫 (メラノーマ) で亡くなりますが、

 メラノーマになった理由は、 爪の中のホクロを 針で突いたからでした。

 ところが これは間違いであるという 論文が発表されました。

 ホクロががんになることは、 ほとんどないといいます。

 また、 毛が生えているものは がんではありません。

 毛が生えているということは、 毛の組織を 壊していないということです。

 悪性の細胞だと その部分の組織をけちらして 増殖するので、

 毛が生えなくなってしまうのです。

〔 NHK 「ためしてガッテン」 より 〕

(次の記事に続く)
 

小さな事いくつか (3)

2013年10月24日 20時25分24秒 | Weblog
 
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/63680727.html からの続き)

○ 神宮外苑に建設される新国立競技場が、

 巨大すぎるという 異論が出ていることを書きました。

 早速 その計画が縮小されるという 新聞記事が出ていました。

 競技場は総工費1300億円で デザインを公募しましたが、

 採用されたイラク女性建築家の設計では 3000億円にのぼることが分かり、

 下村五輪相は  「デザインは生かすが、 周辺は縮小する」 と述べたとのこと。

 審査の段階で 費用が検討されなかったのか 不思議に思いますが、

 これで 心子との想い出の場所の変容も 縮小されることになるでしょう。

○ 心子の墓参りに 自転車で行く途中、 少し横道に入いると、

 心子が入院していた病院があることに 気が付きました。

 心子が重症の捻挫で 入院した所ですが、

 先日墓参りに行ったとき、 地図を見ながら行ってみました。

 当時 何回か見舞いに行ったのですが、 最寄り駅や道筋, 病院内の作りなど、

 覚えがある所と 全く記憶に残っていない 所がありました。

 自分の記憶はこんなものなのだろうかと 思ってしまいました。

 病院のトイレなどは綺麗だったので、 改修されたのかもしれません。

 (案内係の人は、 この10年で 改築はされていないと言っていたのですが。)

 人目に付かない屋上で、 心子と久しぶりのキスをしたのですが、

 屋上へは出られなくなっていて、 これも変わってしまったのかと思いました。

 でも A棟の隣に B棟があることが分かり、 その屋上へ行ってみると、

 間違いなく 想い出の屋上の風景でした。

 当時 一度行っただけの屋上でしたが、

 印象深い所は 覚えているのですね。  (^^;)
 

声のかすれ (2)

2013年10月23日 21時06分07秒 | Weblog
 
(前の記事からの続き)

 声帯は、 肺に食べ物や細菌が入るのを 防御する役割もしています。

 誤って 気管に食べ物が入りかけた時は むせますが、

 これは 異物を外に出すために、 声帯から勢いよく 空気を吐き出すからです。

 反射的に 一回声帯を閉じ、

 中の空気の圧力を高めて、 出す力を強くして 咳をするわけです。

 しかし声帯が萎縮してくると、

 声帯がしっかり閉まらず、 圧力を保つことができなくなります。

 すると 吐き出す空気も弱くなり、 声帯の隙間から 細菌が入ったりしてしまいます。

 肺に侵入した細菌が 増殖すると誤嚥性肺炎を起こし、

 最悪の場合は 命を落とすこともあるというのです。

 日本人の死因の3位は肺炎で、 その8割は誤嚥性肺炎とされています。

 さて、 声帯の衰え (発声機能) をチェックする 簡単な方法があります。

 息を思い切り吸い込んで、 声を可能な限り 長く出してみます。

( 「あ~」 でも 「う~」 でも、 小さい声でもいい)

 10秒続けば 問題ないとされます。

 σ (^^) は 30秒ほど出せました。

 でも σ(・_・;) 声がかすれることは確かです。

 そこで、 発声の筋肉を鍛え、 声帯の隙間をふさぐための 発声法があるそうです。

 「発声機能拡張訓練」 と言いますが、

 “声のエレベーター訓練” というようなものです。

 自分が出せる 低声から高声まで、 声が途切れないように出し続け、

 声を上下させる方法です。

 会話程度の声の大きさで、 声量を変えずに、 低音と高音の間を 2往復させます。

 これを1日2回、 4週間ほどで 効果が現れるといいます。

 当面、 命の心配はないとしても、 声のかすれは気になるので、

 このトレーニングをやってみようと思います。  (^^)

〔 テレビ朝日 「モーニングバード!」 より 〕
 

声のかすれ (1)

2013年10月22日 21時03分31秒 | Weblog
 
 いつ頃からか、 声がかすれることが多くなっています。

 前の職場で 気持ちがこわばる時に そうなることが多かったような気もして、

 精神的なものなのだろうかと 心療科のドクターに尋ねたこともあったのですが、

 はっきりした答は聞けませんでした。

 たまたま昨日、 TVで 声のかすれのことをやっていて、 注目して見てみました。

 声のかすれは、 声帯の衰えなのだということです。

 声帯は 筋肉と粘膜でできていますが、

 他の筋肉と同じく 加齢などによってやせ細ります。

 声帯が萎縮すると、 隙間が空いて 空気が漏れてしまい、

 声がかすれるのだそうです。

 その他の 声枯れの原因としては、

 大声を出しすぎることや、 アルコール, タバコがあります。

 大声を出すと 声帯が激しくこすれ合って タコができ、

 声帯の振動がうまくいかなくなります。

 また、 タバコや過度のアルコールは 声帯に炎症を起こし、

 かすれ声の原因となります。

 僕はタバコは吸いませんが、 毎晩 大量の飲酒はしていました。

 でも前の職場で 心療科を受診したときから、 寝酒をぴたりとやめたので、 
(参照:http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/63172283.html )

 アルコールの影響は あまりないかもしれません。

 ただ、 僕は激辛好きで、 唐辛子を 一面真っ赤になるまでかけるため、

 喉にも良くないでしょう。

 舌のほうは麻痺して 辛さを感じなくなっていて、

 いくら唐辛子をかけても無駄だから、 今後 唐辛子は控えることにします。

 さらに、 声帯の衰えを早めるものとして 意外な原因がありました。

 声帯も筋肉なので 使っていないと衰え、

 会話量が少ないことも 声の老化に繋がってしまうというのです。

 σ(・_・;)  は一人暮らしだし おしゃべりはしないので、

 これは原因として考えられ、 心配です。

 (番組では、 家族との会話が少ない人も 要注意と言ってました。  (^^;))

 ところが、 声帯の衰えは 声のかすれだけでなく、

 最悪の場合、 死に至ることもあるのだというのです。

 どういうことでしょう? 

〔 テレビ朝日 「モーニングバード!」 より 〕

(次の記事に続く)
 

小さな事いくつか (2)

2013年10月16日 21時33分08秒 | Weblog
 
(前の記事からの続き)

○ 2020年 東京五輪・ パラリンピック開催により、

 近未来的な新国立競技場が建設されます。

 そこは 心子との想い出のスポット、 神宮外苑・ 絵画館の隣です。

 今も毎年行く場所の 景観がすっかり変わるでしょう。

 名残惜しいような、 楽しみなような。

 (ただ、 新国立競技場には異論も出ているとか。

 銀杏並木など  「日本で最も美しい景観のひとつ」  と言われる風致地区に、

 これほど巨大な施設が必要なのかと。

 どうなることでしょう。)

○ 今や オリンピック担当相にまでなってしまった 下村博文。

 実は昔の知り合いです。 (向こうは どれほど覚えているか分かりませんが。)

 30年前、 僕がバイトで講師をしていた 塾の経営者でした。

 当時の彼は、 つり上がった切れ長の目付きで 鋭い人相、

 名前が同じでなければ 絶対分かりません。

 初めから 政治家になると言っていましたが、 強引な手腕で、

 「講師を愚弄している」 と 批判されたりしていました。

 別人のようになってしまいました。

○ 一昨年亡くなった叔母の 遺品の掛け時計が、 前から止まってしまっていました。

 自分で電池を取り替えようとしても、 替えられない作りです。

 先日、 時計屋に持っていきましたが、

 時計屋さんも どうやっていいか分からない様子。

 時計屋さんがメーカーに問い合わせると、 バブル期に作られた時計で、

 寿命が15年と設定されて、 使い切りのものなのだということです。

 バブルが終わって作られなくなったそうですが、 25年は動いていたことになります。

 時計屋さんも、  「大事に使われていたんですね」

 「 (使い切りの時計があったというのは) 勉強なりました」 と 言っていました。

 とてもいい時計だったのですが、 残念でした。
 

小さな事いくつか (1)

2013年10月15日 21時18分45秒 | Weblog
 
○ きのうは、 親父の十三回忌と お袋の十七回忌を 合わせて取り行ないました。

 このところ 法事がずっと続いていましたが、 これで少し一段落します。

 心子は 親父と同じ年に旅立ちましたから、 心子も十三回忌になるんですね。

 でも 心子の一家は皆 すでに召されてしまっており、

 法要は行なわれなかったようです。

 僕は今週また 月命日のお墓参りに行ってきます。

○ 心子の気分のように アップダウンが激しかった この数日の気温。

 観測史上最も遅い真夏日だった 12日は、 昼にクーラーを入れ、

 13日の夜は 冷え込んで暖房を入れました。

 もちろん こんなことは生まれて初めて。

 寝冷えして 風邪気味になってしまいました。

 (まだ衣替えしてません。)

○ 引っ越してきた家から 自転車で3分足らずの所に、

 心子に縁のある 下記の3つの住所と、 同じ地名が並んでいます。

 心子の実家, 心子の霊園のバス停,

 心子が通っていた教会 (心子のマンションの近所)。

 何かの縁でしょうか。

○ 引っ越し先には 銭湯が沢山ありますが、

 今までよりもう少し 足を延ばした範囲に、

 いい銭湯を 新たに6~7軒見つけました。

 (それでも 自転車で10分前後で、

 引っ越す前に行っていた銭湯と 大きくは変わりません。)

 露天風呂, 岩風呂, ミスト浴, 打たせ湯, 歩行浴 (プール), 薬湯など、

 とても心地よいです。

 浴槽が15もあって 小さなスーパー銭湯みたいな所や、

 シャンプーなど備えつけ, サウナ無料の所もあります。

 選り取り見取りですね。

(次の記事に続く)
 

家族のストレスと負担を減らす

2013年10月14日 20時34分10秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 家族療法の第1の目的は、

 BPDの人の症状を軽減し、 能力を向上させることですが、

 家族のストレスと負担の軽減が 目標にされるものもあります。

 それは 家族サポートプログラム, 家族教育プログラムと呼ばれ、

 専門家による家族心理教育とは異なります。

 患者の家族自身である、 教育を受けたボランティアによって 指導されることが多く、

 医療施設ではなく、 地域社会に基盤があります。

 治療ではなく 草の根的なものであり、 最小の費用で参加できます。

 「家族から家族へ」 と呼ばれる 家族教育もあります。

 教育と共感的理解を通して、

 家族が感じる偏見 (スティグマ), 孤独, 絶望を減らすことが目的です。

 正式な家族心理教育とは異なりますが、

 家族が患者に 不愉快や心配を感じることが 軽減されます。

○ 家族の関与のまとめ

・ 治療プログラムを選択するときは、

  治療法の有効性についての 情報を得ることが重要です。

・ 家族心理教育は、 家族の強さを増すことに 重点を置き、

  患者の問題を 家族の責任と考えることはありません。

・ DBT家族療法は、 家族内のコミュニケーション技能を築き、

  家族内の相互作用を 改善させるアプローチです。

・ 家族サポートプログラム, 家族教育プログラムは、

 ボランティアの家族がリーダーとなって、

 問題解決と自助の技能や 情報を提供し、 相互サポートを促します。

 BPD家族の負担を 減らす効果があります。


● 訳者 (林直樹) あとがき

 本書では、 従来ないがしろにされがちだった 家族へのサポートを強調している。

 専門家が、 BPDの原因は 養育環境や家族関係だという 偏った考えに毒されて、

 家族のサポートは不充分だった。

 さらに本書は、 家族が 治療チームのメンバーとなってもらうべきだと 示している。

 わが国 (日本) では 家族への支援は 貧弱な段階にあり、 今後の課題は大きい。

 しかし、 家族同士がサポートし合う活動が 大きな役割を果たしうることに、

 大いに励まされる。

 本書は 米国の状況の記述だが、 わが国でも 有用性が高いと考えられる。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(以上)
 

現在の家族療法

2013年10月13日 20時48分16秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 家族のお互いの関係の 改善を目指す療法は、 家族にとって有効です。

 多くの家族療法は、 患者の個人療法を促進したり、 効果を増強するものです。

 DBT (弁証法的行動療法) 家族療法は、

 家族内の技能の確立と、 家族同士のコミュニケーションの向上に 焦点を当てます。

 個々の家族, 複数家族, 若い患者の親のグループ,

 患者のパートナーのグループなどの 様式があります。

 DBTでは家族は 以下の課題を学びます。

(1) BPDがどのように発症するか、 それに家族が どのように関わっているか

(2) ストレスに対処するために 患者が学ぶ技能

(3) 認知, 感情, 言葉の問題を どのように修正するか

(4) 家族の相互作用の問題を 修正する

(5) 効果的なコミュニケーション

(6) 家族関係と家族の活動を できる限り楽しむ

 感情の信頼性と問題解決のための 訓練システム (STEPPS) も

 開発されました。

 この治療法に 家族は不可欠であり、 治療を促進する技能を 学ぶことで、

 ネガティブな気分と衝動的な行動を 減少させます。

○ 家族の関係と機能の改善

 家族療法は何十種類もあります。

 システム論的家族療法, 行動療法 (または認知行動療法),

 夫婦療法などと呼ばれます。

 数回の短期間のものから、 1年以上の長期間のものまでありますが、

 家族全員が出席するのが一般的です。

 問題を話し合う技能を用いること,

 問題行動の動機・ 意味・ 機能を 明らかにすること,

 家族関係の長所を活性化することなどに、 焦点が当てられます。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)
 

家族心理教育

2013年10月12日 20時43分59秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 統合失調症の治療では、

 家族心理教育を受けると、 患者の再発が40%低下しました。

 BPDの心理教育では、 BPDの情報が不足しており、

 対処する技能を発達させずに 情報だけ得ると バランスが取れなくなるため、

 家族の負担感やストレスが 深刻になることがあります。

 弁証法的行動療法 〔*注〕 に基づいた 家族の心理教育的アプローチが開発され、

 DBT-家族技能トレーニング (DBT-FST) と呼ばれます。

(参照: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/63665164.html )

〔*注: DBT。

 リネハンが開発した BPDの治療法で、 認知行動療法の技法を組み合わせている。

 (認知行動療法は、 患者の思考, 感情, 行動に焦点を当てて、

 問題を解決することを目指す。)

 DBTは 感情をコントロールし、 衝動性を抑制し、

 自己破壊的な行動を回避するための 具体的なスキルを教える。〕
 
 DBT-FSTには

 複数家族の集団療法と、 個々の家族の治療の 両方が行なわれます。

 治療目標はふたつです。

(1) 患者が個人療法で学んだ行動を、 さらに強化する方法を 家族が学び、

 個人療法の成果を高める

(2) 家族全員の家庭環境を向上させる

 DBT-FSTでは、 BPDの特徴や起源の教育をし、

 家族の理解と共感を促します。

 プログラムの参加者は、 互いに相手の 感情や経験を認め (有効化し) 合って、

 否定的な反応を減らし、 効果的なコミュニケーションを学びます。


 BPDの患者に対しては、 自己学習療法があります。

 専門家との相談と組み合わせて、 自己学習のテキストを用いて 進めます。

 自分で本を読むより 効果があり、 治療を避ける人にとって 有用なことがあります。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)
 

治療への家族の関与

2013年10月11日 22時22分21秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 治療に家族が関与することは、 患者にとっても家族にとっても 有益なものです。

〔*注: ここに紹介する治療は、 アメリカの一部で行なわれているものです。〕

 (1) 基本的に患者を援助しながら、

 家族の人間関係や 家族機能の改善も 目的としている治療法,

 (2) 家族の苦痛と負担を減らし、

 家族の相互の支援を 強化するための集団プログラムが、

 役に立ちます。

 治療法は 少なくともふたつに分類できます。

 家族心理教育と、 家族療法です。

 前者は、 病気の情報と対処技能を 提供するプログラムで、

 患者の機能を向上させ、 家族の負担を減らすことを 目指す治療です。

 後者は、 一般に 家族全員を対象とする治療で、

 家族内の対人関係と 相互作用を改善することを 目指します。

 家族心理教育のプログラムは、

 患者の個人療法 (精神療法や薬物療法) を 補うものです。

 家族の苦痛を軽減して、 家族の患者へのサポートを 強化することが期待されます。

 家族療法には、 個人療法を補ったり 強化するためのものもあり、

 成果を上げています。

○ 家族心理教育

 統合失調症の家族心理教育では、

 家族が 患者の障害について正確な情報と 支援システムを手にし、

 他の家族の成功と失敗から 学ぶことができたときに、 患者は最もよく回復しました。

 家族心理教育プログラムは、 専門家が複数家族を指導する 集団療法です。

 家庭内の機能不全に焦点を当てる 伝統的な家族療法とは異なり、

 家族の強さと 回復力を増すことが目指され、

 患者の問題を 家族のせいにすることは行なわれません。

 家族が 敵意や怒りなど 否定的な感情を強く表すと、

 患者は精神症状を再発しやすくなります。

 家族心理教育によって 感情を表すパターンを変えると、

 患者と家族に 非常に有益な結果がもたらされます。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)
 

家族のサポート体制を整える (3)

2013年10月08日 20時25分57秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ DBT-家族技能トレーニングモデル

 患者の感情や経験の 意味を認める 「有効化」 は、

 相手をなだめることではなく、 耳を傾けて理解することです。

 多くの親は、 「もし私が この病気を引き起こしたのなら、

 私はそれを 一掃することができる」 という 不可思議な願望を持っています。

 しかし 家族にとって重要なのは、

 BPDは家族の責任ではなく、 家族にはBPDの状態を 治すことができない

 という現実を受け入れることです。

 「無効化」 は、 相手の見方を否認, 軽視することで、

 相手の苦しみを過小評価することが 最も有害です。

 相手が 別の見方をしていることを認め、

 その上で、 互いの一致している事柄を 探すのは難しくありません。

 無効化の環境が 病気を生み出すのではなく、

 自分の話を聞いてもらえなかったり、 理解されないことが、

 患者のパニックと怒りを 強めるのです。

 BPDの人は、 恐怖を呼び起こす 断片化された内的世界と闘っています。

 彼らの厄介な行動は、 安心感を得ようとする 試みでもあります。

 家族のサポート体制は、 型, 境界を与えることで、 世界の断片化に対抗します。

 家族は 自分たちの欲求を満たす 権利を尊重し、

 他の人の権利も尊重されるべきという 認識を患者に促します。

 それは 混沌とした内的世界の周りに、 安全な境界を引くことになります。

 家族がBPDについて学び、 家族同士で経験を共有し、 患者支援を行なうことで、

 自分たちだけでなく、 BPDの人たちや 他の家族たちの助けとなるのです。

○ 家族のサポート体制のまとめ

 BPDを発症しやすい 遺伝的傾向があるのが 明らかなのにも拘らず、

 専門家の間で 家族に障害の責任があるという 考えが消えません。

 それは 治療が失敗するだけでなく、 患者と家族を傷つけます。

 家族が病気を引き起こしたのではないのだから、

 家族はそれを治せないと 受け入れる必要があります。

 家族は、 BPDの人を拒否することなく、

 感情的な混乱に 巻き込まれないよう抵抗し、 関係を再構築することができます。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 

家族のサポート体制を整える (2)

2013年10月07日 20時53分44秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 病気に抵抗すること

 家族の怒り, 批判, 拒絶は、

 患者のコントロール不能な世界を ますます崩壊させます。

 家族が要求を拒否すると、 BPD患者は感情的に爆発します。

 家族の課題は、 敵意を示したり 自分の身を守ることではなく、

 困難な要求に従わないまま、 患者の感情を理解することです。

 挑発的な態度を前にして 冷静さを保ちながら、

 拒絶せずに 境界を維持することを目指します。

 精神疾患の患者は 親を否定的に、 両価的に表現します。

 親が自分に どれほど満足または不満を 与えるかに集中し、

 親も欲求を持つと捉えていません。

 患者は 強い愛着を持てば持つほど、

 相手が完璧でなく 自分を失望させたと言って、 一層激しく攻撃するのです。

 かつては全能だった親が 自分を救えないと、

 パーソナリティが脆弱な人は 恐怖と怒りが引き起こされ、

 自我の境界が ぼろぼろに崩壊するのです。

○ 関係を再建する

 虐待的な言葉に対しては、 冷静な反応で和らげます。

 不当な非難の根底にある、 見捨てられ恐怖を理解しましょう。

 抗議したくなる気持ちに耐え、

 「いつも あなたのためにいてあげるよ」  と保証してあげることは、

 根底にある恐怖に 適切に応えるものです。

 そして、  「あなたにも 私のためにいてほしい。

 私たちはお互いに心配しているし、 必要としているから」 と言うことで、

 個人として対等の関係を 再確認できます。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)
 

家族のサポート体制を整える (1)

2013年10月06日 22時49分06秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 家族のサポート体制を作るために、 家族は、

 問題を認識すること (recognizing),

 病気に抵抗すること (resisting),

 関係を再建すること (reconstructing)という、

 3つのRを学びます。

 第1段階は、

 目的のある行動と、 病気のためにコントロールしがたい行動を 区別することです。

 第2段階は、 感情統制不全と不合理な行動に 巻き込まれないよう抵抗することです。

 それは、

 患者に必要なことと 家族に必要なことを区別する 境界を定めることを意味します。

 見守るだけにすべきか、 行動を起こす必要があるかを 決定することでもあります。

 第3段階は、 愛する人との 有意義な関係を再建することです。

○ 問題を認識すること

 自分を犠牲者だと感じているのは、 BPDの当人であると 認識する必要があります。

 彼らは 人が自分を理解してくれないため、 犠牲となっていると感じているのです。

 けれども彼ら自身は、 自分が他者に及ぼす影響を 認めることができません。

 BPDの人は、 自分が家族に依存して 仕事ができないせいで、

 家族が経済的負担に 苦しんでいると知ると、 後悔します。

 BPD患者は見方が相違しているため コミュニケーションが困難であり、

 そのため家族は 無効化する環境を作り出します。

 家族は、 無効化によって 相手の見方を つまらないものと思ってしまいますが、

 無効化はコントロールできることができます。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(次の記事に続く)
 

家族の経験

2013年10月03日 21時46分51秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 BPD家族が経験するのは、 次のようなことがあります。

 誤診や症状の過小評価, 不確かな複数の診断・ 合併精神障害, 不適切な薬物療法,

 専門家の矛盾したメッセージ, 患者による病気の否認・ 治療拒否,

 彼らの未熟な行動への対応, 家庭内での対立, 患者と同居するか別居するか,

 予後と将来の心配。

 家族の回想による調査では、 親は 多くの苦しみを味わってきており、

 状況の改善は想像もしていません。

 家族が求めるのは、 気休めの回答ではなく、

 同じ家族との出会いで 癒されることです。

 患者の感情や経験を 無効化する (意味のないものとする) 養育環境を

 家族が知ることで、 家族は 行動を修正する指針を与えられます。

 BPDの人は、 感情的な関わりすぎに対して 肯定的に反応するようです。

 強い感心や過保護が、 自分を確認してくれるものと感じられると 考えられています。

 BPDの人は、 他の精神障害の人より 高い機能を示します。

 無気力, 無快感という陰性症状は 通常ありません。

 自殺のそぶりが 耐えがたい絶望から生じているとすると、

 家族は それによって生じる痛みを 理解しやすいかもしれません。

 BPDの人は、 不安定な感情と 操作的な行動のゆえに、

 脳内物質ではなく 性格に原因があると 見なされてしまいます。

 彼らが 他の点ではうまく機能しながら、

 人とのやり取りでは 一貫性のなさを露呈するとき、

 病気と見なすのは 非常に難しいことです。

 それでも BPDの人の家族は、

 異常な行動を 病気のためだとすることで、 許すことができるでしょう。

 家族の立場を困難にしているのは、

 患者が自分の行動を 説明する責任があるのかないのか 迷うこと,

 取るべき態度が分からないこと, 予想できない問題行動が 周期的に起こることです。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 

原因究明で誰かを非難しない

2013年10月02日 21時52分08秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 この種の説明モデルの 危険のひとつは、 犠牲者を非難することです。

 実際に性的虐待は、

 犠牲者の不注意や愛情欲求によって 引き起こされるものではありません。

 生物学的に BPDを発症する傾向を持った人は、

 ストレスや非難・ 罰に対して 過敏です。

 扱いづらい子に対して 親は非難や罰が頻繁となり、

 のちに 虐待として思い出されると考えられます。

 多くの家族は、 我が子が何故こうなったのか 理解できません。

 BPDが 虐待的な親の存在に 関係するという説と、

 親の不在に関係するという 説との間には、 明らかに食い違いがあります。

 虐待をするような人なら、 子供のために自ら 家族療法を受けたりはしません。

 患者を心配し、 治療に協力的な これらの親は、

 戸惑い, 怒り, 罪悪感の中で 揺れ動くのです。

 正しい原因の理解が、 治療の基礎になるものです。

 養育に問題を求める 理解は、 原因についての専門家の態度に 影響を及ぼします。

 BPD患者には 障害の生物学的基礎があり、

 うまく噛み合っていない家族関係と 組み合わさり、 障害を発生させます。

 家族関係だけが障害を引き起こすという 根拠は全く存在しません。

 BPDの原因は 養育の問題にあると 臨床家が考えていると、

 家族との協力関係に 大きな問題が生じます。

 症状改善に失敗し、 家族や、 家族と患者の関係を 傷つけるでしょう。

 家族に批判的な臨床家から、 家族に伝えられる ダブルバインドのメッセージは、

 疾患を悪化させます。

 家族を助けようとする裏側で、 家族に対して 暗黙のうちに非難が行なわれ、

 しかも その矛盾が否認されるのです。

 対等の関係を強化し、 過干渉と罪悪感が 軽減されなくてはなりません。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より