「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

小規模多機能型の介護施設 (1) -- 地域密着で細やかな対応

2011年07月31日 20時39分03秒 | 介護帳
 
 小規模多機能型というのは、 少人数の利用者の必要に応じて、

 通い・ 訪問・ 泊まりなどの サービスを行なう介護施設です。

 認知症の高齢者は 大規模施設にはなじめないので、

 その受け皿として 1980年代から広まりました。

 宅老所をモデルとし、 2006年度に介護保険に導入され、

 定員は、 利用者登録25人、 通い1日15人、 泊まりは9人までとされています。

 地域に密着して きめ細かなサービスを提供し、

 「住み慣れた地域で 最期まで」 という理念に 欠かせない存在です。

 多様なニーズに応じるには、 地域の様々な組織との 連携がカギとなります。

 ある宅老所では、 介護保険で デイサービスを行ないながら、

 保険外で 宿泊や長期滞在も受け入れています。

 利用者の多くは認知症ですが、 本人のペースを尊重し、 自由に過ごしてもらいます。

 時には利用者宅を訪問し、 スタッフが泊り込むこともあります。

 利用者や家族と深く関わり、 生活全体を見て、

 臨機応変に対応するのが 小規模施設の強みです。

 逆に 少人数ゆえの弱みを補うため、

 近隣の小規模施設と 協力ネットワークを作っています。

 急な宿泊者に 対応できないときなど、

 他の施設が 助っ人を出したり、 空きのある施設が 受け入れたりします。

 緊急時だけでなく、 日頃から 利用者と一緒に ドライブを兼ねて、

 互いの施設を訪ねるなど 馴染みの関係を作ります。

 利用者を含めた 合同旅行を行なったり、

 大規模施設とも スタッフの交換研修などで 協力しています。

 複数の施設を 一体的に運営する  「ライフサポートセンター構想」 もあります。

 中核施設と、 2~3ヶ所のサブ施設で 構成し、

 中核施設が スタッフの調整などの 管理業務を一括して行ないます。

 独立した事業者同士の連携は、 コスト削減にならず 広がりにくいですが、

 連携により経営効率化できる 一体的運営方式が導入されれば、

 小規模多機能ケアの普及に つながるでしょう。

〔 読売新聞より 〕

(次の記事に続く)
 

大震災で 「共感疲労」

2011年07月30日 20時39分14秒 | 東日本大震災
 
 東日本大震災では、 新聞やテレビで 深刻な被害を見て、

 眠りが浅くなったり、 涙もろくなったりする人が 多く見られました。

 4ヶ月経った今でも、 ニュースなどをきっかけに、

 つらい気持ちがよみがえる というという人もいます。

 被災者への同情がストレスになり、 自分の心を傷つけてしまう、

 「共感疲労」 と言われるものです。

 被災を我が身のことのように 考えすぎてしまい、

 仕事に支障が出るほど 心的ストレスが高まった状態になります。

 時間の経過とともに 自然に癒えていくので、 治療が必要なわけではありません。

 自分の心の揺れが、  「共感疲労」 だと分かるだけで 落ち着く面があります。

 本来、 他人への共感は 大切な能力です。

 一般に、 医療・福祉職の人が、

 患者や利用者に 過度に共感して、 この状態に 陥ることがあります。

 それを避けるため、 医療・福祉職では新人時代に、

 感情を抑制する 訓練を受けるといいます。

 被災地で 医療救護活動を行なった 医療従事者に、

 臨床心理士が面談を行なっています。

 慢性化して PTSDに進行するのを 防ぐのが狙いですが、

 現時点で 治療が必要な人は ほとんどいません。

 ストレスに対しては、 休息が第一です。

 不眠などがある場合は、 抗うつ剤を使うこともあります。

 心と体を 充分に休めることが 大切なのです。

〔 読売新聞より 〕
 

お年寄り、 避難ストレス死

2011年07月29日 19時29分20秒 | 東日本大震災
 
 福島原発事故のため、 移動を余儀なくされた 特養の入所者が、

 環境の激変に耐えられず、 3ヶ月で 826人のうち77人が、

 次々と命を落としていきました。

 施設関係者は 無念の思いを募らせています。

 「要介護度の高い お年寄りが多く、 移動は危険。 私たちは町に残る」

 原発から10キロ圏内にある 特養では、 事故発生の3月11日、

 県の避難要請を 拒み続けました。

 翌12日、 国の避難指示による バス3台で、

 入所者70人を 移動させることになりました。

 約1時間後、 隣町に着き、 車内で1時間ほど待たされた後、 村内の集会場へ。

 畳に 座布団と毛布を敷きつめて 寝ましたが、

 寝返りを打つと 隣の人とぶつかる狭さです。

 体調の悪い 95才の女性のために、 物置部屋を個室にし、

 看護婦が交替で看病しましたが、

 女性は衰弱し、 14日昼過ぎに 息を引き取りました。

 翌日深夜には、 98才の女性も亡くなりました。

 施設長は、

 「移動方法や避難先を もっと配慮してくれていたら。

 悔やんでも悔やみきれない」 と 無念さをにじませました。

 南相馬市の3つの特養では、 計229人が 3月19日に避難し始めました。

 バスで横浜の施設まで 12時間近くかけて移動する途中、

 80代の男性が心肺停止状態に。

 AEDで命を取り留めたものの、 搬送先の病院で 翌日他界しました。

 3施設の入所者は、 その後も 2次, 3次避難しましたが、

 計23人が死亡しています。

 その他の施設でも、 食事介助が必要な人が、 避難先で 食事を口から取れなくなり、

 亡くなってしまいました。

 少しでも環境が変わると、 高齢者にはストレスになるのです。

 職員も被災して 充分な対応ができないケースもあり、

 一番弱い人に しわ寄せがきています。

〔 読売新聞より 〕
 

被災自治体で残業代減額

2011年07月28日 20時52分34秒 | 東日本大震災
                    
 被災地の自治体で、 復旧の最前線で働く 職員の残業代の、

 減額や支給見合せが相次いでいる、 という新聞記事がありました。

 被災住民への配慮からですが、 組合からの反発もあります。

・南三陸町

 「全額払いたいが、 予算の中で払わざるを得ない。

 職員は 手当のために残業しているのではなく、 使命感で働いている」

・名取市

 手当が1億6000万円に上り、 半減して支給。

 労働基準法に触れると、 県から指摘を受け、 一転して全額支払いました。

 市民から  「なぜ公務員だけ 沢山もらうんだ」 と 批判が相次いだといいます。

・釜石市

 3月の超勤手当は 昨年同月の25倍になり、

 1日の上限が4200円の  「宿日直手当」 に置き換えて支給しました。

 額は10分の1になり、 組合は 「家族も捜さずに 働いた職員もいる」 と反発。

 労使が交渉をしています。

・女川市

 一般職員の手当を 支給しませんでした。

 残業時間が計算できず、 町民のほとんどが被災しているのを 考えてのことです。

・石巻市

 手当単価を 1時間あたり1900円にして支給。

 支給総額は半額以下になりました。

・大船渡市

 手当が1億円を超え、 組合と協議して、 額に応じた休日を 与えることにしました。

 「過酷な勤務で 休暇が必要」  「手当を全てもらうことはできない」 と、

 職員側も了承しています。

・南相馬市

 これまで手当は未支給。

 原発事故での勤務は、 東電や国への請求を検討しています。

 未曾有の震災で、手当のあり方の 見直しが必要です。

〔 読売新聞より 〕
 

団体交渉の申し入れ -- 脱法行為の介護会社 (18)

2011年07月27日 09時24分34秒 | 介護帳
 
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/62015462.html  からの続き)

 4月末に  雇い止めを通告されてから、

 あれやこれやで 一ヶ月半が経ってしまいました。

 そして6月上旬、 僕は ある組合に加入することにしました。

 組合から会社に対して、  「公然化通知」 と 「団体交渉申し入れ書」 を

 内容証明で郵送してくれることになりました。

 「公然化通知」 というのは、

 僕が労働組合の組合員になった ということを、 会社に通知するものです。

 そして 「団体交渉申し入れ書」 は、

 今回の雇い止めの撤回を 要求した上で、 組合との団体交渉を申し入れるものです。

 ただ 偶発的なことが重ねて起きたこともあり、

 申し入れをしたのは、 職場の契約期限ぎりぎりの 6月下旬になってしまいました。

 仮に契約期限を過ぎても、 雇い止めの撤回を 要求することはできますが、

 期限が過ぎてしまうという事実は、 多少は不利になります。

 会社には 期日を切って 返答を要求しましたが、

 そのような事情で 期日も緊急でした。

 すると 会社の総務から組合に、 返事はもう少し待ってほしい,

 弁護士とも相談しなければならない という電話が入って、 数日待つことに。

 そして、 僕の勤務は 6月28日で最終日を迎えます。

 タイムカードの返却や、 退職の書類の記入などを 求められると思い、

 僕はそれを 拒否するつもりでいました。

 ところが、 所長からは何故か 何も言われませんでした。

 所長に尋ねると、 所長は何も 指示を受けておらず、

 組合や団交のことも 全然事情を聞いていないとのこと。

 さすがに、 強引に辞めさせるのは無理だと 会社も考えたのだろうか、

 とも思いました。

(続く)
 

宮間選手の超美技

2011年07月26日 16時10分08秒 | Weblog
 
 なでしこジャパンが 勝利を決めた直後に アメリカ選手を労り、

 日本人選手の人間性が称えられたという 報道は聞いていましたが、

 詳しい状況をTVでやっていました。

 ワールドカップ優勝を手にし、 抱き合って歓喜するなでしこたち、

 でもこのとき 一人だけ、 乱舞の渦の中に いなかった選手がいます。

 決勝戦で同点ゴールとPKを決めた、 宮間あや選手です。

 熊谷選手の蹴ったボールが ゴールに吸い込まれた瞬間、

 なでしこたちは一斉に 歓呼し走り出しますが、

 宮間選手だけは立ち止まって 違う方向を見ていました。

 そして アメリカ選手の方へ歩み寄り、

 かつてのチームメイトである ホープ・ソロ選手らの肩を抱いたり、

 敬意を表していたのです。

 PKが決まって、 日本人なら誰もが 喜びを爆発させる一瞬です。

 その絶頂の時に、 宮間選手は喜びをあらわにせず、

 アメリカ選手の心の痛みを 気遣っていたのです。

 一体誰が こんな振る舞いをすることができるでしょうか。

 ゴールやPK以上の 超ファインプレイかもしれません。

 胸を打たれたソロ選手は、

 「アヤ、 日本は初めての ワールドカップ優勝なんだから、 喜んでいいのよ。

 お願いだから……」 と 伝えたそうです。

 試合後に 二人が談笑する写真が、 FIFA公式サイトに掲載され、

 世界で最も見られた 画像になったといいます。

 その後、 ソロ選手はテレビ番組で 宮間選手の秘話を語り、

 アメリカ中に なでしこの気高さが伝わりました。

 本家の日本で、 このエピソードが広がらなかったのは 残念でした。

〔 参考: フジテレビ 「Mr. サンデー」 〕
 

“大人” か “子供” か (2) -- 脱法行為の介護会社 (17)

2011年07月24日 21時03分33秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 多くの人は、 悪いことは許したくないけれど、

 危ない橋を渡ってまで 訴えることはできないという、

 無念さや忸怩たる思いを 抱いているかもしれません。

 例えば、 最近話題になっている 古賀茂明氏 〔*注〕 のように、

 自分が地位を失ってでも 信念や正義を 通す人に対しては、

 賞賛・ 喝采するのが 世の中の大半の人々の 価値観です。

〔*注 : 古賀茂明 …… 経済産業省エリート官僚でありながら、

 天下り規制などの 制度改革を推進し、

 省庁や官僚の猛反対を招いて 退職を迫られる。

 しかし メディアを使って 政権や官僚を強く批判、

 著書 「日本中枢の崩壊」 は 大ベストセラーとなっている。〕

 自分の信条に従って、 自分の意思で、 自分の言動を選択し、

 そしてその結果は 自分の責任で引き受ける、

 それが 一人前の自分を持った、 真の 「大人」 でしょう。

 古賀氏のような 立派な 「大人」 によって、

 世の中は 変わっていくのではないでしょうか。

 そのような人物は、 社会や歴史の中で きら星のごとく存在しています。

 労働組合にしても、 労働運動をする人たちは 自分の目の前の 損得だけでなく、

 社会的な目を持って、 他の労働者たちのことも考え、 勇気ある行動をしています。

 周りの人からは、 無益なことはやめたほうがいいと 言われながら、

 頑張ってやってきた人も いるに違いありません。

 結果的に 権益を勝ち取ることもあれば、 敗北することもあるでしょう。

 けれど、 もし世の中に 労働運動をする人が 一人もいなかったとしたら、

 労働組合というものが 存在しなかったとしたら、

 社会の労働者は 一体どうなっているでしょう?

 経営者の独善が横行し、

 労働者は奴隷のように 搾取されているのではないでしょうか。

 多くの犠牲も払って 闘ってきた人たちのお陰で、

 現在の労働者の 権利や環境が獲得されてきました。

 闘わない多くの人たちは、 その恩恵にあずかっているのです。

 もちろん 自分の周りの 小さな幸せを求めて、

 それを守っていくというのも とても素晴らしい人生です。

 そういう多くの人たちの 営みによって、 社会は成り立っているのです。

(続く)
 

“大人” か “子供” か (1) -- 脱法行為の介護会社 (16)

2011年07月23日 21時42分15秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 職場の仲間の人の中には、 上に反抗する僕を  “子供” だと言う人もいました。

(繰り返しますが、 お互い仲はいいのです。)

 上には好きに言わせておいて、

 こちらが “大人” になって、 黙っているほうがいいのだと。

 もっと 結果や利益を考えるのが “大人”、

 それを考えず 上を批判してしまうのは  “子供” という考えです。

 でも この “大人” という言葉には、

 ずるい, 回避, 長いものに巻かれる, 事なかれ主義, などの意味があります。

 我が身かわいさであり、 恐らく価値基準の中心が 

 「自分の損得」 なのではないでしょうか。

 けれど人間というのは、 自分の損得だけで 動くものではありません。

 人のためや社会のため、 正義や理想, 信念など、

 もっと大きなもの、 崇高なものためにも動きます。

 その結果 自分が不利益を被っても 構わないという時があります。

 僕も今回、 有給を出さないのは脱法行為だと 訴えたことによって、

 僕自身の有給は 確保することができました。

 上記の人は、 それでよかったのに、

 余計なことを言って クビを切られてしまうのは もったいない,

 無駄なことはしないのが  “大人” だと言います。

 しかし、 何も訴えないパートの人の 有給が支払われるのか、

 僕は放っておくことなど できるわけがありません。

 ここでやめてしまうのは、 自分さえよければ 他の人はどうなっても構わないという、

 エゴイズムにほかなりません。

 他の人の有給について 質問したことによって、

 その場で 雇い止めを通告されるなどとは 思ってもいませんでしたが、

 聞かないわけには とてもいきませんでした。

 「今から施設長に謝って 働かせてもらっては?」

 と言ってくれる スタッフもいましたが、 僕に謝る理由など 何ひとつありません。

 僕は 正しいことを言っているだけであり、

 100%間違ったことをしているだけなのは 向こうなのです。

 僕は自分のしたことに 後悔など微塵もありませんでした。

(次の記事に続く)
 

仲間の職員たち -- 脱法行為の介護会社 (15)

2011年07月22日 20時43分17秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 デイサービスのスタッフは、 僕に職場を辞めてほしくないと 言ってくれました。

 単に頭数の問題ではなく、 僕でなければだめだと、

 僕自身思っていなかった ありがたい言葉でした。

 ただ、 上に何か言っても 無駄だと思っていて、

 僕が動いているのを 応援するという姿勢ではありませんでした。

 みな仲がいい仲間なのに、

 理解して味方になってくれる という立場でないのは、 残念なことでした。

 確かに 上に太刀打ちしても 何も得られないかもしれず、

 それに費やす 時間や労力を考えれば、

 徒労になることは しないほうがいいかもしれません。

 多くの人は 失うもののことを考えて、 理不尽な処遇は 許せず悔しいけれど、 

 無用に歯向かわないほうを 選ぶかもしれません。

 無論 それはそれでいいのです。

 でも中には 僕のように 抵抗する人間もいないと、

 悪をますます 増長させるだけになってしまうでしょう。

 失うものがあっても、 或いは 得るものが期待できなくても、

 人はやらなければならないこと というのがあります。

 そして、 世の中の大方の人が、 闘うのではなく 安全志向であることによって、

 社会は安定を維持していける という面があります。

 多くの人が反骨的で 闘うことばかりしていると、

 世の中はガタガタになり、 安心して暮らしていけません。

 守る人たちが 沢山いることによって、 一部の人は支えられて 闘うことができます。

 そして、 一部の人が悪と闘って 世を改善していくことによって、

 守る人たちも 恩恵を被ることができます。

 お互いに 持ちつ持たれつなのだと思います。

(次の記事に続く)
 

不当労働行為 -- 脱法行為の介護会社 (14)

2011年07月20日 20時40分22秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 ネットで 他にも労働組合を調べて 吟味し、 いくつかの組合に当たってみました。

 労働組合に加入すると、

 雇い止めの撤回について 会社と団体交渉をすることになります。

 場合によっては、 金銭解決などの 方法になることもあるそうです。

 会社は僕個人とではなく、 組合を相手に 交渉しなければなりません。

 会社は 団交を断わることができず、

 かつ 誠実に対応しなければならない という規定があります。

 これは労働組合法にあり、 正当な理由がなく拒否するのは

 「不当労働行為」 と言って、 罰則に繋がります。

(労働組合法7条2項)

 不当労働行為は 組合にとっては 最大の武器であり、

 経営者にとっては 大変脅威になるものです。

 不当労働行為は 他にもいくつかのものがあります。

・ 不利益扱い

  : 組合活動を行なったことを理由に、 労働者に不利益な扱いをする

・ 黄犬契約

  : 労働者を雇うときに、 組合に加入しないことや 離脱することを条件とする

・ 支配介入

  : 組合の結成や運営に 支配や介入をする

・ 経費援助

  : 経営者が労働組合の 運営経費を援助する (賄賂的な行為)

 不当労働行為があった場合、 組合は労働委員会に申し立てをし、

 労働委員会は 改善を命令することができます。

(労働組合法27条)

 労働局 〔*注〕 が 厚労省の管轄であるのに対して、

 労働委員会は都道府県の機関です。

〔*注: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/61986371.html  参照〕

 また前者は 労働者個人に対応しますが、 後者は労働組合に対応します。

 従って 雇い主からすると、 個人の訴えである 労働局の意見より、

 組合が付いている労働委員会のほうが、 圧力が大きいのだろうと思います。

 労働委員会は 労働争議の調整を行ないますが、

 最終的に 双方の主張が一致しないときは、

 あっせんを 打ち切らざるを得ないこともあります。

(次の記事に続く)
 

一人でも入れる労働組合 -- 脱法行為の介護会社 (13)

2011年07月19日 20時59分26秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 労働組合にも相談をしました。

 労働組合に加入し、 組合員として 会社と団体交渉をするという方法です。

 うちの会社には当然 組合などありませんが、

 誰でも 一人でも入れる労働組合が、 各地に沢山あります。

 ネットで調べ、 東京で一番大きいと思われる 組合に連絡しました。

 実はそこは、  「境界に生きた心子」 にも書いた、 心子が加入した組合なのです。

 心子が職場で いじめやセクハラに遭い、 神経性腰痛で長期入院した際、

 それを労災として 認めさせようとしたときです。

 事務所は現在、 心子が行った所とは 場所が変わっていましたが、

 アポを取って 事務所へ面会に行き、

 色々な話をしたり、 聞かせてもらったりしました。

 僕としては、 次のような心づもりであること 話しました。

 会社と闘うのが 大変だということは分かっている,

 けれども 今回の雇い止めだけは 許すことはできず、 何とか一矢を報いたい。

 ただ、 もし雇い止めが取り消しになり、 契約が更新されたとしても、

 会社はきっと今後も 何かと理由を付けて 辞めさせようとしてくるだろう、

 そうすると 3ヶ月の契約更新のたびに 闘わなければならないのか となると、

 それは難しいと思う。

 今回 契約更新をすることができたら、 その先は 新しい職場を探してもいい。

 けれども 組合の人が言うには、

 会社というのは 平気で嘘もつくし、クビにするため どんな理由でも作り上げてくる,

 闘うには相当な覚悟がいる, この職場で ずっと働いていくんだという

 心構えがないとやっていけない、 ということです。

 僕は そこまで強く 今の職場に 拘る気持ちにはなれず、

 結局 もう少し考えさせてもらうことにしました。

 最後に、 僕は 心子の話を伝えました。

 その人は 心子のことを 何となく覚えていたようです。

 ただ 心子の担当だった 「ラーメン小池さん」 は、

 残念ながら 今はもう ここにはいないということでした。

(次の記事に続く)
 

有給は真っ当な権利 -- 脱法行為の介護会社 (12)

2011年07月18日 21時31分33秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 話が前後しますが、 有給の件について もう一度記しておきます。

 僕の職場には、 今回の契約の対象になる 週3のパートは もう一人だけいます。

 ただ その人は年配の女性で、 無理をしてまで有給はいらない,

 働けるだけでいい (今まで他の所でも 有給をもらったことはなかった)

 という考え方です。

 僕が 労働基準法のことや、 有給はもらえるんだという 話をしても、

 その人にとっては 面倒なことのようで、 あまり積極的に 聞こうとしませんでした。

 僕は所長には、 その人に対して 有給は付くという説明を きちんとするよう、

 再三言っていました。

 しかし結局 所長は、

 「イナモトが 何か言っているようだが、 気にしてはいけない」 と言い含めて、

 これから有給がなくなる という説明しかしなかったのです。

 腰抜けの所長も、 とうとう 悪事の片棒担ぎになりました。

 その人は 無理に有給はいらないという気持ちで、 契約をしてしまいました。

 でも僕が  「無理にではなくて、 ただでもらえるのなら 欲しいでしょ?」

 と聞くと、  「欲しい」 と言っていました。

 雇い主が有給を支払う義務は 労働基準法39条に明記されており、

 支払わなければ違法で 罰則があります。

 しかし有給は、 従業員から申請して 初めて成立するもので、

 申請されなければ 支払う義務はなく、 罰則もありません。

 「間隔を空けた契約で 有給はなくなる」 という 説明を受けた人は、

 有給の申請をしなくなってしまいますから、 会社は支払い義務が 生じなくなります。

 従って “違法” にはなりませんが、

 この契約自体が成立しない  “脱法行為” なのです。

 労基法 (労働基準法) を 知らないことにつけ込んだ、

 詐欺めいた悪だくみだと思います。

 ただし、 契約書に 有給が付くということが書いてなくても、

 労働者が有給を申請をすれば、 雇い主は払わなければなりません。

 それが、 労基法に記してある 雇い主の 「義務」 であり、

 労働者の真っ当な  「権利」 ということなのです。

 なお、 有給が付くには、 半年以上 継続勤務をし、

 その間の 所定の勤務日数の 8割以上出勤していなければなりません

 また 申請の期限は2年間で、

 2年を過ぎると それ以前の有給は消えてしまうので、 気を付けましょう。

(次の記事に続く)
 

模索 -- 脱法行為の介護会社 (11)

2011年07月17日 20時47分44秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 これらの間、 自分は どこまでのことをすればいいか、 また できるのか、

 多少の迷いもありました。

 労働審判以外に 拘束力のある手立てがないとしたら、

 会社が白を黒と言い続け、 行政機関の指導なども 無視し続ければ、

 結局何も得られず、 ただの徒労に終わるかもしれない。

 会社の専横的な体質は 今後も変わらないかもしれない。

 今の会社は見限って、 早く次の職場を 探したほうがいいかもしれない。

 でも相手には 筋の通る理屈は 何ひとつないのだから、

 自分たちの不義を 本当は分かっているはずだ。

 良心のかけらでも残っていれば、

 彼らのほうが 人間としては “負け組み” だということを、

 内心では 認めざるを得ないのではないか。

 それを彼らに対して 示すことができるだけでもいいのではないか。

 とにもかくにも、 このまま悪を のさばらせることだけはできませんでした。

 世の正義として、 会社の非道を許してはならない。

 もしここで 何もしないで終わらせたら、 僕はずっと 後悔するに違いない。

 すごすごと 雇い止めに屈してしまえば、

 相手はこれからも 独裁が簡単に通用するのだと 思い上がり、

 従業員への権柄ずくは ますますエスカレートするでしょう。

 決して 誰もが施設長らの言いなりに なるわけではないのだということを、

 僕は示さなければなりません。

 例え 結果がどうであろうとも、

 やることに意味があるのだ という意を強くしました。

 結果的に もしも相手が変わらなかったとしたら、 つまり、

 これ以上 増長しなくなったとしたら、

 こんな上出来なことは ないのではないでしょうか。

 他の社員の人たちのためにも、 抵抗を示すのは 大事なことなのです。

(次の記事に続く)
 

親身になってくれた 区役所の人 -- 脱法行為の介護会社 (10)

2011年07月16日 22時34分15秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 ある人の助言で、 区役所にも問い合わせてみました。

 介護保険管理係・ 保険福祉部・ 指導担当課という所に 回されました。

 ことの成り行きを話すと、 女性の担当者は、

 それはひどい話だと、 親身になって聞いてくれました。

 うちは区内の、 デイサービスとグループホームが 併設されている施設だと言うと、

 担当の人は 即座にそれがどこか 特定できました。

 昨年 実地指導に入ったとき、 職員数が規定に満たず、

 指導をしたが 無視されたままだとのこと。

 ただし ここの課は、 介護保険法に則って、

 施設の介護サービスや業務が 適切に行なわれているかなど、 監査をする所です。

 労働者の労働条件やトラブルを 扱う部署ではなく、

 雇い止めに関しては 何もできません。

 でも うちのデイサービスは、 今年になってからも 職員数が規定以下の期間があり、

 それを苦情処理票で報告すると、 改善の指導を 入れてくれると言いました。

 何ヶ月かかかるそうですが、 そういうことが重なれば、

 会社としても評判が悪くなり プレッシャーになるかもしれません。

 担当の人は、 新しい職場を探すときの 助言などもくれ、

 労働局などと比べると、 とても人間的な対応でした。

 (労働局その他でも、 人によって 対応の姿勢は異なりますが。)

 考えるに、 労働問題ではない部署の人は、

 経営者の 理不尽な振る舞いを聞くと、 驚いて素直に 人間的な反応をするけれど、

 労働問題の部署は、 常にそういうことに 関わっているので、

 慣れきって無味乾燥になり、

 自分の仕事を増やさないため 適当にあしらうではないでしょうか。

 “お役所仕事” が蔓延し、 救済されるべき被害者を 殊更に苦しめているのですね。

 もっとも この区役所の人は 元々いい人であり、

 そうでなければ 自分の仕事と 関係のない話などに、

 時間を割いて 耳を傾けてくれることはなかったでしょう。

(次の記事に続く)
 

整理解雇 -- 脱法行為の介護会社 (9)

2011年07月15日 21時17分44秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 その他にも数ヶ所に 何度か問い合わせたり、

 労基署に面接に行ったり、 書類や資料をもらってきたりました。

 解雇・ 雇い止めの理由になるものとして、 会社の経営悪化があります。

 これは うちの会社の 契約書にも記してあります。

 今回も施設長らは デイサービスの赤字を 理由のひとつに挙げていました。

 経営悪化による人員整理を  「整理解雇」 といいますが、

 その場合は 以下の4つの要件を 満たさなければなりません。

(1) 整理解雇の必要性

    : 会社の存続のため 解雇しか方法がない

(2) 解雇回避の努力

    : 新規採用の中止, 希望退職の募集など、 解雇回避の努力をした

(3) 整理基準と人選の合理性

    : 解雇の対象者を 決める基準が 合理的かつ公平

(4) 労働者との協議

    : 解雇の必要性や基準などを 充分説明して納得してもらう

 今回の一件は、 上記のどの要件も 満たしていません。

(1) 会社は それほど逼迫していない

(2) デイサービスでは 4月から新入社員が配属されし、 パートの勤務日も増えた

(3) 僕は 勤怠状況も極めて良好で、 他のスタッフやご家族からの 評価も良い

    雇い止めの真の理由は、 「法律的なことを言った」 という 非合理なもの

(4) 突然かつ 一方的な強行で、 納得していないのは言うまでもない

 とはいえ、 会社がごり押しをし、 データの捏造などをしたら、

 労働審判で パートの立場から証拠を出せるのか、 気掛かりなところです。

(次の記事に続く)

〔 参考資料 : 「パートタイム労働ガイドブック」 (東京都産業労働局) 〕