「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

マインドフルネス・エクササイズ

2013年06月09日 20時41分02秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(1) ひとつの対象に焦点を合わせる

 何か簡単な対象に 心の焦点を合わせ、

 今この瞬間に留まるのに 必要なエルギーに気付くことです。

 一人になることができて、

 テレビやラジオなど 気が散るものがない 場所を見つけます。

 くつろげる姿勢で、 目は開けたまま、 いつもと同じ呼吸を 行なってください。

 はっきり見ることができる、

 近くのもの (強い感情を引き起こさないもの) を 選んでください。

 3分間、 その対象だけに 注意を向けてください。

 あらゆる角度から 見つめてください。

 手に取って、 触れてみてください。

 においをかいでもいいでしょう。

 対象に関する 様々な感覚的な情報を 受け入れてください。

 心がさまよい始めたら、 自分自身をつかまえて、 対象に注意を戻してください。

 イライラしたり、 自分を批判する必要はありません。

 ただ対象に戻ってくることを 続けてください。

(2) 自らの考えを監視する

 自分自身の心と その考えへの気付きを 深めます。

 練習を重ねるにつれ、 特定の考えに行き詰まったり、

 ストレスを感じたり、 圧倒されることが少なくなるでしょう。

 気が散らない所で、 楽な姿勢で椅子に座り、 両足を床につけ、 背筋を伸ばします。

 通常の呼吸を行ない、 目は開けたままにします。

 5分間、 考えることをやめてください。

 考えが浮かんできて、 それが動き、 流れ去るのを見つめてください。

 それにしがみついたり、 押しのけようとしたり、 判断したりしないでください。

 ただやって来て、 去りゆくのに任せます。

 ある考えにとらわれてしまったら、 ただそのことに気付いて、

 静かに心を観察してください。

 批判的になっていることに気付いたら、 それに気付いたということだけで、

 心を観察する状態に戻ります。

 練習すれば、 脅迫的な考えや心配事に とらわれなくなってくるでしょう。

 重要な関心事や活動に対して、

 より良く 焦点を合わせることができるようになるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕

(以上)
 

マインドフルネス

2013年06月08日 21時33分40秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 弁証法的行動療法 (DBT) に欠かせないのが マインドフルネスです。

 このスキルは ノン・ボーダの人にも有効です。

 マインドフルネスとは、 判断を伴わない気付きです。

 判断したり、 自分自身や 自らの経験を批判することなく、

 自らの考え, 感情, 身体感覚, 行動に -- まさに今この瞬間に --

 気付いている能力」です。

 「中心いる」 状態, 「真の自己」 との出会い と言う人もいます。

 マインドフルネスの目標は、 強い感情と危険な振る舞いの パターンを認識し、

 より思慮深く、 より衝動的でなく 行動できるようにすることです。

 「賢明な心」、 すなわち 「理性的な心」 と 「感情的な心」 の

 バランスが取れた状態を 実践することです。

 人生をやってくるままに体験し、

 曖昧さやグレーの領域を 良しとして認めることができます。

 理性的な心の状態では、 感情は脇によけられ、

 計画に沿った コントロールされた反応をします。

 感情的な心の状態では、 事実は気持ちに合うように、

 または 気持ちを承認する形で 歪められてしまうかもしれません。

 懸命な心の状態では、 感情と思考は共に働き、

 適切に、 よりスムーズに行動します。

 マインドフルネスな状態にある時、 人生のありのままに対して心を開き、

 それぞれの瞬間を、 それが生じて過ぎ行くままに、 完全に意識しています。

 自分自身や 自分の状況や 他人を批判しないことです。

 今ここに 焦点を合わせ、 将来や過去にとらわれるのを 避けることができます。

 予測不能で混乱する行動に 対処するのに役立ちます。

 マインドフルネスによって、

 白か黒かの考えによる 感情のジェットコースターから 離れられます。

 痛みに耐えたり、 問題解決をよりうまく行ない、

 生活や人間関係で混乱したり ストレスが少なくなるようです。

 ただし、 マインドフルネスが目指すのは、

 深い幸福感や、 ストレスや困難のない 人生ではありません。

 マインドフルネスは 誰もが身に付けられるスキルです。

 神秘的なことは何もありません。

 心が騒いでも、 それが起こり、 消え去るに任せます。

 繰り返し、 今ここに 戻ってくるのです。

 マインドフルネスにより、 ストレスの多い状況に対して、

 よりバランスの取れた 健全なやり方で、 賢明に対処できるようになります。

 より良く決断し、 人間関係を向上させ、

 リラックスする能力を 最大限活用できるようになります。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

境界性パーソナリティ障害の治療

2013年06月07日 22時10分56秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 BPDの新しい治療法が 成功を収めています。

 ただし 本人自身が、 心から変わりたいと思うことが 大切です。

○ 薬物治療

 薬物は、 うつ, 気分変動, 解離, 攻撃性, 衝動性などの症状を

 緩和するのに役立ちます。

 医師には 特別な訓練が必要です。

 抗精神病薬 (ジプレキサ), 抗うつ薬 (ゾロフト, エフェクサー),

 気分安定剤 (デパコート, ラミクタール) などがあります。

○ 心理療法

 自ら問題に取り組もうとする ボーダーの人に、 構造化されたプログラムが有効です。

 臨床家は 特別な訓練が必要で、 同じ障害を持つ仲間と 交流の機会があることが、

 良い結果を生み出します。

 (それは他の治療法も同様です。)

《 弁証法的行動療法(DBT) 》

 最も良く知られた、 構造化された BPDの治療法です。

 週1回のグループ・スキル・トレーニングに参加し、

 苦痛に耐えるスキル, 感情を調節するスキル, 対人関係のスキル,

 マインドフルネスを身に付けていきます。

 マインドフルネスは DBTの中核となるものです (後述)。

《 メンタライゼーション(MBT) 》

 一種の心理療法で、 次のことに焦点を当てます。

・ 自らの思考と 他者の思考を区別する

・ 思考, 感情, 願望, 欲求が、 いかに行動に繋がっているかを 認識する

 患者とセラピストの 交流を重視し、

 スキル・トレーニングを重視する DBTと異なる点です。

 目標は、 他者との良い関係であり、 感情や行動のコントロールを 向上させます。

《 スキーマ療法 》

 「スキーマ」 とは、

 子供時代に 生存に関わるニーズが 満たされなかった場合に起こりうる、

 自滅的で 確立された 生活パターンです。

 スキーマは 生活の中で引き金を引かれ、

 その感情的引き金に過敏になり、 自分を傷つけてしまいます。

 スキーマ療法の目標は、 真の感情にアクセスし、

 自滅的なスキーマ・モードの スイッチを切り、

 対人関係の中で 感情的なニーズが満たされるようにすることです。

《 STEPPS グループ治療プログラム 》

 「感情の予測と 問題解決のための システムズ・トレーニング」で、

 伝統的な治療に 追加して使われます。

 病気への気付き, 感情を扱うスキル・トレーニング,

 行動を扱うスキル・トレーニングの 3段階があり、

 家族が 重要な役割を果たします。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

境界性パーソナリティ障害を引き起こす 危険因子

2013年06月06日 22時20分44秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 BPDには 単一の原因があるのではなく、 幾つかの危険因子があります。

 生物学的な脆弱性に、問題の多い環境が組み合わされると、

 BPD発症の可能性が出てきます。

○ 生物学的な要因

 神経伝達物質レベルの機能不全は、

 衝動性や不安定な感情などの 問題を引き起こすことがあります。

 脳の組織に 障害が起こることもあります。

 扁桃体は 感情のコントロールを司りますが、

 ボーダーの人は この働きに支障があります。

 BPDを引き起こす 単一の遺伝子があるわけではありません。

 BPDのリスクを高める遺伝子は、

 双極性障害, うつ病, 物質使用障害, 外傷後ストレス障害などを持つ

 人々の間で 受け継がれているようです。

 BPDは 脳の神経経路の不安定性によるものであり、

 問題行動は 意図的でも計画的なものでもありません。

○ 環境的な要因

 BPDは 子供時代に受けた 虐待の結果だという神話があります。

 確かに ボーダーの人の多くが、

 虐待, 見捨てられ, ネグレクトなどの 犠牲者である場合がありますが、

 全てのBPDの人ではありません。

 研究されているのは 自殺や自傷傾向のあるBPDの人で、

 高機能の人々が抜け落ちています。

 また、 虐待を受けたというのは 自己報告であり、 客観性が欠けています。

 しかし 環境的な要因は、

 遺伝学的にBPDになりやすい人の、 発症のきっかけとなるようです。

 これを 「環境的な負荷」 といいます。

 環境的負荷には 以下のものが含まれます。

・ 効果的でない子育て

  不適切な育児スキルや 精神疾患など、 あらゆるもの

・ 安全でない、 混沌とした家庭環境

・ 子供と親の気質が 衝突すること

・ 養育者が突然いなくなったり、 世話されなくなること

  新しい赤ちゃんが 生まれることなども含む

  子供は 自分が見捨てられたと感じる

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

いま決断すること (6)

2013年06月03日 21時08分31秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 「ここは私の居場所じゃない」 の レイチェル・レイランド (BPD) が

 「ようこそオズへ」 に 投稿した文章を紹介します。

 「セラピーなんて受けないほうが 良かったんじゃないかって思った。

 生まれつき 不安定なアイデンティティに 苦しんでいる人間にとって、

 自分の考えを 一旦壊して、 新しい考えが 身に付かない間は、

 恐怖で押しつぶされそうになるの。

 何も存在しない 闇の穴を覗き込んで、

 自分にはアイデンティティなんて あるのかと思った。

 幸い 素晴らしいドクターや 家族に支えられて、 私はBPDから回復したの。

 この旅路を 歩きたがらない人もいるでしょう。

 全てのノン・ボーダーの人が、 ボーダーの人との関係を 続けるべきだとも思わない。

 多くの場合は、 自分を守って、 人生を先に進むことが必要でしょう。

 でも、 もっと親密で幸せな関係に なれることもあるの。

 人には 驚くほど優しくなれる 能力がある。

 憎しみと同じくらい、 愛情と優しさに満ちているわ。

 苦痛や葛藤には すごく意味があったの。」

 知識を得るのは 比較的たやすいことです。

 今度は、 知恵です。

 以下のことや、 様々なことが起こるでしょう。

・ 長年の信念や価値観に 疑問を投げかける

・ ずっと避けてきた 問題に直面する

・ ボーダーの人との間の 暗黙の取り決めを見直す

 それらの過程で、 あなたは 自分が本当は 何に価値を置いているのか,

 自分が 本当はどういう人間なのか、 見つけることができるでしょう。

 自分の気付かなかった強さを 発見するでしょう。

 これ以上に大切なことは、 人生にほとんどありません。

 「自分自身に忠実になれば、 必ずや 人にも忠実になれる」 (シェイクスピア)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

いま決断すること (5)

2013年06月02日 21時13分40秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
○ 選択の余地のない関係

 ボーダーの人の親, 子供, 兄弟姉妹がいる場合などは、 決めるべきなのは、

 境界を設定して守ること, 自分が押しつぶされないようにすることです。

 その人とどれだけ接するか、 どれだけエネルギーを費やすかなどに、

 境界を設けることができます。

 一貫した手本と、 ボーダーの人の行動に対する 一貫した反応を示し、

 境界を強化してください。

 関係が大きな苦痛をもたらし、 相手に変化する気がないなら、

 一時的または永久に 関係を絶つ選択肢もあります。

ex.

 私は ボーダーの息子のことに集中しすぎて、 自分や夫や娘のことを 見失っていた。

 私は、 息子が引き起こす混沌から 身を引かなければならなかったの。

 息子には この境界が不服だったみたいで、 3年も連絡を絶ったの。

 でも彼も、 境界があっても 何の関係もないよりましだって 思ったみたい。

 今はちょっと不自然だけど、 何とかやっていけるの。

 彼は私たちなしでも 生きていけるって学んだ。

 私も、 息子を変えることはできないって 認められるようになったの。

○ 癒しと希望

 あなたが何を決断しようと、 そこには希望と癒しがあります。

 ひとつの関係が 終わる際の癒し、 愛する人が BPDから回復する希望です。

ex.

 ボーダーの夫と 離婚して10年、 私は自分自身について 沢山学んだ。

 それまで避けてきたことや、 認めようとしなかったことを。

 前より意識的に生きてるわ。

 彼を責めても意味がないし、 状況が良くなるわけじゃない。

 彼は 私を傷つけた以上に、 彼自身を傷つけてたのよ。

 彼が感じていた孤独, 恐怖、 それが 彼に対する私の怒りを 鎮めてくれるの。

 私は彼を見捨てた。 酷い罪悪感を感じていたわ。

 でも それを手放さなくてはならなかった。

 私は彼を助けられなかったけど、 自分を破滅させることもできなかったのよ。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

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2013年06月01日 21時10分57秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
○ 選択した関係

 選択した関係ならば、 ボーダーの人が 本気で回復を約束した時、

 ノン・ボーダーの人は 喜んで彼らを支えます。

 ボーダーの人が 責任を取らない場合は、

 ノン・ボーダーの人が どんなに頑張っても、

 結局 その関係は終わってしまいます。

 幾つかの例を紹介します。

ex.

 彼女は 僕が愛している女性で、 たまたま精神疾患を 持っていただけなんだ。

 治療を受けたり入院したりして、 彼女との関係は もっと親密なものになったよ。

 彼女に誠意を尽くした ご褒美は素晴らしいものだ。

 恋に落ちた時と 全く同じ明るさ, 情熱, 美しさなんだ。

 BPDの 恐怖や混乱は消え去っていた。

 彼女も僕も成長したんだ。

ex.

 彼とは何度も別れたけど、

 彼が謝って、 どう変わるか言ってくれたら、 元に戻るの。

 彼は 親切だしかっこいいし、 気前もいい。

 怒りを爆発させたり、 暴力を振るったりしない。

 自分の行動を改めようと 真面目に合張ってる。

 リスクも承知だけど、 彼を愛しているし、 彼との人生を 楽しもうと思ってるの。

ex.

 コミュニケーションする努力は 私の仕事だった。

 境界線を引くのも、 病気を理解するのも私。

 でも片方の人が 何でもする関係なんて、 そんなのありかしら? 

 勇気が要ったけど、 私は切ったの。

 彼の苦悩は 彼に返してあげた。

 そんなことができる力が 私にあったなんて 思ってなかった。

 でも 私が自分の気持ちを取り戻したって、 全然問題ないんだわ。

 誰にでも こういう選択の自由があるのよ。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

いま決断すること (3)

2013年05月31日 22時10分56秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
○ 自分自身への問い

 パートナーとの関係について、 自分自身に 問うべき質問があります。

・ この関係から 何を得たいか, 何を必要としているか

・ 自分の感情をさらけ出せるか

・ 身体的な危険はないか

・ 子供にどんな影響があるか

・ 自尊心に影響を与えているか

・ ボーダーの人と同じくらい、 自分自身を愛しているか

・ ボーダーの人が 変化する用意ができた時だけ、 受け入れているか

  変化がなくてもやっていけるか

・ お金など、 実際的な問題は何か

・ 自分が幸せになる権利が あると思っているか

・ 人の犠牲になる時だけ、 自分に価値があると思っているか

・ 最も気が休まるのは いつか

 (その人といる時か, 一人の時か, 他の人といる時か)

・ 家族たちに逆らっても、 自分の決定をできるか

・ 本当に自分自身で決断しているか,人がしてほしいことをしているだけか

・ 自分の決定の 法的な結果はどうか

・ 私が友人の立場だったら、 どうアドバイスするか

○ 子供が巻き込まれたら

 自分が不幸でも 子供のためには一緒にいるべきでしょうか? 

 しかし、 不幸な親と妄想的な親に 挟まれているよりは、

 一人の幸せな親と 暮らしたほうがずっとましです。

 子供にとって 解決不能な葛藤や、 言葉の暴力, 虐待にさらされることのほうが、

 離婚よりも悪影響です。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

いま決断すること (2)

2013年05月30日 20時10分57秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

3. 内向段階

 ノン・ボーダーの人は 内面に目を向け、 正直に自分を見つめようとします。

 この段階の目標は、

 二人の関係で 自分が果たしてきた役割を、 より深く理解することです。

 自己批判でなく、 洞察と自己発見です。

4. 決定段階

 相手との関係について、 何らかの決断を下そうと 悩みます。

 何ヶ月、 何年も続くかもしれません。

 自分自身の価値観, 信念, 期待, 思い込みなどを

 はっきり理解する必要があります。

 例えば、 離婚に反対する 保守的な家系の出身のために、

 暴力を振るう妻と 別れずにいるのかどうか? 

 他人のものではなく、 自分自身の価値観で 行動することが大切です。

5. 決定期

 決意を実行に移します。

 時間をかけ、 何度も迷い、 別の選択を模索す人もいます。

○ 白か黒かではない関係

 白か黒だけではなく、 沢山の選択肢があります。

・ ボーダーの人が境界を侵したときは、 一時的にその場を離れる

・ 関係をしばらく絶つ (数日~数ヶ月)

・ ボーダーの人の行動を個人的に受け取らない

 (相手が私だからやっているのだと受け取らない)

・ 関係は続けるが、 別々に住む

・ 親密度を弱める

・ 一緒に過ごす時間を減らす

・ 趣味や友だち付き合いなどに、 バランスよく時間を使う

・ ボーダーの人が治療を受け、 変化しようとする場合だけ、 関係を続けると伝える

 彼らに約束を守らせ、 破ったら去る

・ あなた自身がセラピーを受け、 問題が解決するまで、 決定を先延ばしにする

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

いま決断すること (1)

2013年05月29日 21時26分35秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ノン・ボーダーの人は、 ボーダーの人との関係を とても続けられないと思いながら、

 去ることは想像ができないし、 不可能のようです。

 ノン・ボーダーの人は皆、 同じ気持ちを抱いています。

 今は見えていなくても、 あなたには選択の自由があります。

○ ノン・ボーダーの人が経験する 5つの段階

 一般的に次の段階を 順に経験するでしょう。

 大抵は行きつ戻りつします。

1. 混乱段階

 ボーダーの人の行動の理由を 理解しようと苦しみます。

 見込みのない解決策を探したり、 自分を責めたり、

 混沌の中で生きようとしたりします。

 BPDの知識を得ても、

 知的なレベルで 本当に理解するには 何週間も何ヶ月もかかるでしょう。

 感情的なレベルで理解するには もっと長い時間が必要です。

2. 外向段階

・ 注意をボーダーの人に向ける

・ ボーダーの人に 専門的な援助を受けるよう迫ったり、 彼らを変化させようとする

・ 問題行動を誘発しないよう 全力を尽くす

・ ボーダーの人を理解したり、 共感しようとするうち、 学ぶことは全て学ぶ

 ノン・ボーダーの人が 怒りや悲しみを理解するには、 長い時間がかかります。

 特に、 親や子供がBPDの場合は そうです。

 障害は本人の責任ではないと 頭では理解していても。

 自分の怒りを抑圧し、 代わりに 抑うつや無力感や罪悪感を抱きます。

 この段階で必要なのは 以下のことです。

・ 自分の感情を認め、 対処する

・ ボーダーの人に 自分の行動の責任を持たせる

・ 彼らが望み通りになる 幻想を捨てる

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕

(次の記事に続く)
 

事実ねじ曲げ作戦との戦い (3)

2013年05月27日 22時41分15秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

 子供から 不当な告発を受けたときの アドバイスです。

・ 子供の診断や行動の 記録を残しておく。

・ あなた自身の行動も 記録しておく。

  アリバイになるかもしれません。

・ 他の子供たちが、 あなたの無実を 証言する気があるか 訪ねておく。

・ ボーダーの子供と会うときは、 必要なら第三者を同席させる。

・ 告発を深刻に受け止める。

  雪だるま式にコントロールが及ばなくなります。

《 防衛的にならず、 質問に答える 》

 虐待に関する 児童相談所などの調査は、 詰問のように感じるかもしれませんが、

 明白な証拠でなければ 告訴にはなりません。

 防衛的で非協力的な態度は 不利益になります。

 子供を愛していると伝え、 法的な質問には 正直に答える必要があります。

 批難されるべきは 子供ではなく病気です。

 本当の敵は 以下のことです。

・ 否認: すぐに解決するだろうと期待して 何もしない

・ 希望的観測: ボーダーの人が 心を入れ替えると思い込む

・ 感情的になる: 理にかなった解決でなく、 感情的に反応する

・ 殉死: 自分が傷ついても、 ボーダーの人を 傷つけられないと思う

・ 孤立: 自分だけで 問題を解決しようとする

・ 法的手続の遅れ: 危機的状況になるまで弁護士を雇わない

 真実はおのずと明らかになり、 嘘も最後は暴かれます。

 適切に行動することで、 その日が来るのを早められます。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

事実ねじ曲げ作戦との戦い (2)

2013年05月26日 21時31分37秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○ 言いがかりについて 人と話すとき

 ボーダーの人は あなたに関するデマを 言いふらすかもしれません。

 それに対してどうしたいのか 自問してみてください。

 身の潔白を証明したいのか、 友情関係が失われないようにしたいのか。

 さほど大きな問題を 起こさないとしたら、

 彼らの嘘が 嘘だと分かるようにするのが 一番いいでしょう。

 しかし、 周りが嘘を信じる 重大な状況になっていたら、

 誤解を解く必要があります。

・ 腹が立っても、 落ち着いて、 自制心を保って行動する。

・ 相手が 噂を本当だと思っているなら、 深刻な事態だと伝える。

・ ボーダーの人をけなさない。

  ボーダーの人を 心配していることを伝え、

  嘘の理由が分からず 混乱していると認める。

  心理的問題について議論すると、 誤解されたり、

  ボーダーの人をけなすように思われる。

・ 人があなたをどう思うか コントロールできないと認識する。

  言うべきことは言い、 あとは放っておく。

○ ボーダーの子供から、 いわれのない虐待の告発を受けたら

 子供が不当に 親を虐待で訴えることがあります。

 その理由としては、

 主観的な被害への復讐, 不公平に扱われたことへの仕返し,

 両親の信頼関係を引き裂こうとする 試みなどです。

《 不当な告発への対処 》

 訴えられた親は 多くの場合、 子供や家族から離れて暮らすよう、

 裁判所から命じられます。

 子供と暮らすことになる 他方の親は、

 子供と配偶者の双方を支え、 誠意を保とうとする 葛藤を抱えます。

 他の家族や友人なども、 子供と親の どちらに誠意を示すか、 窮地に陥るでしょう。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

事実ねじ曲げ作戦との戦い (1)

2013年05月25日 21時07分43秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人は それぞれ独自の存在で、 対応の仕方も異なります。

 行動を起こす前に、

 状況を理解している メンタルヘルスの専門家に 相談してください。

 境界性パーソナリティ障害が 精神疾患であることを認識してください。

 彼らは 細やかな心遣いと敬意をもって 扱われるべきなのです。

 怒りや仕返しで 彼らを傷つけないでください。

○ 攻撃されにくくすること

 事実ねじ曲げ作戦に対処する 最善の方法は、 予防です。

 事前に対策を講じて、 自分を守りましょう。

 事実ねじ曲げ作戦は 仕返しの場合と、 理由が見当たらない場合があります。

 以下の手順を踏んでください。

・ ボーダーの人を巻き込む行動を 自分がしていないか,

  ボーダーの人がどんな反応を示すか、 考えてください。

・ あなた自身の、 攻撃に弱いところはどこでしょう? 

  最悪の事態に備えつつ、 最善を期してください。

・ 計画を立てて実行してください。

○ 反応しないという手

 反応することが ボーダーの人の行動化を 長引かせることがあります。

 あなたを彼らの下に 引き留めるためかもしれません。

 感情的な反応は 彼らの行動への ご褒美になってしまいます。

 相手の行動の 短期的結果と長期的結果を 考えてください。

 結果が無意味だったり、 あなたを困らせるだけのものならば、

 放っておくのが 一番よいかもしれません。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

事実をねじ曲げる作戦 (2)

2013年05月20日 20時48分24秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
事実をねじ曲げる作戦 (2)
 
(前の記事からの続き)

・ アイデンティティと攻撃性

 妻や母親としての アイデンティティを失ったと感じると、

 空虚感, 無力感, 存在の無意味さ,

 生きていけないという思いを 抱くかもしれません。

 そのため、 決して屈しないという 偽りの姿を身にまとい、

 自分の一部を失うまいと、 闘うようになると考えられます。

 相手にしがみついたり、 喧嘩としがみつきを 繰り返す場合もあるでしょう。

 自分を被害者だと見なすと、

 事実ねじ曲げ作戦が アイデンティティになるのかもしれません。

・ 恥辱と批難

 無能感, 不全感, 羞恥心, 屈辱感, 低い自己評価などを持つ ボーダーの人は、

 完璧さのマスクをかぶって、 それを覆い隠そうとするでしょう。

 極端な自己不全感のために、

 彼らは 相手のほうが無能で 無責任だと立証することで、

 自分への批難を 免れようとするのかもしれません。

 配偶者に去られることを 破滅的な攻撃だとみなすと、 ボーダーの人はそれを

 裏切り, 利己的な好意, 陰謀などに見立て、

 妄想的な考えを 膨らませるかもしれません。

 裏切られた側は 仕返しを企て、 それに取りつかれるかもしれません。

 相手が 危険で攻撃的だとみなされると、

 不当な扱いを受けたのだから 報復してもよいと考えます。

 “やられる前にやれ” という、 先制攻撃をしかけることもあります。

○ 自分の危険度を調べる

  事実ねじ曲げ作戦には 幾つかの共通点があります。

・ 人に裏切られたと主張し、 仕返ししようとする。

・ 感情的なストレスがかかったり、 ノン・ボーダーの人と二人だけになると、

  現実との接点を失い、 妄想的になる。

・ 被害者であるノン・ボーダーの人は、

  自分がボーダーの人を 保護すべきと思っている。

  そして 自分の利益を計れなくなっている。

 ボーダーの人は スプリッティングのせいで、

 ノン・ボーダーの人に対して プラスの感情を思い出せないかもしれません。

 ノン・ボーダーの人を 極悪非道人とみなすことに、 早く気付くいて、

 事実ねじ曲げ作戦を切り抜けましょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

事実をねじ曲げる作戦 (1)

2013年05月19日 21時57分51秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人の中には ノン・ボーダーの人に対して、

 いわれない批難をしたり、 屈辱的な噂を立てたり、

 正当な理由もなく 法的措置に訴える人がいます。

 これを、 事実ねじ曲げ作戦と呼んでいます。

 お金を盗まれたとか、 暴力を振るわれたとか言いふらしたり、

 脅迫状を捏造して 法廷に持ち込む人もいます。

 しかし、 多くのボーダーの人は そのようなことはしません。

 精神疾患を持っていてもいなくても、 間違った主張をする可能性があるでしょう。

 ただ、 いわれなく批難されるノン・ボーダーの人を 理解する必要があります。

○ 事実ねじ曲げ作戦の動機

・ 見捨てられることと怒り

 BPDが 根本的に風変わりな行動を 起こすわけではありません。

 ボーダーの人も 他の人と全く同じで、 ただ ちょっと極端なだけなのです。

 人は誰でも 喪失感や拒絶された思いを 経験します。

 事実ねじ曲げ作戦には、 見捨てられ感や喪失, 拒絶という、

 ボーダーの人にとって 恐ろしい問題があるようです。

 愛する人に縁を切られると、 自尊心を傷つけられたと感じるかもしれません。

 喪失感がはっきりしない場合もあります。

 愛する人や、 夢や希望を失うと、

 不安や悲しみ, 見捨てられて孤独になる恐れなどが 強烈に呼び起こされます。

 それを認識するのが 難しい人は、 悲しみや怒りに蓋をし、

 相手を 終わりのない論争に巻き込んで、 別れを回避しようとします。

 喧嘩は否定的なものとはいえ、 相手との接触を保つ方法です。

 喧嘩の最中でも、 彼らは 仲直りできるのではないかという 幻想を抱いています。

 過去の喪失体験から受けた、 未解決のトラウマにも 反応しているかもしれません。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕