ひつぎの中の顔は、 かすかに 微笑んでいるようにも見えました。
2001年12月27日、 長谷川敏彦死刑囚 (当時51) の刑が執行され、
2日後 教会で葬儀が営まれました。
長谷川死刑囚に 弟の命を奪われた、 原田正治さんの姿もありました。
弟の明男さん (当時30才) は、
長谷川死刑囚に 保険金をかけられたうえ 殺されました。
長谷川は 他にも二人を殺害しています。
極刑を望む原田さんに、 長谷川死刑囚から手紙が送られるようになりましたが、
1通以外は ごみ箱に捨てました。
心に余裕ができたころ、 ふと 返事を書いてみると、
手紙の数が 格段に増えました。
原田さんは思い切って 拘置所を訪ねます。
怒鳴りつけるかもしれないと 思っていましたが、
全身に喜びをにじませて 訪問への感謝を 口にする姿を見て、
怒る気が 失せていきました。
その後も 3回ほど面会しました。
長谷川が悔い改め、
遺族のことを気にかけているのが 実感として伝わってきます。
「 彼のことを 許したわけではない。
でも、 もっと生きて、 償いの気持ちを 伝え続けてもらいたかった。
死刑からは何も生まれないと 思うようになった 」
原田さんは一昨年、 被害者と加害者の対話を 進める団体を設立。
加害者が 被害者に心から謝罪するよう 助言しています。
オウム事件の被害者・ 河野義行さんも、
自らの冤罪体験から 死刑を望みません。
一歩間違えたら 自分も死刑になっていた。
「 遺族が犯人に 死刑を求める気持ちは 充分、 理解できる。
だが、 憎しみに縛られていては 幸せになれない 」
〔読売新聞より〕
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上記の原田さんは、 以前 ブログに書いたH氏です。
被害者遺族自ら死刑に反対する H氏のことを、 下記から連載しています。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/29733348.html