「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界について話し合いましょう (1)

2014年07月31日 22時05分25秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 本人との話し合いは、 何カ月にもわたるでしょう。

 境界をイベントとしてではなく、 プロセスと考えてください。

 最初はひとつかふたつの境界で ゆっくり始めましょう。

○ 安全第一

 BPDの人を説き伏せようとするのは 悪い考えです。

 いつも安全第一です。

 虐待的な振る舞いを 大目に見てはいけません。

 境界を設ける方法には 幅があります。

 その部屋から出ていくという方法も、 救急車を呼ぶという方法もあるでしょう。

 誰かが暴力的になったときには、 身の安全を守ることが重要です。

 目をつぶっては、 事態をエスカレートさせるだけです。

○ DEARテクニックを活用しましょう

 BPDの人とのコミュニケーションのための、 一連のスキルが 「DEAR」 です。

 描写する (describe), 表現する (express),

 主張する (assert), 強化する (reinforce) の頭文字です。

 共感的に認め、 障害の生物学的理由, BPDの人が感じる 羞恥心と恐れなど、

 すべて心に留めておくことは 重要です。

描写 (describe):

 事実に基づき、 感情的にならず、 その状況を 目にしたように述べてください。

表現しましょう (express):

 その状況に何を感じているか、 どう考えているか、 はっきりと表してください。

主張しましょう (assert):

 境界を簡潔に主張してください。

 境界は小規模で、 達成可能であるべきです。

 この境界を 繰り返し述べてください。

強化 (reinforce)

 適切なら、 境界の利点を強化してください。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の話し合いのための準備 (2)

2014年07月29日 20時51分59秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 代償を見積もりましょう

 私たちは 解決できない問題に直面すると、

 見て見ぬふりをしたり、 うまくいったことがない方法を用いたりします。

 そして危機が生じます。

 代償は 思った以上に高くつきます。

 私たちは 物事を成り行きに任せがちです。

 non-BPDは 自分の生存が脅かされるまで、

 境界設定を先延ばしにするようです。

 そして 自分自身を好きでなくなってしまいます。

○ 境界特性その5

 『長期にわたって境界を維持していくには、

 その境界が必要であるという 確信を持たなければなりません。

 確信は、 代償を理解したときに生まれます。』

○ 結末を提示しましょう

 BPDの人が 境界に従わなかったときには、

 実際に家を出たり、 別の結末を用意する必要があります。

 人は不愉快な行動は避け、 張り合いのあることをやるものです。

 健全な人間関係では、 境界は、

 他者を喜ばせたい欲求と、 自分を喜ばせたい欲求の バランスで成り立っています。

 non-BPDは あまりにも弱い境界しか持たない 傾向があります。

 受け入れることと受け入れられないことの、 「基準線」 を変えてください。

 皆さん自身と二人の関係のために 結末を用意するのであって、

 本人に対抗してそうしているのではありません。

 境界は 皆さん独自のものであると覚えておいてください。

○ 同意を図りましょう

 家族全員の足並みが そろっている必要があります。

 協力し合わない両親には、 夫婦間の問題が生じるでしょう。

 それもまた、 スプリッティングを悪化させます。

○ 起こりうる結果を考慮しましょう

 BPDの人の行動が改善する前、 例外なく いったんは悪化します。

 最初のステップは、 その状態から脱することです。

 起こりうる結果を全て考慮し、 問題解決に備えます。

 以下の兆候が見られたら、 専門家の支援が必要です。

・ 大激怒, 自殺の脅しなど、 安全を脅かす

・ 二人の関係が長年 機能不全である

・ BPDの人が 権威ある立場にある

・ BPDの人が脅しをする

・ BPDの人が 味方を引き入れる

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の話し合いのための準備 (1)

2014年07月28日 21時44分09秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 境界を設定しようとすると、

 スプリッティング-羞恥心-恐れの螺旋が 活性化されます。

 安全ネットの計画として、 以下の5つの 「C」 が肝要です。

・ 明確化する (clarify)

・ 代償を見積もる (calculate costs)

・ 結末を提示する (come up with consequences)

・ 同意を図る (create a consensus)

・ 起こりうる結果を考慮する
 (consider possible outcomes)

○ 境界を明確にしましょう

 設定したい境界を考えてください。

 他の人たちと ブレイン・ストーミングをしてください。

(他の人は non-BPDが気付けないこと気付きます。)

 高機能BPDの人の場合、 次のような質問から始めてみましょう。

・ どのようなテーマは避けた方がよいか

・ 私にとって最善のことは何か

・ BPDの人にとって最善のことは何か

・ 私は何を望んでいるか

・ 私は何を必要としているか

・ どうしたら安全か

・ 何が私を腹立たせるか

 低機能のBPDの人なら、

 より現実的で 小さな目標を設定できるよう 助けてあげてください。

 家族内で率直に話し合い、 全員が忠実に守れる計画を 立ててください。

 境界は、

 皆さんが 他者に何を期待するかではなく、 皆さんが 何を受け入れられるかです。

 親たちは、 子供に多くをやりすぎる 傾向があります。

 低機能のBPDの人が 自力で何はでき、 何はできないかを判断するには、

 試行錯誤が必要です。

 親がお節介をして 事態を悪化させれば、 それは親のせいになります。

 計画を立てる際には、 交渉の余地を残しておいてください。

(次の記事に続く)

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の3つの鍵 (4)

2014年07月24日 20時54分44秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
○ 境界特性その4

 次の特性は 最も重要なものです。

 『自分自身の境界に 責任を持つことによって、 被害者であることをやめましょう。

 境界に BPDの人がどう反応するかについては、 彼ら自身に責任を持たせます。

 それによって、 BPDの人が自分自身を救う 機会を与えるのです。』

 自分の決断は自分のものである という考えは、 非常に強力です。

 できごとにどのように反応するかは、 多様な選択肢があると認識できます。

 家族は、 BPDの人ができないことと、

 できること (できるけれどもする必要がない、 と本人が望むこと) を

 区別しなければなりません。

 境界を設定することで、 人はより大きな責任を担い、

 BPDの人が 自分の中に適切な境界を持つよう 動機づけられるのです。

 BPDの人を、 その行動の結末から 保護してはいけません。

 壁に突き当たるのは必要なことです。

 家族がBPDの人を救った 結果は複雑です。

 第1に、 問題行動がしつこく続くことになります。

 BPDの人が 何らかの報酬を得たからです。

 第2に、 家族は本人をかばうなかで、 犠牲を払ったことに憤慨するでしょう。

 この場合、 家庭内の緊張が高まります。

 第3に、 BPDの人は この行動を家庭外で示し始め、

 より大きな被害と損失を 目の当たりにすることがあります。

 現実世界への準備を させないままにしてしまうのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の3つの鍵 (3)

2014年07月23日 21時37分29秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
○自分の知覚, 感情, 意見を信頼しましょう

 私たちが信じていることを 誰かが絶えず覆そうとすると、

 私たちの信頼は揺らぎ始めます。

 BPDの人は 私たちを孤立させ、 一貫したメッセージにさらし、

 「洗脳」 が生じるのです。

 皆さんの価値観, パーソナリティについて、 否定的な判断をさせます。

 ほとんどの家族が、 境界を設定する際、

 BPDの人から 「利己的だ」 と言われます。

 利己的というのは、 ほとんどのノン・ボーダーの人にとって、

 嫌で堪らない言葉です。

 しかし 皆さんは自分自身の信念を 持つ権利があります。

 その信念が BPDの人と異なっていてもです。

○ 境界からBPDの人を救助するのを やめましょう

 「カープマン・トライアングル」 を思い出してください。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/63841545.html

 論争の最中に、 家族のメンバーが、

 被害者, 迫害者, 救済者 (被害者を救う人物) の役割を 交替で演じます。

 ノン・ボーダーの人が 境界を設定すると、

 BPDの人は 自分を被害者役に、 ノン・ボーダーの人を迫害者役に 当てはめます。

 ノン・ボーダーの人は プレッシャーを感じて、 その境界を撤廃してしまいます。

 ノン・ボーダーの人は 迫害者から救済者へと移動し、

 知らないうちに 自分の境界を破滅してしまいます。

 そして ノン・ボーダーの人が被害者, BPDの人が迫害者となっているのです。

 親たちにとって、 罪悪感は 二極間を行ったり来たりします。

 まず 我が子の行動に失望し、 怒りにかられます。

 その後、 子供が自暴自棄になり、 自殺企図や自傷行為が見られるようになると、

 親は震え上がります。

 親は介護モードになり、 我が子を入院させます。

 子供は謝罪し、 親は 治療から我が子を救済します。

 親の罪悪感は軽減します。

 やがて、 子供は再び行動化し、 そのサイクルが繰り返されるのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の3つの鍵 (2)

2014年07月22日 20時21分46秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
《義務感と罪悪感》

 私たちは家族に対しては、 めったに境界を設定しません。

 人生の全てを 家族に喜んで捧げているようなものです。

 私たちは2つの理由から、 家族に充分な境界を設定しません。

 自己誘発的な罪悪感, 人がどう思うだろうかという 恐れです。

 私たちは、 家族に対して 境界を設ける権利があるとさえ 考えていないようです。

 けれども本当は、

 BPDの家族が 他の誰とも同じ基準に従うべきと 認める責任もあるのです。

 自分自身を労ることは 利己的ではありません。

 要求に対して 無条件に反応する人は、

 あまりにも疲れ、 思いやりを持つことができないのです。

 罪悪感と義務感というのは、 境界を設定する際の 一般的な感情です。

 あまりにも不快なので、 すぐに境界を維持することを 諦めてしまいます。

 あるノン・ボーダーの人はこう言います。

 「境界を設けようとすると、

 本人は何時間かかっても、 私が諦めるまで文句を言います。

 最初の30秒で屈してしまうほうが ずっと簡単なのです」

 FOGを切り抜けるために 最も強力なテクニックは、

 「私は我慢できる」 と 繰り返して言うことです。

 自身と、 人生を統御できるという 感覚が高まります。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界設定の3つの鍵 (1)

2014年07月21日 21時28分07秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 境界設定の心の準備をする 3つのポイントがあります。

・ FOG (霧)を避ける。

 恐れ(fear), 義務感(obligation), 罪悪感(guilt)の

 頭文字です。

・ 自分自身の知覚, 感情, 意見を大事にする。

・ BPDの人が境界を超えるのを 許したり、 彼らを救い出したりしない。

○ FOGを避けること

 FOGは 皆さんの視線を曇らせてしまいます。

《関係を失うことへの恐れ》

 ここで取り上げるのは、 人間関係を失うことへの恐れです。

 BPDの人は 障害はあっても、

 聡明で、 愉快で、 愛情が深く、 美しく、 素晴らしい人です。

 BPDの行動が その人の中心的部分だということを、

 受け入れるのは大変なことです。

 BPDの人の虐待的な行動から 我が身を守るために、 私たちは妥協してしまいます。

 それはBPDの人にとって 報酬となります。

 私たちは次第に 自分の境界を後退させ、 相手の侵入を大目に見たり、

 虐待的な行動も容認できると 自分を納得させるようになるのです。

 non-BPDの女性が、 自分自身の時間や 友人関係も必要だと言うと、

 BPDの彼氏は、 彼女のもとを去って、 嘘や噂を言いふらし、

 彼女の生活をだめにしてやる と言います。

 しかし彼女は 彼を失うことを恐れ、

 彼がどれほど素晴らしい人間か、 他の人たちにも理解してほしいと 思うのです。

 虐待のサインには、 生活の指図をする, 家族や友人から孤立させる,

 金銭を管理する, 相手が虐待していると批難する, 嫉妬深く独占する,

 暴力を振るう、 などがあります。

 皆さんは沈黙を守ることで 本人を 「助けている」 と考えるかもしれません。

 しかし、 専門家の支援を ただちに受ける必要があります。

 ストックホルム症候群を思い出してください。
(5月27日の記事の後段: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64069507.html )

 助けを求めないと、 結果は悲劇的になりかねません。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界の特性 (2)

2014年07月15日 20時29分41秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 境界特性その2

・ 皆さんは 誰かの求めに応じて 境界を設けましたか? 

  それとも 全員のニーズの バランスを取ろうとしましたか? 

・ 皆さんの意図は、 罰する, あるいはコントロールすることでしたか? 

  それとも、 全ての要因をもとにし、 理に適った計画を立てることでしたか? 

 ほとんどのノン・ボーダーの人は、 自分以外の全員に配慮しようとします。

 「ノー」 と言っていいことや、

 自分のニーズは 他の人のニーズと同じように 重要だということは、

 思いもよらないのです。

 『皆さんの境界は、 皆さんのためのであり、 他の人のためのものではありません。

 それは 皆さん自身, 他者, 人間関係を尊重することになるのです。』

 BPDの人は、 境界を

 彼らを罰する, コントロールするためのものと 見なすことがあります。

 彼らにとっては、 感情は事実に等しいものです。

 もし 皆さんが妥協するとしても、

 皆さんの感情が重要でないから という理由ではなく、

 皆さんが 「そうしたいから」  という理由でしてください。

 だからこそ皆さんは、 自分が何を望み、 何を必要としているかを

 はっきりさせる必要があるのです。

○ 境界特性その3

 この演習をした人の中には、

 諸経費が主な関心事で、 芝刈りは大した問題ではない という人もいます。

 きれいな家に 価値を置く人もいます。

 『それぞれの人が、 それぞれ異なる 境界のスタイルを持っています。』

 境界は 次の3点で変わってきます。

1. 境界の透過性: 境界がどれほど厚いか薄いか

2. 境界の柔軟性: 境界がどれほど可変的か

3. 境界の複雑さ: 境界がどれほど 相互に入り組んでいるか

 私たちは 自分自身の境界スタイルを持っており、

 それは 上記3つの相互作用によります。

 融通の利かない境界を 持つ人もいるし、 大雑把で柔軟な人もいます。

 高機能のBPDの人の中には、 かなり厳格な境界を 持つ人もいる一方で、

 non-BPDの中には、 何でも受け入れてしまう人がいます。

 そのため彼らは 圧倒された気持ちになるのです。

 境界の相違は、 衝突や不満の原因となります。

 しかし、 しばしば 別のことが原因に見えたりします。

 例えば お金, 子供, 約束を破ったなどについての 争いに見えるのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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境界の特性 (1)

2014年07月14日 21時18分12秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 境界を理解するためには、 具体的に話し合うことが一番です。

○ 「小人の家」 演習

 皆さんとBPDの人が同居しており、 家計も一緒にしていると 仮定してください。

 BPDの人が、 庭に小人の置物を集めようとします。

 様々なタイプ, サイズの置物を購入します。

 次第に 費用やスペースの問題が生じます。

 「小人の家」 を見ようと 人々が車で乗り入れてきて、

 近所の人たちは腹を立てます。

 芝を刈るたびに 置物を移動させなければなりません。

 次の質問に答えてください。

・ 置物に費やす費用は、 どの程度が妥当だと考えますか? 

・ 置物に当てるスペースは、 どの程度が妥当だと考えますか? 

・ 芝刈りをするときに、 誰が置物を移動させますか? 

  置物の掃除は誰がしますか? 

 皆さんが本当に 「望んでいるもの」 は 何であり、

 何を 「必要としているか」 を よく理解してください。

○ 境界特性その1

 『皆さんの境界は、 皆さんに特有の要因から 生じています。』

 ほとんどの人は、 ひとつの基準が 万人に当てはまると想っています。

 しかし そんなことはありません。

 BPDの人が 皆さんの境界は間違っている と言う場合、

 それは本人にとって 何が正しいかをであり、 皆さんにとって ではありません。

(次の記事に続く)

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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どうして境界が必要なのでしょうか? 

2014年07月13日 19時57分12秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
○ 皆さんにとって

 境界は、

 私たちがコントロールされ、 貶められ、 不当に判断されることを防ぎます。

 境界によって、 私たちの信念や好みが はっきりします。

 それがないと、 私たちは 他者の要求に圧倒され、 道を踏み外しかねません。

 ボーダーの人の激情を 檻に入れることによってではなく、

 強固な防護柵を 自分の周りに作ることで、 安全を保ってくれます。

○ 二人の関係にとって

 境界によって、 人はお互い尊重し合い、 安心が生まれ、

 受容と信頼が より深いものとなります。

 これらは BPDの人が非常に求めているものです。

 境界がないと、 人間関係は混沌とし、 不安定で、

 敵意に満ちたものとなりかねません。

 BPDの人は 境界を嫌いますが、

 境界は 彼らが渇望する 密接な結びつきをもたらすのです。

○ BPDの人にとって

 BPDの人は、 しっかりとした境界を持っておらず、 境界を罵ることがあります。

 しかし通常、 境界は彼らのためになります。

 彼らは、 構造化された環境では よりうまく行動するといいます。

 BPDの人の中には、

 自分がコントロールを失ったことを知ると、 非常に後悔する人が 数多くいます。

 彼らの激しい怒りが エスカレートするのを避けられれば、

 彼らは 感情のコントロールを取り戻すことができます。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳: 遊佐安一郎〉より〕
 
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境界とは何でしょうか?

2014年07月12日 19時57分13秒 | 「BPDファミリーガイド」より

 ここでは例えば、  「午後9時以降は電話をかけないで」 というような、

 「観察可能な」 タイプの境界に 焦点を合わせることにします。

 他の境界は、 精神的・ 感情的自己と関係があります。

 私たちには 自分の空間と自立が必要です。

 ありのままの自分であることと、 他者が望む自分であることの、

 バランスが大切です。

 健全でバランスの取れた関係と、 不健全でアンバランスな関係を 示します。

健全 : 本来の自分だと感じる

不健全: パートナーがいないと物足りない

健全 : 自分の幸せに責任を感じている

不健全: パートナーが幸せにしてくれることを 期待している

健全 : 一緒にいることと離れていることの バランスが取れている

不健全: 一緒にいることが多すぎたり、 少なすぎたりする

健全 : 他にも友人関係がある

不健全: パートナー以外の友人関係がない

健全 : 両者のよい点に 焦点を合わせている

不健全: 相手の悪い点に着目する

健全 : 率直で誠実なコミュニケーション

不健全: 駆け引きをする, 相手の話に耳を傾けない

健全 : パートナーへの誠実さ

不健全: 嫉妬, 依存, 不誠実

健全 : 相手との違いを尊重する

不健全: 相手の性質を責める

健全 : 関係の変化を受け入れる

不健全: 関係が常に同じであるべきだと 感じる

健全 : 望むことを正直に求める

不健全: 望むことを表現できない

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳: 遊佐安一郎〉より〕
 
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パワーツール4 : 愛情をもって境界を設ける

2014年07月11日 21時15分15秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 境界を定めようとすると、 次のようなことが起こります。

・ BPDの人は、 non-BPDのほうが間違っていると言い、

  言葉で魔法の罠を作る。 その驚異的なパワーから誰も逃れられない。

・ BPDの人は、 ときには微妙な、 ときには露骨なやり方で、

  non-BPDに罪悪感を抱かせる。

 non-BPDの中には、

 ボーダーの人が境界を守るつもりはないと 認めざるを得なくなって、

 関係を終わりにした人もいます。

 しかし、 ボーダーの人が 何年も境界を崩そうとしたあとに、

 境界を守り始めたと言う人もいます。

 あるnon-BPDの男性は 次のように話しています。

 「彼女はいつも 自殺すると言って僕を脅しました。

 僕は、 何か間違ったことを言ってしまわないか ビクビクしていました。

 僕は 他の家族と語り合うようになって、 2つのことに気付きました。

 もっと強くなって、 境界を構築し直さなければならないということです。

 彼女が激怒して 悪口を言い始めたら、 僕は出ていくと 彼女に言いました。

 彼女は激怒し、 事態は10倍も悪化しました。

 でも 僕には覚悟ができていました。

 その場を去るのが 最善策だと納得していたんです。

 僕は数回家を離れ、 1~2日帰らないこともありました。

 僕は彼女に、 状況を改善する必要があると 言いました。

 このままでは僕は壊れてしまうと。

 僕が真剣であることを、 彼女も理解するようになりました。

 とうとうある日、 彼女は僕に謝りました。

 時間がかかりましたが、 状況は改善したのです。

 彼女は自分の行動に 責任を感じるようになりました。

 とうとう僕たちは 心と心で話せるまでになりました。

 「僕は随分苦しんでいる」 と 言うことができました。

 僕は自分自身を 労らなくてはならないことを学びました。

 境界を定めるというのは、 僕たちの関係を 続けるための方法なのです。

 状況は改善する前に まず悪化する、 それを受け入れることが必要です。」

 境界を定め、 最後までそれを貫くことが、

 BPDの人が行動をコントロールできるよう 手助けし、

 関係を改善するためにできる 強力なことなのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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意図的なコミュニケーション (9)

2014年07月04日 21時25分34秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

◇ 禁句

 非承認的な言葉や、 本人の考えや感情が 間違っているという言い回しは

 避けてください。

・ 別の考え方, 感じ方をするよう命じる:

  「感情的になるのはやめなさい」 「幸福に感じるべきよ」

・ 認識の仕方を否定する:

  「言い争うほどのことじゃないのよ」

・ 感情を過小評価する:

  「動揺するほどのことではないよ」

・ 判断し、 ラベル付けをする:

  「感情的すぎるよ」 「怒りっぽい人ね」

・ けなすような問いかけをする:

  「一体どうなってるの?」 「どうしてこんなことで大騒ぎするの?」

・ 「いつも」 または 「決して」 と言う:

  「いつも 君のせいで台無しだ」 「あなたは私を 決してほめないわ」

◇ あるコミュニケーション方法

 重要な話題を持ち出すとき 最初にするのは、

 「気分はどう?」 と尋ねることです。

 「動揺させてしまうかもしれないんだけど」 と 心の準備をさせます。

・ 「あなたを認めてないように 聞こえるかもしれないけど、

  そんなつもりじゃないのよ」

・ 「あなたの気持ちを 傷つけてしまうかもしれないけど、

  気兼ねなく話せるようにしておくのは、 長い目で見て 一番いいと思うの」

  「私は」 という 一人称を用います。

・ 「私は 圧倒されそうな気持ちよ」

・ 「私は 批難されているような気がするの」

・ あなたの気持ち、 ある程度理解できるわ。 でも私が変えられることではないの」

 相手の感情に 共感的な言葉を述べます。

・ 「どうしてそんなふうに思うのか、 分かるわ。

  (承認が相手に伝わるように、 少し時間を取ります)

  でもね……」

・ 「私があなたの立場だったら、 同じように感じたでしょうね。

  でも、 傍から見ると、 こんなふうに映るの ……」

 BPDの人が 感情をコントロールできなくなったら、

 しばらく別のことをすれば、 衝動的にしなくなる可能性が高まります。

 BPDの人は 多くの安心と慰めの言葉を 必要とします。

 コミュニケーションの方法を発展させるには 何年もかかります。

 しかし 結局はうまくいくのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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意図的なコミュニケーション (8)

2014年07月03日 21時04分19秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 準備と実践

 機能不全の行動に 捕らわれないためには、 それを予測することです。

《過敏な反応性を落ち着けましょう》

 BPDの人との これまでの会話を振り返ってください。

 安全なときに それらを思い浮かべ、

 その言葉が意味をなさなくなって 威力を失うまで、 想像を続けてください。

《ありありと思い浮かべましょう》

 適切な言葉, 非言語的コミュニケーションを用いて、

 会話が望み通りに進んでいく様子を 思い描いてください。

 目標を達成できたら どのように感じるか、 想像してみてください。

《練習しましょう》

 カードを作って、 気に入った言い回しを 覚えてください。

 その後、 他の人を相手に、 または空の椅子を用いて、

 ロールプレイしてみましょう。

・ 深呼吸しましょう。

・ 身の安全を確保してください。

・ リラックスした表情で、 BPDの人と 同じ姿勢をとってください。

・ 本人の言葉に同意しなくても、 感情を共感的に認めてください。

(次の記事に続く)

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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意図的なコミュニケーション (7)

2014年07月02日 20時37分31秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

o 緊張を和らげましょう

 好戦的でない言葉を 使ってください。

 落ち着いた声の調子や動作で、 相手を安心させます。

 恩きせがましくなく、 率直に。

・ 「あなたの言うことは理解できるけど、 私が言おうとしているのは ……」

・ 「僕自身が はっきりしていないのかもしれないね。

  僕が本当に思っているのは……」

・ 「もしかしたら、 あなたは私を 誤解しているのかもしれないわ」

対話をうまく管理しましょう。

・ 「その話題に戻りましょうか」

・ 「妥協点を見つけて ○○に焦点を合わせよう。

  □□の問題全体はできない」

・ 返事をしようと慌ててはいけません。

  何と言えばよいか 確信が持てなかったら、 共感的な姿勢で 耳を傾けてください。

協力的な雰囲気を作りましょう

・ 「多分一緒に ○○に取り組めると思うよ」

・ 「私たちが合意している点は ……」

・ 「僕たちはお互いのことを 大切に思っているのだから ……」

・ 「ここには 悪者は誰もいないと思うわ。

  私たちはただ 意見が一致しない点も あるということよ」

 不当な批判や口汚い言葉には、 対応してください。

 アサーティブな 〔*注: 相手の立場に配慮しながら、 上手に自己主張すること〕

 非言語的態度を示しましょう。

 お説教はやめましょう。

・ 「私は 自分のことを大切に思うから、 あなたのそういう言葉は 許せない」

・ 「君が罵るのを 聞くことはできない。 続けるなら僕は出ていくよ」

・ (本人にも言い分があること, あなたにも言い分があることを 認めてください)

  「僕には 君が○○と言っているように 聞こえるよ。 僕自身の考えは ……」

  (この言い回しは 特に有効です)

・ (境界を言語化しておきましょう)

  「悪口を言っても 何の解決にもならないわ。 別のときに話し合う必要があるわ」

  (落ち着いているときに 境界を設定しておき、

  再びこういうことが起きたら 皆さんは部屋を出ていくと、

  本人に伝えておきます)

(次の記事に続く)

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」(星和書店)
 〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉より〕
 
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