「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自傷行為

2016年09月26日 21時45分38秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 切りつけ (カッティング) や自傷行為は、
 
 脳から、 傷口の治癒を助ける エンドルフィン (鎮静物質) が放出させます。
 
 それは極めて短時間、 身体的, 感情的に よい気持ちにさせてくれます。
 
 しかし 報酬は一時的であるため、 自傷行為を強化することになります。
 
 そして最悪の場合は 死に繋がるのです。
 
 さらに 苦痛の緩和が一時的である一方、
 
 傷跡, 記憶, 罪悪感はそのまま残ります。
 
 もしあなたが、 自傷行為を行なっていれば、
 
 以下に その行動が何であるかを見極め、 記入してください。
 
 次に、 一時的な報酬とは何かを 見極めましょう。
 
 そして、 長期的な代償と危険が何かを 見極めてください。
 
・ 私が行なっている 切りつけや自傷行為とは、 
 
 _____________________________________
 
・ 私の行動の 一時的な報酬とは
 
 _____________________________________
 
・ 私の行動の 長期的な代償や危険とは
 
 _____________________________________
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

感情と行動

2016年09月25日 22時09分18秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 圧倒されるような感情をもつ人々は、 コントロールできない行動に苦しみます。
 
 行動が繰り返されるのは、 それらが報われているからです。
 
 感情は 行動を強化するという 報酬の役割を取ることがあります。
 
 例を挙げます。
 
 U子さんは、 職場で腹が立つことがあると、 夫に喧嘩をしかけました (行動)。
 
 夫は U子さんが どんな気持ちでいるかに気付き、
 
 彼女の感情について 話をするのでした。
 
 それは彼女の感情的報酬でした。
 
 U子さんは 故意に傷つけたことに 意識的ではなかったかもしれませんが、
 
 関係ありませんでした。
 
 いつからか、 彼女は自動的に こう考えるようになっていました。
 
 「私は嫌な気分でいる。
 
 だから 誰かを嫌な気分にしなくてはならない。
 
 そうすれば 私の気分は改善される。」
 
 彼女の行動は、 夫による確認という、
 
 ポジティブな (不合理であっても) 感情経験の 報酬を与えてくれたため、
 
 強化され、 繰り返されたのでした。
 
 しかし U子さんの感情が改善されたのは、 限られた間でした。
 
 長期的には、 彼女の結婚生活は、
 
 彼女の感情を確認することの 犠牲になっていたのです。
 
 U子さんと夫は、 彼女の行動の結果として 頻繁に喧嘩し、
 
 彼女の気分を悪化させることになりました。
 
 自分を傷つけるような行動には ふたつのタイプがあります。
 
 自傷行為と、 他の人に強い影響を与えることです。
 
 これらの行動は 繰り返される可能性が高く、 一時的な報酬を与えますが、
 
 その後に長期的な損害がやってきます。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

より健康的な感情に向けて 進むために

2016年09月24日 21時16分23秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 感情は 思考や行動に大きく影響し、 思考や行動に大きく影響を受けます。
 
 例えば、 Aさんは お気に入りの腕時計をなくし (行動)、
 
 悲しくなり (感情)、 「僕は迂闊なろくでなしだ」  と考えました (思考)。
 
 この思考は 彼をより落ち込ませ (感情)、 家に帰って酔っぱらい (行動)、
 
 あとで恥ずかしく感じました (感情)。
 
 感情は 思考や行動の大きな結果であり、 原因でもあるのです。
 
 自分を傷つける行動, 自己批判的思考に陥ってしまうと、
 
 感情の悪循環となる可能性があります。
 
 しかし 健康的な行動や 自己肯定的思考をとる場合は、
 
 より充実した 感情の循環に繋がります。
 
 例えば、 Aさんが時計をなくし (行動)、 悲しくなった (感情) あと、
 
  「過ちは誰にでもある」 と コーピング思考を用いることもできます。
 
 自分自身を許すことができ (思考)、
 
 落ち着いて過ごせた (感情) かもしれません。
 
 または 時計をなくして悲しくなったあと、 散歩に出かけ (行動)、
 
 リフレッシュした気分になる (感情) こともできたでしょう。
 
 苦痛な感情の循環に陥らないための、 コーピング思考や行動は 多くあるのです。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

感情の記録

2016年09月21日 21時57分52秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
※ 練習 6-2 感情の記録
 
 自分の感情に気付き、 ありのままに受け入れるには、
 
 どう感じているかを 声に出して言ってみることが 有効です。
 
 自分が経験していることに対して、 特別の注意を払うのに役立ちます。
 
 自分自身に 「たった今、 私は _____ と感じる」 と 言ってみてください。
 
 喜ばしく、 楽しい感情にも 注意を払ってください。
 
 それらに気付いて ありのままに受け入れ、 声に出して言うほど、
 
 それらの感情を 味わうことができるでしょう。
 
 その経験を強化するため、 【感情の記録】 を使ってください。
 
 自分の気持ちを記録することは、
 
 感情を認識し、 分類し、 表現するのに役立ちます。
 
 この練習を 2週間は行なってください。
 
 どう感じたかについて、 その感情に対して 何をしたかを書き留めてください。
 
【感情の記録】 (例)
 
それはいつどこで起きたか?: 木曜の夜. 家
どう感じるか? (「たった今、私は_____と感じる」): 悲しく感じる
どう感じるか声に出して言ったか?: いいえ
感情を認識したあと何をしたか?: 寝ようとしたが、どれだけ悲しいか考え続けた
 
いつどこで起きたか?: 金曜の朝. バスの中
どう感じるか?:     ヤキモキしている
声に出して言ったか?: はい
そのあと何をしたか?: 気をそらしたり、新聞を読んで落ち着こうとした
 
いつどこで起きたか?: 金曜の朝. 職場
どう感じるか?:     腹が立っている
声に出して言ったか?: はい
そのあと何をしたか?: 外へ行き、タバコを買った
 
いつどこで起きたか?: 金曜の午後. 職場
どう感じるか?:     嫉妬している
声に出して言ったか?: いいえ
そのあと何をしたか?: 好きな女性と親密にする友人を無視した
 
いつどこで起きたか?: 金曜の夜. 家
どう感じるか?:     寂しい
声に出して言ったか?: はい
そのあと何をしたか?: 映画を観に行き、楽しく過ごした
 
いつどこで起きたか?: 土曜の午後. 公園
どう感じるか?:     楽しい
声に出して言ったか?: はい
そのあと何をしたか?: 友人と公園にいた
 
いつどこで起きたか?: 土曜の夜. 友人の家
どう感じるか?:     陽気な気分
声に出して言ったか?: はい
そのあと何をしたか?: 気持ちを台無しにしたくなくて、何も言わなかった
 
【感情の記録】
 
それはいつどこで起きたか?: 
どう感じるか? (「たった今、私は_____と感じる」):
どう感じるかを声に出して言ったか?: 
感情を認識したあと何をしたか?: 
 
いつどこで起きたか?: 
どう感じるか?:
声に出して言ったか?: 
そのあと何をしたか?: 
 
いつどこで起きたか?: 
どう感じるか?:
声に出して言ったか?: 
そのあと何をしたか?: 
 
いつどこで起きたか?: 
どう感じるか?:
声に出して言ったか?: 
そのあと何をしたか?: 
 
いつどこで起きたか?: 
どう感じるか?:
声に出して言ったか?: 
そのあと何をしたか?: 
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

自分の感情に気付き、 ありのままに受け入れる

2016年09月20日 21時52分06秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
※ 練習6-1 自分の感情に気付き、 ありのままに受け入れる
 
 ワークシートを使って、 最近起きた 感情的なでき事を検討してみましょう。
 
 はっきり思い出せる状況を選び、 一次感情と二次感情を確認しましょう。
 
 自分自身に正直になってください。
 
 少なくとも今後2週間、 起こった状況を 毎日ひとつずつ選んで、
 
 自分の感情に気付き、
 
 ありのままに受け入れるための ワークシートを使って 検討してください。
 
【ワークシート】 (例)
 
質問: その状況はいつ起きたか? 
 
回答: 昨晩
 
質問: 何が起きたのか? (そのでき事を説明する)
 
回答: 帰宅したら 夫が酔っぱらって寝ていた。
 
    夫は 治療や依存症者の会にいかない。
 
    私は怒鳴り、 彼を罵った。 彼は座ったまま黙っていた。
 
    私は洗面所に行き自傷した。
 
質問: 何故 その状況が起きたと思うか? (原因を同定する)
 
回答: アルコール依存の夫は、 私を嫌い、 結婚を後悔している。
 
    夫は人生を諦め、 私を傷つけるために わざとこんなことをしている。
 
質問: その状況は 感情的, 身体的に あなたをどんな気持ちにさせたか? 
 
   (一次感情と二次感情を同定する)
 
回答: 一次感情= 怒り  二次感情= 絶望感と恥
 
    身体的感覚= 顔と腕の筋肉の緊張, 吐き気
 
質問: そう感じた結果、 どうしたいと思ったか? 
 
   (あなたの衝動は何だったか?)
 
回答: 夫を殴りたかった。 苦痛を止めるため、 自殺したい衝動に駆られた。
 
質問: 何をし、 何を言ったか? 
 
回答: 洗面所に閉じこもり、 自傷した。 夫に怒鳴り、 罵った。
 
質問: 感情と行動は、 後にどういう影響を及ぼしたか? 
 
   (自分の行動の結果、 どのような短期的, 長期的な影響があったか?)
 
回答: 怒っていたので、 寝るとき 目覚ましをセットするのを忘れた。
 
    翌日仕事に遅刻し、 上司に怒鳴られた。
 
【ワークシート】
 
質問: その状況はいつ起きたか? 
 
回答: 
 
質問: 何が起きたのか? (そのでき事を説明する)
 
回答: 
 
質問: 何故 その状況が起きたと思うか? (原因を同定する)
 
回答: 
 
質問: その状況は 感情的, 身体的に あなたをどんな気持ちにさせたか? 
 
   (一次感情と二次感情を同定する)
 
回答: 
 
質問: そう感じた結果、 どうしたいと思ったか? 
 
   (あなたの衝動は何だったか?)
 
回答: 
 
質問: 何をし、 何を言ったか? 
 
回答: 
 
質問: 感情と行動は、 後にどういう影響を及ぼしたか? 
 
   (自分の行動の結果、 どのような短期的, 長期的な影響があったか?)
 
回答: 
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

感情調節スキルとは (2)

2016年09月18日 21時18分28秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
 感情を認識するために、 次の6つのステップを追ってみましょう。
 
1. 何が起きたのか? 
 
  感情を引き起こした 状況を説明します。
 
2. なぜその状況が起きたと思うか? 
 
  でき事に与える意味 (=状況の原因) は、
 
  状況に対する感情反応を 決定することが多いので、 重要なステップです。
 
  例えば、 誰かに故意に 傷つけられたと思う場合と、 事故の場合とでは、
 
  極めて異なる反応をするでしょう。
 
3. その状況は 感情的, 身体的に どんな気持ちにさせたか? 
 
  一次感情と二次感情の両方を 確認する練習をしてください。
 
  身体的にどう感じたかも 見極めましょう。
 
  感情と身体的感覚 (特に筋肉の緊張) は、 強く結びついています。
 
4. そう感じた結果、 どうしたいと思ったか? 
 
  衝動を見極めるもので、 非常に重要です。
 
  感情に圧倒されるとき、 強烈な、 悲痛な、 危険なことを
 
  言ったり、 したりするものです。
 
  しかし 実際そうするわけではありません。
 
  ある衝動をコントロールできれば、
 
  他の衝動をコントロールできる 可能性も高いのです。
 
5. 何をし、 何を言ったか? 
 
  感情の結果として、 実際にしたことを確認します。
 
6. 感情と行動は、 後にどのような影響を及ぼしたか? 
 
  感じたこととしたことの 長期的な結果を確認します。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

感情調節スキルとは (1)

2016年09月17日 21時25分34秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 感情調節スキルは、 一次感情と二次感情に対する反応に、
 
 新たな、 より有効な方法で 対処するためのものです。
 
 感じ方はコントロールできるとは限りませんが、
 
 感情に対する反応は コントロールできます。
 
 DBTの4つのスキル・グループ
 (苦悩耐性, マインドフルネス, 感情調節, 対人関係) は、
 
 それぞれ重複し、 強化し合っています。
 
 DBTには 9つの感情調節スキルがあります。
 
1. 自分の感情を認識する
 
2. より健康的な感情に向けて 進む際の、 障壁を克服する
 
3. 身体的に、 より健康的に対処する
 
4. 認知的に、 より健康的に対処する
 
5. 肯定的感情を高める
 
6. 価値判断をせずに、 感情に対してマインドフルになる
 
7. 感情の曝露をする
 
8. 感情的衝動と逆のことをする
 
9. 問題解決をする
 
 まずここでは、 1~5の感情調節スキルを取り上げます。
 
○ 自分の感情に気付き、 ありのままに受け入れる
 
 自分の感情に気付き、 ありのままに受け入れる方法と、
 
 生活に対する それらの影響を学ぶことが、
 
 強い感情反応をコントロールする 第一歩になります。
 
 人々は自分の感情に、 ほとんど注意を払わずに 過ごすことが多いものです。
 
 圧倒されるような感情と 苦闘する人々は、
 
 感情の高波 (悲しみ, 怒り, 罪悪感, 恥など) に 気付きはしますが、
 
 そのときには手遅れで、 手の施しようがなくなっています。
 
 感情反応をコントロールするには、
 
 まず 感情のプロセス速度を落とし、 検討できるようにします。
 
 できるだけ 自分に正直になる必要があります。
 
 この練習の目的は、 一次感情と二次感情を発見し、
 
 それが行動や感情に いかに影響したかを解明することです。
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

感情はどのように働くのか

2016年09月13日 21時14分02秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 感情は、 でき事に対して注意を促す、 身体の中の信号です。
 
 感情はしばしば 視覚, 触覚, 聴覚, 臭覚,味覚から始まり、
 
 脳まで行き、 辺縁系で処理されます。
 
 辺縁系は、 感情的状況に対してどうすべきかを 身体に知らせます。
 
 感情は重要なものですが、 特に 生存のために非常に重要です。
 
 ひとつの例を紹介します。
 
 Dさんが通りの角を曲がると、 怒った犬がひどく吠え、 向かってきました。
 
 その瞬間、 感情的信号が 目と耳から脳へ送られ、
 
 Dさんは考える必要もないまま、 辺縁系がその情報を処理しました。
 
 この反応は 闘争・逃走反応と呼ばれ、 犬と戦うか 逃げるかを決定します。
 
 Dさんは逃げることにし、 怪我を免れました。
 
 感情は Dさんが生き残り、 痛みを回避するのに役立ったのです。
 
 2週間後、 Dさんは通りの角を曲がると、 直ちに怖くなりました。
 
 条件反応と呼ばれるものです。
 
 辺縁系は 危険な犬を思い出させ、 Dさんを保護しようとしたのです。
 
 Dさんは違う道を行き、 その後は 危害を受ける可能性を回避しました。
 
 別の例を紹介します。
 
 Eさんは 街でばったりFさんに会いました。
 
 何年も会っていなかった友人です。
 
 Eさんは嬉しくなり、 Fさんも微笑みました。
 
 Eさんは Fさんの微笑みに気付き、 彼女も私を見て嬉しいんだ と思いました。
 
 二人はすぐに 結びつきを取り戻し、 幸せな気分になりました。
 
 もしFさんがしかめ面をしたり、 そっぽを向いたりしていたら、
 
 Eさんはそれを嫌悪感として認識し、 接触を避けていたでしょう。
 
 文化に関係なく、 同じ形で感情を表現し、
 
 人の感情表現を認識する 能力を持っています。
 
 どこで生まれ育っても、 微笑みは微笑みなのです。
 
 感情 は多くの目的を果たします。
 
・ 生き残る (「闘争か逃走か」)
 
・ 人と状況を覚えている
 
・ 日常生活の状況に対処する
 
・ 人とのコミュニケーションをとる
 
・ 苦痛を避ける
 
・ 喜びを求める
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

感情調節スキル: 基礎編

2016年09月12日 20時40分29秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
感情とは何か
 
◎ あなたの感情とは: 一次感情と二次感情
 
 感情とは、 何かが起きていることを知らせる 身体の信号です。
 
 でき事に対する最初の反応は、 「一次感情」 と呼ばれています。
 
 でき事について 考えずに生じます。
 
 一次感情に加えて、 二次感情を経験する可能性もあります。
 
 これは一次感情に対する 感情的反応です。
 
 二次感情は、 気持ちについての気持ちです。
 
 例えばAさんは、 怒るようなことをされたときに 怒鳴りました。
 
 でも後になって、 怒ったことに後ろめたさを感じました。
 
 怒りは一次感情で、 後ろめたさは二次感情です。
 
 ひとつの一次感情に対して、 複数の二次感情を 経験することもあります。
 
 Bさんは プレゼンをすることに不安を感じました。
 
 不安を考えては、 プレゼンができない自分を 役立たずに感じ、 落ち込みました。
 
 でもプレゼンが終わると、 大騒ぎしたことに気がとがめました。
 
 不安は一次感情で、 無価値感, 落ち込み, 罪悪感は二次感情です。
 
 一次感情より 多くの苦痛を引き起こす 二次感情によって、
 
 連鎖反応を誘発する可能性もあります。
 
 一次感情が何かを見極め、 二次感情に圧倒される前に 対処することが、
 
 極めて重要なのです。
 
 圧倒されるような感情を持つ人は、
 
 不安に対して アルコールや自傷, むちゃ食いを選んだりするかもしれません。
 
 「感情調節スキル」 は、 苦痛な一次感情と二次感情に対して、
 
 新たに、 より健康的に対処するための、 弁証法的行動療法の重要部分です。
 
 一次感情をコントロールするのは難しくても、
 
 感情への対処法の選択や、 二次感情をコントロールするのは 習得可能です。
 
 そして、 マインドフルネス・スキルを使うと、
 
 一次感情さえ コントロールできる可能性もあるのです。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

マインドフルネスのさらなる探求・ チェック

2016年09月08日 20時16分50秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 マインドフルネスの実践には、
 
 注意を払う上での 親切な心と思いやりの姿勢が 含まれます。
 
 マインドフルになるにつれ、 広大さと静けさなど、
 
 高まりゆく全体性の感覚が より鮮明なものとなり、
 
 生活経験を変化させる可能性があります。
 
【マインドフルネスのさらなる探求・チェック】
 
◎ マインドフルネスと瞑想
 
◎ 親切な心と思いやりを用いて、 マインドフルネス・スキルを強化する
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65307479.html
 
※ 練習5-1 自分自身と他の人々に対する 慈愛のための瞑想
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65308937.html
 
◎ 広さと静けさに対する注意が マインドフルネスを深める
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65317110.html
 
※ 練習5-2 自分の内と外の空間に対する マインドフルネスのための瞑想
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65318567.html
 
※ 練習5-3 静寂と沈黙に向かう瞑想
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65319728.html
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

静寂と沈黙に向かう瞑想

2016年09月07日 21時21分33秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 いつでも好きなときに、 呼吸の感覚, 音, 眺めている物体を使った瞑想,
 
 空間を認識する 練習をしましょう。
 
 思考や感情を含む空間を 認識してみるのもよいでしょう。
 
 リラックスして、 思考と感情が生じ、 変化し、
 
 それらが 現在の瞬間の空間を 去っていくのを観察し、
 
 見届けることができますか? 
 
※ 練習5-3 静寂と沈黙に向かう瞑想
 
 呼吸の感覚に マインドフルに集中することで、
 
 現在の瞬間に注意を定め、 安定させましょう。
 
 思考や音など、 注意が 他のことに移るのに気付いても、
 
 忍耐と優しさをもって、 再び 呼吸の感覚を意識しましょう。
 
 呼吸にマインドフルになる練習を するにつれて、
 
 内的な静寂に 気付き始めるかもしれません。
 
 ただ 生じるがままにさせておきましょう。
 
 経験している静寂感に 注意を当て続けましょう。
 
 静けさは、 落ち着きや安心の感覚として 認識されるかもしれません。
 
 思考が鎮まると、 静けさを心の中で 経験するのが容易になってきます。
 
 その静けさは、 よりはっきりと  「沈黙」 として現れることもあります。
 
 音と音の間, 思考と思考の間の 沈黙の感覚に気付いたら、
 
 注意をそこに 当てたままにしてください。
 
 全ての音が やってきては去っていくのを、 注意深く聴きましょう。
 
 ひとつの音に集中せず、 その音の間にある、 沈黙と空間に 焦点を当てましょう。
 
 それらの音が 沈黙から生じ、 再び沈黙に戻っていくのを 感じてください。
 
 次の音に耳を傾けながら、 その沈黙に 注意を当てたままにしておきましょう。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

自分の内と外の空間に対する マインドフルネスのための瞑想

2016年09月06日 21時34分01秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 次のふたつの瞑想は、
 
 空間 (内的と外的) と 静寂や沈黙に対する 意識を育むものです。
 
 好奇心と遊び心で試してください。
 
 あなたはすでに 膨大な広さと 静けさ (巨大な深海のような) を持っており、
 
 空間と静寂が 意識の中に入ってくるのを 許すだけです。
 
 すでにそこにあるものに 優しく注意を向けるだけでよいのです。
 
※ 練習5-2 自分の内と外の空間に対する マインドフルネスのための瞑想
 
● 指示
 
 呼吸の感覚に マインドフルに焦点を当てましょう。
 
 その焦点を 全ての音に広げ、
 
 それらの音をそのままの状態で 自分の方へ寄ってこさせましょう。
 
 いかなる音も その分類や情報にとらわれず、
 
 音の直接的経験に 焦点を当てましょう。
 
 次に、 呼吸と呼吸の間の空間, 吸う息と吐く息の間の部分,
 
 および 次に吸う息の前の、 吐いた息の終わりの部分に 注意を向けます。
 
 音が あなたの注意を引いているのに 気付いたら、
 
 最初はその音を認識し、 次に その音の間の空間を 意識しましょう。
 
 それらの音すべての 間や回りには 空間があることを認識してください。
 
 全ての音が 空間という、 より大きな器の中に 存在していることを意識しましょう。
 
 全ての音を抱え込む その空間に注意を当てたまま、
 
 それらの音を 行き来させましょう。
 
 目を開けたければ、 前にあるものを見回してください。
 
 物体の間の空間は見えますか? 
 
 その空間, そして 近くの物体と遠くの物体の間の 空間の形を見てください。
 
 全ての物体を抱え込む  巨大な空間が見えますか? 
 
 リラックスして、 深く見つめましょう。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 

広さと静けさに対する注意が マインドフルネスを深める

2016年09月05日 20時45分22秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 マインドフルネス・スキルには、 観察するという  「what」 のスキルと、
 
 価値判断をしないという  「how」 のスキルが含まれます。
 
 マインドフルになったり、 観察したり、 価値判断しないことが難しいときは、
 
 充分にリラックスしていないか、 自分の全体性を 信じていないのかもしれません。
 
 全体性 〔大きな心〕 とは、 海のようなもので、
 
 部分性 (感情, 思考, 心の中のストーリー) は、 波のようなものです。
 
 波と海は 別のものではありません。
 
 波は変化し、 強烈で劇的だったりしますが、 より大きな海の一部なのです。
 
 波と同一化してしまうと、 自分という大きな海との 繋がりを失ってしまいます。
 
 理性的な心と感情的な心を 認識することで、
 
 自分の小さな部分との 頑なな同一化から 解放されます。
 
 気付かなかったり、 当然のことと思っていることに 焦点をシフトすることで、
 
 注意が柔軟でマインドフルになり、
 
 思考と感情との 習慣的な同一化が 打ち破られる可能性が高くなります。
 
 空間と静寂 (沈黙) を マインドフルネスの対象とするのは、
 
 心の 「波」 (強烈な思考と感情) との 同一化から
 
 解放されるための 有効な練習です。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]