トラッシュボックス

日々の思いをたまに綴るブログ。

浜田和幸参院議員の「一本釣り」に思うこと

2011-07-02 08:51:13 | 現代日本政治
 菅首相が6月27日の内閣小改造に伴い自民党の浜田和幸参院議員を総務政務官に起用した。
 私はまたしても「やるな!」と唸らざるを得なかった。

 しかしこれに対して、閣内や民主党内から異論、反発が相次いだという。

玄葉氏ら、首相人事を批判=「交渉ハードル上げた」

〔前略〕
野党との交渉の当事者である玄葉光一郎国家戦略担当相(民主党政調会長)は「(自民党から)1人を引き抜いたことで与野党交渉のハードルを高くした」と首相の人事を批判。野田佳彦財務相も「野党の態度硬化は非常に厳しい状況だ。正面玄関に立って頭を下げて、協力をお願いするのが筋ではないか」と指摘した。
〔後略〕


輿石氏「一本釣りが全ての障害」=参院民主から首相批判相次ぐ
2011年6月28日17時6分
 菅直人首相が自民党の浜田和幸参院議員を総務政務官に起用したことをめぐり、28日の民主党参院常任役員会で批判が相次いだ。輿石東参院議員会長は「浜田氏の一本釣りが全ての障害になっていることは事実だ」と述べ、自民党が反発して法案審議が停滞していることに懸念を表明。人事に関わった北沢俊美防衛相や石井一選対委員長に対しても「一年生議員のように『知らなかった』では許されない」と述べた。

 また、民主党の羽田雄一郎参院国対委員長は「野党から『信頼を持てない』と言われ、協力関係が危うくなっている」と指摘。谷岡郁子氏も「ライバル会社の新入社員を部長にするような話。私たちはばかだとレッテルを貼られたようなものだ」と不満を示した。

 これに関連し、平田健二参院幹事長は同日の記者会見で「野党から連れてくるのは常識的には考えられない」と首相の人事を強く批判。浜田氏が「綱領のない民主党にはくみしない」と発言したことについては、「ポストで釣られた無節操な人はお断りだ」と語った。


 これはひところの小泉首相に匹敵するワンマンぶりだな。

 と思っていたら、亀井静香が少し前にこんなことを述べていた。

小泉氏の手法見習え…亀井氏「政敵」再評価?

 国民新党の亀井代表は22日の記者会見で、菅首相に対し、「小泉元首相は政策的に間違っていたが、政治手法は見習いなさい」と進言したことを明らかにした。

 亀井氏は会見で、「首相のリーダーシップは、みんなの意見を聞くのも大事だが、自身が打ち出したものをまっしぐらに突き進まねばならない。小泉氏はそれをやった」と強調。そのうえで、「(菅)首相はあっちを向いて、こっちを向いてとやりすぎている。もうちょっとリーダーシップを発揮したほうがいい」と述べた。

 亀井氏は2005年、当時首相だった小泉氏が力を入れた郵政民営化関連法案に反対し、小泉氏の政治手法について、「ヒトラーより最悪だ。一切法律をお構いなしでやっている」と痛烈に批判していた。だが、菅首相の突破力や実行力のなさにいら立ち、かつての「政敵」の指導力を再評価した模様だ。
(2011年6月22日22時54分 読売新聞)


 なるほど。
 私は菅が「あっちを向いて、こっちを向いてとやりすぎている」とは思わない(むしろそうした配慮を欠いている面が強いと思う)が、首相がリーダーシップを発揮すべきというのはそのとおりだろう。

 亀井は今回の一本釣り後、次のように述べている。

「第2、第3の浜田氏出る」=一本釣り批判の自民けん制-亀井氏

 国民新党の亀井静香代表は29日午後、党本部で記者会見し、菅直人首相が自民党の浜田和幸参院議員を「一本釣り」して総務政務官に起用し、同党が反発していることについて「政権に協力しなければ、すぐ(わが身に)降りかかってくる。第2、第3の浜田議員が出てくる」とけん制した。
 民主党からの批判に対しても「政権運営をしたことが(長く)ないから、そんなたわ言を言っている」と述べた。 
 亀井氏は、浜田氏が政権内に入ったことで「絶対的条件が変わった」と指摘。「再生可能エネルギー促進法案は自民党と公明党が反対しても参院で成立する」と述べ、与党と共産、社民両党などが協力すれば参院で過半数を確保できるとの見通しを示した。
(2011/06/29-16:09)


浜田氏引き抜きは究極の1票のため…亀井氏解説

 国民新党の亀井代表は29日の記者会見で、自民党参院議員を総務政務官に起用した人事の狙いについて、菅首相が退陣の条件に掲げた再生可能エネルギー特別措置法案の成立をにらんだものだったと説明した。

 亀井氏は、再生エネルギー特措法案に対し、野党内では共産、社民両党の賛成が見込めると指摘。この場合、参院では計算上、民主、国民新の与党(109人)、共産(6人)、社民(4人)、与党系無所属1人を合わせ120人と、過半数(121)にあと1票不足するが、亀井氏はこの1票差を埋めるために必要だったのが自民党の浜田和幸氏の一本釣りだったとした。

 亀井氏は「浜田氏が(与党側に)来たことで、公明党と自民党が反対しても、参院で成立するようになる」と語った。
(2011年6月29日20時40分 読売新聞)


 私は亀井静香の主義主張(郵政民営化反対、死刑廃止論、弱者重視等)の多くに反対だし、国民新党は国民の支持を失い滅びゆく政党だと考えているが、しかしこれは、亀井が正しいだろう。

 この亀井の票読みが的中するかどうかはわからない。しかし、菅政権はこうした奇策をもやってのけるということを明らかにしたこと、それ自体が正しい。

 野党はもちろん、民主党内からも、自民党との信頼関係が失われたとの声が上がっている。しかし、ついひと月前に内閣不信任案を提出した野党との間に信頼関係などそもそもあったと言えるのか。

 果たして、この一本釣りが吉と出るか凶と出るかはまだわからない。
 しかし、菅の内閣不信任案への対応に続いて、政治とはこういうものか!と久々に感じた出来事であった。
 それほど、昨今の政治家は政治力を欠いているように思う。