トラッシュボックス

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辺野古アセス評価書送付をめぐる朝日新聞の報道を読んで

2011-12-29 11:55:02 | 事件・犯罪・裁判・司法
 防衛省は26日、普天間飛行場の辺野古への移設に向けたアセスメントの評価書を沖縄県に郵送した。郵送は異例のことだが、提出阻止を図る「市民団体」が県庁前に集まっているため、沖縄防衛局の担当者による手渡しを断念したのだという。

 ところが27日、運送業者は「市民団体」によって配送を阻まれ、評価書は県に届けられなかったという。
 アサヒ・コムの記事より(太字は引用者による。以下同じ)。

辺野古アセス提出阻まれる 市民団体抗議で引き返し

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設に向けて防衛省が発送した環境影響評価(アセスメント)の評価書は27日、沖縄県庁前で抗議を続ける市民団体などが運送業者の車を阻み、県に届けられなかった。政府は、沖縄防衛局の職員に直接運ばせるなどの方法を検討している。

 県庁入り口ではこの日、市民団体のメンバーらが荷物の宛先を一つ一つ確かめたため、一時騒然となった。白いワゴン車が県庁の搬入口に来たのは午前11時過ぎ。「提出阻止」のプラカードやのぼりを持った約50人が車を囲み、車内に積まれた10箱ほどの段ボール箱を見つけて中身を問うと、運送業者は「評価書だ」と答えた。

 県に渡さないよう詰め寄る市民団体と1時間ほど押し問答の末、業者は正午過ぎに立ち去った。県によると、混乱でけが人が出かねないことから、車を引き返させるよう防衛省に求めたという。


 沖縄は無法地帯か。

 この記事の写真を見ると、「市民団体」なるものの実体がよくわかる。
 こういうのは、「共産党や労組などが」と書くべきではないか。

 さて、そこで沖縄防衛局の職員が28日未明、県庁に車で訪れ、評価書の入ったダンボール箱を運び込んだという。
 28日の朝日新聞夕刊社会面には、こんな扇情的な記事が掲載されていた。

午前4時、無言で守衛室へ…
「卑劣」怒る沖縄 辺野古アセス

 沖縄平和運動センターの山城博治事務局長によると、段ボール箱が運び込まれたのは28日午前4時過ぎ。沖縄県庁前の道路に車5台が横付けされ、沖縄防衛局職員らが小走りで次々に箱を守衛室に積み重ねた。車内には真部朗・沖縄防衛局長もいたという。
 県庁前では27日、市民団体が抗議活動を続け、評価書を運んできた運送業者の車を追い返していた。だが、28日未明の時点で周辺にいたのは山城さんら数人だけで「こんなやり方はやめろ」と訴えたが、職員らは無言で5分もかからずに作業して立ち去ったという。
 〔中略〕

「闇討ち」■「信頼築けぬ」

 「あまりに卑劣で、公の機関のやることとは思えない。これで正式な提出と言えるのか」。県庁前で抗議活動を続けていた山城事務局長は、声をふるわせた。


 何の権限もないのに、公共施設を訪れる車を臨検し、実力をもって配送を阻止するのは卑劣ではないのか。

 検索すると、この山城という人物は、元沖縄県職員で、自治労県本部副委員長を経て、昨年の参院選で社民党の推薦を受け沖縄県選挙区で立候補している。自民党の現職に敗れて次点となったが、かなりの票を得ている。
 そういう「市民」たち。

 県庁には、強行搬入のニュースを知った市民らが28日午前7時ごろから続々と集まった。「信じられない暴挙だ」と1階の守衛室前に100人以上が詰めかけ、県の担当窓口である環境政策課へ評価書が運ばれるのを阻止しようと、廊下で座り込みを始めた。「荷物を、この部屋から出すな」。怒声が飛び交い、県職員の出勤時間も重なって、一時は騒然とした。


 やりたい放題だな。

 同課前の廊下にも、肩を寄せ合う市民約100人が「怒」と書いた紙を手に座り込んだ。那覇市の女性(64)は、「このような闇討ちで評価書を届けるなんて、でたらめさがはっきりした。県民を踏みにじる姿勢だ」。与那原町の無職森山次雄さん(66)も「郵送というのは県民を欺くための作戦だったのか。誠心誠意と言いながら、中身が伴わない。こんなことで沖縄との信頼関係が築けるわけがない」と話した。


 作戦も何も、郵送が阻止されたから、直接届けざるを得なかったんだろうに。

 県庁前では市民団体が27日、評価書を運んできた運送業者の車を追い返した。だが、閉庁時間帯の搬入はないと考え、夜間は少人数しか残っていなかった。那覇市の公務員、宮城厚さんは搬入を聞きつけて20分ほどで駆けつけたが、市民団体のメンバーは5、6人しかいなかった。「まさかと思った。こんなやり方は馬鹿にしている」


 搬入がないと考えたのなら、全員引き揚げればいいはずである。
 もしかするとあるかもしれないと考えたが、彼らにも個々の生活があるから徹夜もできず、少人数が残っていたのだろう。
 もっとも、本気で絶対に阻止したいのなら、夜間だろうが何だろうが常時大人数で監視を続けていればよかったはずである。
 今回の未明の搬入は、ある種の「落としどころ」であったのかもしれない。

〔中略〕
 防衛省幹部は「我々として考えられる一番混乱がない方法でお届けした」と述べた。運び込んだ評価書は16部あるが、法律や条例で必要な部数には足りていない。この幹部は「(搬入の)途中で混乱が生じる恐れがあり、引き揚げた」と語った。


 引き揚げざるを得ない妨害行動があったということなのだろうが、その詳細については触れられていない。

 28日朝日朝刊の社説はこの問題を取り上げているが、「市民団体」の行動については、

 反対派の市民らに、配送業者による県庁への搬入が阻止されるという異常事態は、この問題の難しさを象徴している。


と述べるのみで、何ら批判を加えていない。結論は、「日米両政府は、いまこそ立ち止まるべき」と相変わらずである。

 「市民団体」が評価書の送付に反発するのは勝手である。しかし評価書の宛先は県であり、県は受理すると言っている。
 これもアサヒ・コムより。

仲井真知事、埋め立て承認しない意向

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐって、沖縄県の仲井真弘多知事は27日、現在進行中の環境影響評価(アセスメント)手続きの後に想定されている政府からの公有水面の埋め立て申請について「県外移設を求める(自分の)考えと違う結論は出ないだろう」と述べ、埋め立てを承認しない意向を明らかにした。

 報道各社の合同インタビューで語った。仲井真知事は県外移設を公約に掲げて2010年に再選。日米合意にもとづいて辺野古への移設を進める政府に対し、「地元の名護市長や多くの県民が反対する中、辺野古移設は事実上、不可能だ。県外移設を探るのが早道」と繰り返してきた。

 インタビューで仲井真知事は、埋め立て申請の書類が出された場合、受け取りを拒否することはせず、公有水面埋立法上で定められた項目などを1年以上かけて検討して結論を出すと言及。「公約を変えるつもりは毛頭ない。(申請への判断で)私の考えと違う結論が出るのか。まず出ないだろうと思う」と埋め立て承認をしない考えを示した。

 辺野古移設に向けたアセスは、最終の報告書である評価書を事業者の沖縄防衛局が26日に県に発送。アセス手続きが進めば、来年6月にも、政府は埋め立てを申請するとみられる。〔後略〕


その上で、県が埋め立て申請に反対なら反対すればよい。それだけの話である。

 にもかかわらず、評価書の年内提出を阻止すべしとの政治的主張に基づいて正当な行為を妨害するのであれば、それは威力業務妨害に、国の職員が相手なら公務執行妨害の罪に問われる。朝日がそれを知らぬはずはあるまい。
 でありながら、彼らの行動に何ら批判を加えないという姿勢は、「一切の不法と暴力を排して腐敗と闘う」(朝日新聞綱領)はずの報道機関にはふさわしくないのではないか。

 朝日を反日売国と非難する自称愛国者はネット上に珍しくないが、彼らが大挙して、朝日新聞の発行を断固阻止するとして社屋に座り込んだり、販売店を強襲して配達をやめさせたりしても、朝日は「問題の難しさを象徴している」と論評するにとどまるのだろうか。