トラッシュボックス

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東京人の大阪観によるマスコミ報道

2006-09-24 17:15:38 | マスコミ
振り込め被害額 東京は大阪の10倍 なぜ大阪で少ない? (産経新聞) - goo ニュース
なんかね、産経って時々こうした大阪論が載るんだけど、この記事でもそうなんだけど、大阪と言えば決まって「人情」とか「商人の街」とか「オバチャン」とか「ボケとツッコミ」とかいうキーワードが出てきて、一応ほめてはいるんだけど、なんか一段と高いところから見下されているような気がする。東京人の大阪観による記事というか。
ところでこの記事、東京と大阪の直接的な数字の比較は、
「東京と大阪の今年1~7月の「振り込め」の被害総額は東京26億100万円(発生件数1523件)、大阪1億6000万円(同237件)円。これを住民1人当たりに換算すると、東京205・8円に対し、大阪18・1円。大阪の被害は、東京の10分の1未満だ。」
とある箇所だけだ。その前に
「東京都内で今年に入ってから毎月200件前後だった振り込め詐欺の発生件数が、8月に一気に340件となり、増加の気配をみせている。」
とあるが、大阪では増加していないのだろうか。また、
「交通関係を除いた刑法犯認知件数(平成16年では約256万3000件)で大阪府は全国の約10%を占めるにもかかわらず、「振り込め」の発生は例年1%程度しか確認されていないという。」
とあるが、東京の刑法犯は全国の何%を占め、振り込め詐欺は全国の何%を占めているのだろうか。
また、日本の大都市は東京と大阪だけではない。他の都市との比較はどうなのか。特に、今年5月には神奈川県が大阪府を抜いて都道府県人口2位になっているのに。
どうも、当然明らかにされるべき数字が伏せられており、作為的なものを感じる。
さらに、

「警視庁が逮捕した私立札幌大の学生らによる振り込め詐欺の犯人は「東京は金持ちが多いと思った」と供述。一方、大阪府警が先月23日に逮捕した犯人は「大阪人は電話しても無駄が多い。なかなかひっかからない」とぼやいたという。
 このあたりに“被害格差”の原因がありそう。府警によると、電話をかけてきた犯人に「あんさんは、誰だんねん」「うちの息子は『オレオレ』いう名前とちゃいま(違います)」と、逆に質問攻めにして撃退したケースが多いという。」

というが、「このあたり」とはどのあたりか。「東京は金持ちが多いと思った」と「なかなかひっかからない」は対応していないのに、無理矢理つなげている。「このあたり」は「なかなかひっかからない」を受けたものなのだろうが、では前段の「東京は金持ちが多いと思った」には何の意味があるのか。暗に、大阪は金持ちが少ないと言いたいのか。ならばそう書けばいいのに。実際、データとしてはどうなのか。当然比較すべきではないのか。それを、人間関係が濃密だの目標を持った生き方が大事だのと、東京人の大阪観で無理矢理まとめている。一見ほめてるからといって、だまされまい。
ちょっと調べたら、5月6日の毎日新聞にも似たようなの記事が載っていたようだ。しかも、他都市との比較も含めて。元記事は残っていないが、引用している方の記事がここに(「~じょいなす~ NEWSの女王」さん)。
こちらは一応東京人批判になるんだろうけど、「だまされやすい」「お人好し」って、なんかいい人みたいですなあ。ほんとかなあ。
しかし、比較の対象が、東京、大阪、愛知、北海道って、何で北海道? 普通こう来ると最後は福岡じゃないの? 福岡のデータを出すと論旨が崩れるような問題でもあったのではないだろうか?
さらに、この記事にコメントを寄せている「だで」さんがおっしゃっているように、だまされなかった人も含めた全体の電話件数がわからないから、単純に比較できないよな。全体の電話件数とだまされた件数の比較では、東京も大阪も似たようなものになるかもしれない。もっとも、だまされなかった人はあまり警察に通報しないだろうから、全体の正確なデータというのはないのかもしれないが。
さらに昔の記事で、これも元記事はなくブログからの引用なのだが、大阪で件数が少ないのは犯人達が大阪弁を使えないからという説もあった(「13Hz!」さん)。
なるほどそういった理由もあるだろうな。
さらに、上記の毎日の記事について、これが東京と大阪が逆の立場なら、決してこうした記事にはならないだろうと批判し、「大阪の記事見出しでよくやるように、【 振り込め詐欺 : 東京ワースト】 と、するべきである。」
と主張する、鋭いサイトも(「東京マスコミの偏向報道」さん)。
このサイト、東京中心のマスコミ報道の偏向ぶりを実例を挙げて暴いていて、なかなか興味深いです。