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映画「一命」

2011年10月23日 13時52分43秒 | 映画・社会

例の市川海老蔵の事件の前に撮られたもので、一時はボツになるかもしれなかった作品です。

「一命」の原作は、滝口康彦著「異聞浪人記」で、過去1968年に「切腹」としても映画化されています。

   

この映画は、武士にとって「面目」とはなにか、そして「恥」とはなにか・・・・
「家族」とは、そして「命」とは、何かを考えさせられました。

愛する家族を守るため、貧困にあえぐ武士がとった行動は、プライドを捨てることだったのでしょうか?

主演の市川海老蔵は、歌舞伎役者だけに、眼力は大したもので、他を圧倒していました。

太平の世になり、大勢の大名が取り壊しにあい、安芸広島の福島家も幕府の思うつぼにはまり、取り壊されます。

そこには、仕事も家もなく、生活に困った浪人たちの間で”狂言切腹”なるものが流行っていました。
浪人が、切腹をするので庭さきを貸して欲しいと大名家を訪れます。
迷惑な大名家は、いくばくかの金子を渡し退散させ、テイの良いゆすりでした。

 
  貧しくとも健康であれば・・・・・              思惑に反して、切腹するも、武士に二言は
                                   ないという美名だったのでしょうか?    

ある一人の浪人が、井伊家の門前に、切腹を願い出ます。
その浪人は、津雲半四郎(市川海老蔵)で、家老、斎藤勘解由(役所広司)から、1ヶ月前にも同じように願い出た千々岩求女(瑛太)の様子を話し始め、ここでは、願い出た者には、その願いを叶えさせ庭さきで切腹させるというものでした。

半四郎は、その千々岩は、存じよりの者であり、その切腹のさせ方が理不尽なもので、その千々岩は、義理の息子であり、病気の妻と赤子を医者に見せる金欲しさだったと話始めます。

武士の命である刀を売り、竹光にあるにも拘わらず、恥も外聞もすてて、切腹を申し出た無残な最期を・・・
画面では、切れない竹光で腹を突くがなかなか出来ず、なんどもなんども腹を刺す様は、介錯を願い出ても、なかなか介錯しない意地悪な様子を見ていると気持ちが悪くなりました。
瑛太の迫力ある演技も見ごたえがありました。

半四郎の娘、千々岩の妻を演じる満島ひかりの演技にも悲壮感が溢れ、見る者を引きつけました。

この映画が、カンヌ映画祭に出品されるとの事ですが、現在の日本人にも理解しがたい「武士道」精神が、外国人に理解出来るのでしょうか、と思ったのですが・・・・・

貧困に困窮する人間の根底に走る家族を思う心を、命を捨ててでも救いたいという気持ちは、どこの国でも同じであると思い、これをどのように評価するかにかかっているのではないでしょうか?
ただ、切腹という手段が、どう評価するかにかかっています。



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