活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

【10月10日】

2006-10-10 | 単行本
 今のブッシュ・アメリカもそうですが、かつてのイギリス、フランスなどのヨーロッパ諸国が海外に派兵したとき、紛争に介入したときは自由主義、民主主義を守るのだ、キリスト教人道主義を広めるのだみたいな理由をつけています。しかし、実は本音はただ自分たちの商業的利益を守るためというところに落ち着くのです。そういうまやかしの言葉で歴史を塗ってきたのが近代世界史なのだと著者・松原久子氏は言います。驕れる白人と闘うための日本近代史は今の日本人すべてが読むべき好著であると思います。中学・高校時代に習った歴史は何だったのだと思わざるを得ません。
 最近は戦後をおおってきた自虐史観から脱却せよという教科書論争がありますが、そういうことでもなく、明治維新に捨ててしまったそれ以前の日本の歴史を正しく学ぶ必要があります。郵便制度にしても銀行制度にしても街道の交通にしても、またこの小さな日本列島に3千万人が生きていく知恵を作ってきた江戸時代の日本人達の有り様は、現代社会が宗教と民族の衝突でぎすぎすしていることを反省させてくれます。
 日本人負けるな、欧米人の思い上がりを糺せと発言し続ける著者を応援したくなりました。それは決して偏狭な民族主義ではなくて。

「驕れる白人と闘うための日本近代史」松原久子 文藝春秋
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