活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

ビッグバンをめぐる6つの誤解

2005-04-29 | 雑誌
 宇宙創生はビッグバンから始まったというのはちょっと宇宙好きならご存じなことですが、それをめぐる誤解の話。でもこの話はよほどこの手の話を好きな人でないとだから何?ということで終わってしまいそう。普通に生活していく上でなんにも必要のないことですから。
 ただ一つ、へぇと思ったのは、宇宙というのはビッグバン創世以来膨張しているんですね。でビッグバンというのはどこか点みたいな所からドバーッとふくれあがって拡大しているのかというと、そうではなくて空間全体がドバーッと拡大しているというのです。というのはもし拡大を元にたどると一点に集約しそうではないですか。でもそうではないというのです。そしてそしてご存じアインシュタインの理論から光よりも速いものは無いというのもあるんですが、超光速とはSFの世界だけかというと実はその空間の拡大するスピードは超光速であり得るというのです。それは相対性理論と矛盾しないということです。遠くの銀河は高速で地球から遠ざかっていますが、それは銀河そのものが高速をで移動しているのではなくて、空間が膨張しているので動いて見えるのです。銀河そのものは静止しているのだそうです。ということは宇宙の果て、今は140億光年先の銀河が宇宙の果てということですが、その先に何があるかというと宇宙があるのですね。140億光年先の銀河からはそこから140億光年先の宇宙が見れて、ということは地球から280億光年先まで宇宙があるということになります。
 ということで観測可能な宇宙というのは途中をはしょりますが結論として460億光年ということらしいです。なんかどうでもいい話のようですが、自分は好きです。

「ビッグバンをめぐる6つの誤解」日経サイエンス 6月号
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「情報」と国家戦略

2005-04-26 | 単行本
つい先頃まで防衛庁情報部長を務めていた氏が,退官後に思うところを綴った本です。霞ヶ関界隈の役人の間で話題になっているそうです。日本の情報戦略の中枢にいた氏の言には耳を傾けるところ大だと思います。特に外国からの情報を一手に握って押さえ込みたい外務省,自分たちの職域をかたくなに守り通したい防衛庁内局官僚達。先の大戦で情報戦に失敗したことを糧として活かしていないとしかいいようがないです。情報操作というのは嫌な言葉でこれは困りますが,情報に敏感になって情報を活かす,情報を守ることをしなければいけませんね。情報(インテリジェンス)とはすなわちバラバラの事実(インフォメーション)を収集し,つなぎ合わせて一本の筋だったものにすることです。そのためにどういう心構えであるべきかを氏の経験から綴っています。

「情報」と国家戦略:太田文雄 芙蓉書房出版
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オーケストラの職人たち

2005-04-23 | 文庫
 クラシック音楽界で名エッセイストというと中村紘子とこの岩城宏之。N響常任指揮者から始まって世界の主要オーケストラを客演してきた日本の名指揮者である。岩波新書に最初のエッセイを書いてからその後エッセイをあちこちに書いている。この本は週刊金曜日に連載されたものをまとめたものだ。例えば「いい感じ」を「いいカンジ」なんてカタカナで表現するのは椎名誠流で73歳の方のエッセイとは思えなく、読む方は(椎名誠が好きだということもあって)気持ちよく読み進める。楽器運び屋さんや、ピアノの調律師、写譜屋さんの話などを「ウラカタ」として取材をしている。昔はふっくらとしていたのだが大病をしてから最近の写真ではすっかり痩せられた。ただ相変わらず指揮をするときは大量の汗をかきながらだそうだ(生は見たことがない)。

「オーケストラの職人たち」岩城宏之 文春文庫
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有吉佐和子的人生

2005-04-20 | 雑誌
 複合汚染、恍惚の人など流行語にもなった作品を残した有吉佐和子の人となりを関川夏央が綴っています(連載中)。有吉佐和子は華岡青洲の妻や紀ノ川など有名な作品があって自分もタイトルだけは知っています(読んだことはない)。この方は何というか直情的というのか受ける感じよりも頭がいいタイプというのか強引な性格というのか、とにかく凄い人だったということがわかります。自分が小説家ではないので知らないのですが、日本一こわい編集者として純文学しか認めない男と評された群像編集長大久保房男に執拗にまとわりついて自作の評価を迫るところは市井の人間では呆れてしまうところがあります。もっとも大久保房男自身は紀州人同郷の有吉にそうはいっても懐かしさを感じてしまうのです。読んだことのない作家ではありますが、こういう作家人生もあったのだと面白いです。

「有吉佐和子的人生」関川夏央 青春と読書連載中 集英社
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江戸時代を「探検」する

2005-04-19 | 文庫
 著者は東大史料編纂所教授であり歴史学のプロだ。特に近世江戸時代に関するプロであり,この時代に関する著書が多い。普段テレビ・映画・歴史小説で触れる江戸時代を正しく学問的に考証してくれる。お白州での裁きは実際どうだったのかとか,四十七士は本当に義士だったのかとかである。当時のことは当時の背景を十分に理解した上で考えないと,つい現代風に解釈して立派だとかあり得ないとかいう判断をしてしまうことに警鐘を鳴らしている。この本はエッセイをまとめたもので,オウム真理教と天草四郎時代(島原の乱)の宗教観とを比べたり,江戸時代唯一の正式な国交を持っていた朝鮮との当時の在り方や,大岡裁判の実際などを説明してくれている。最後に古文書へのあたり方などの解説もしてある。

「江戸時代を「探検」する」山本博文 新潮文庫
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ジェット空中戦

2005-04-15 | 文庫
 第二次大戦末期に登場したジェット戦闘機のドッグファイトの歴史をつづった本。事実上最初のジェット空中戦は朝鮮戦争でこれは米軍(正しくは国連軍)の勝利なのだが,その後米ソ軍拡時代にあって兵器は目覚ましく進歩したのですね。この本ではフォークランド紛争までを扱ってますが,80年位までは空中戦では空対空ミサイルと機関砲とが併用されてました。ミサイルの信頼性もまだまだ低かったというのがあるし,古い戦闘機がけっこう残っていたのですね。その後電子兵器は飛躍的進歩をとげ,現在では航空機といえども単独で敵目標を認識するというより早期警戒機と通信衛星を使った総括的指揮下において戦われるようになっているから大分様変わりです。それに空対地ミサイルの精度も上がったから,爆撃攻撃も巡航ミサイルに変わっています。何しろ飛行機が撃墜されるということは物的損失もありますが,育て上げたパイロットを失うという損失の方がはるかに大きい。ところでこういう本をどういう態度で読んだらいいのかという疑問もあります。ゲーム感覚で空中戦話を聞くというのは楽しいけれど,この実話の影には多くの人命が失われているわけで,複雑な気持ちなってしまうのも事実です。

「ジェット空中戦」木俣滋郎 光人社
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「震度7」を生き抜く

2005-04-13 | 新書
 中越地震のニュースも最近は新聞紙面を多く取ることも無くなってきましたが,日本人の悪い癖でのど元過ぎれば何とやらというのが出てきてるのだとするとゆゆしきことだと思います。日本は確実に地震多発の周期に入ってきており,先日地震が少ないと思われていた福岡付近で起きました。西日本の日本海側で地震が起きるのは,東南海,南海地震の予兆といえるケースもあって,これに東海地震を含めた三連鎖地震が起こる可能性も2,30年以内くらいであって,そうなったら阪神淡路とか中越などとは比較にならない未曾有の大被害が予想されるし(決して自治体の被害予想を宛にしてはいけないと思いますな。自治体は甘くしか見積もらないから),関東方面も直下型はいつ来てもおかしくないし,東北も宮城県沖はまた周期に入りつつあります。地震は宿命と諦めてどう対峙するかを自治体に任せるのではなく個人が考えないといけないと深く思うのであります。
 著者もまず個人で出来ることをを十分考えることとそのヒントを中越地震体験から提案しています。地方自治体はまだまだ地震対策が甘く,今回も呆れています。
 48時間待てばたいていの場合援助活動が始まるので,食料をため込んでおく必要はあまりなく(一日おにぎり1個でもしのげうる),それよりもトイレの心配をしたほうがいいといいます。食欲は抑えられても排出は抑えられないからです。特に女性はおむつとかを準備しておいた方がいいそうです。
 面白いのは,食料や毛布の援助が始まったとき,老人はしぶとく並んで多めに確保してしまうのだそうです。これは戦後の欠乏期を乗り切った人たちの癖ではと言うのです。

「震度7」を生き抜く:田村康二 祥伝社新書
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天気図の使い方と楽しみ方

2005-04-12 | 単行本
 こんな本を読む人はハッキリ言ってオタクの世界でしょう(あるいは気象予報士の勉強している方)。世の中に天気図が大好きという人はどれくらいいるでしょう。もちろん登山家や漁業関係者、パイロットなどは天気図を読むことが必須で必要のために見るのでしょうが、ただ見ることが好きなという人は少ないでしょう。私は子どもの時から何故か天気図に魅せられていて現在に至っております。
 一般向けの天気図解説の本はいくつかありますが、この本は新聞天気図を解説などというものよりもう一段高度で、高層天気図と数値予報図から最近起きた気象トピックスを読み解くという内容です。
 個人的には面白かった本です。

「天気図の使い方と楽しみ方」新田尚監修、オーム社
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多摩川

2005-04-05 | 雑誌
 今でも東京には郡が残っていて西多摩郡というけれど、その名前は多摩川流域にあることが語源でしょう。昔は南多摩郡も北多摩郡もあって東京と多摩川とは切っても切れない縁があるんですね。単に多摩川が東京の水道供給の2割弱を頼っているだけではなくとしてもですね。東京都の形は多摩川の流域に沿うようにできてますしね。その昔、水道の水源を確保するために無理矢理神奈川県から奥多摩をぶんどったのは有名な話。
 普段は大した水量もない川ですが、ひとたび上流に雨が降るとえーーーーてなほど変身します(どんな川も同じか)。かつて岸辺のアルバムという有名なTVドラマがありましたけど、この多摩川が台風による濁流で川岸の家を削り取ったことがあってそれを土台に作られたドラマでした。家が川に飲み込まれていく様がまさにテレビニュースでリアルタイムに報じられていたのを覚えています。
 でも普段はまさに東京のオアシスである多摩川です。昔は(昔話ばかりですけど)花火大会もここ彼処であったような記憶があります。

「都会のオアシス 多摩川」地図中心5月号 (財)日本地図センター
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金正日 隠された戦争

2005-04-03 | 単行本
 この本を読んでしまうと、拉致被害者の方々には誠に申し訳ないけれど、今の北朝鮮政府とまともに交渉すること自体が間違っていると思われてしょうがありません。こんな国とまともに外交交渉をすること自体が間違っていると思ってしまうのです。普通の国なら小悪党くらいの人物がなまじ絶大な権力を握ってしまった挙げ句の果てが今の北朝鮮と言えるのではないでしょうか。こんな国に拉致されてしまった被害者の方々はまことな不運としかいいようがなく、また今までこんな国とまともな神経で国交回復をしようと外交してきた政治家、特に旧社会党の面々のやってきたことは何だったんだと思いますし、その最も卑しむべき敗北外交が自民党の金丸訪朝団だったと思います。
 クリントンをも翻弄した金正日は、実は自信満々で周辺諸国を愚弄しているとしか思えません。今の日本の外交はなにかおかしいと思わせてくれると教えてくれる本です。

「金正日 隠された戦争」萩原遼,文藝春秋
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