活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

江戸っ子はなにを食べていたか

2005-02-23 | 新書
 彼岸の頃に食べる「おはぎ」が大好きなのですが,別名ぼた餅ともいっていて何が違うのか,つぶあんと練りあんの違いかとか思っていましたが,春の彼岸は牡丹の季節なので牡丹餅(ぼた餅),秋は萩の季節なのでおはぎとなっているそうです。江戸の頃は節句の行事が四季の移ろいを身に感じさせるものだったのですが,そうやって区別していたということら来ているようです。蕎麦というのも江戸で発達した食文化ですけど(ご存じの通り関西はうどんですよね),今でもソバ屋の品書きに「せいろ」というのがあって,それはモリ蕎麦のことですけど,なんでせいろというのだろうと思っていましたが,当時はモリ蕎麦はセイロで蒸して食べていたのでせいろというのだそうです。そして新蕎麦のでる秋には江戸っ子はソバ屋に群れていたそうです。初鰹で知られるように初物好きだったのすね。
 お大名や豪商達が何を食べていてもそんなに感動はなのですが,江戸庶民が何を食べていたかというのは我が身を振り返ってみてとても興味があります。当然ながら冷蔵庫のない時代,さらに長屋では台所もまともに無くて(時代劇に出てくる長屋はちょっと変)どういう食生活を送っていたのかということを教えてくれます。

「江戸っ子はなにを食べていたか」大久保洋子 プレイブックスインテリジェンス
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天狗風

2005-02-20 | 文庫
 古本屋で前回買った宮部みゆきの「震える岩」隣りにあった霊験お初捕り物控えの第2集の「天狗風」です。震える岩から半年が経ってお初も17歳。そこにまた死霊がらみの怪事件が発生します。かわゆる神隠しといわれる事件。接点の無さそうな2つの神隠しに共通するものはなにか。今回の死霊は手強くて人も猫も首をはねてしまいます。お初はこの強敵にどう立ち向かうのか。兄の岡っ引き六蔵と岡っ引き仲間と仏様の化身と思われる化け猫が脇役になり、右京之介も与力の家を出て算学に人生をそそいでいますが、算学をやるだけあって論理的思考がお初を助けます。震える岩ともども車中が短く感じられましたね。池波正太郎もそうですが、時折出てくる江戸の食べ物がこのお話しの華となっています。

「天狗風」宮部みゆき 講談社文庫
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震える岩

2005-02-16 | 文庫
 久し振りに宮部ワールドに浸かりました。書店店頭ではひぐらしなんて単行本が平積みになってますけど,こちらはかなり初期の作品。今では著者のもっとも人気なジャンルになっている捕り物控えで,霊験お初捕り物控えと副題。ただのミステリではなくお得意の霊的シーンをちりばめています。実在の江戸南町奉行根岸肥後守が残した耳袋という江戸市井の出来事ロジーからヒントを得て作られ,元禄義士討ち入りからちょうど100年後という1800年代初頭を舞台にしています。その義士討ち入りにまつわる謎が中心に座っています。霊験お初とはいうものの,サイキックなことができるのではなく,死霊とかを見ることが出来る能力があるハイティーンの娘。根岸町奉行,兄の岡っ引き六蔵,算学大好きの右京之介が脇を固めます。最後に大捕物があるのですが,著者の作品はじーんと来る何かをもっていますね。鬼平もそうですが,じーんとくる何かというのが受ける理由でしょう。

「震える岩」宮部みゆき 講談社文庫
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武装解除

2005-02-14 | 新書
 世界各地で起きる紛争に対して日本はどういう形で貢献するのかということには,湾岸戦争で金だけ出して血を出さない日本が叩かれて(叩かれたと錯覚した?),以来自衛隊の派兵問題が国会やマスコミを賑わせて,なし崩し的な憲法解釈で政府はイラクに自衛隊を送り込みました。著者はアフリカや東チモール,アフガニスタンの最前線で武装解除に立ち会い指揮してきた経験から,何にもまして金を出す奴が一番強い,といいます。裏を返すと金を出せない国が血を出すのかということになりますが,どんなにPKOで軍隊を送り込んでも最後にものを言うのは金。国連だってNGOだって金で動いています。そう言われればそういうものかと思わされます。政府やマスコミの言っていることが正しいことと鵜呑みをしていると,現場ではあまりそういうことでもない事実を知らされますね。ちなみに,この紛争当事者の専門家が世界で一番危険な街はバグダッド,二番目はアフガニスタンのカブールだということなのですが,日本大使館ではボディガード無しで大使が外出しているのだそうです。日本だけだそうです。えーーー!!!てな感じですが外務省ってなに考えているんでしょう。

「武装解除」伊勢崎賢治 講談社現代新書
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男の作法

2005-02-11 | 雑誌
 老舗有名どころの飲み屋や食い物屋ってどこかで大枚を手にしたら一度は行ってみたいと思ってはいるものの、そこではどういうマナーの世界があって何をどう頼んだらいいのかというので怖じ気づいてしまうところがあります。男の隠れ家って雑誌は書斎特集の時には必ず買うのですが、今月はもしこういう店に行ったらどうするのだろうという興味で買ってしまいました。
 一人あたり2万とか3万とかいう日本料理やフレンチはなかなか行くことはないと思うのですが、最低5千円あれば行けそうなバーは是非行ってみたいと思うのであります。ただ、バーというところは長居を決め込むところではなさそうなので、そのあたりのスマートさが求められ、5千円も払ったんだから元を取ろうという気持ちではいけないのですな。5千円で実現できそうな老舗では蕎麦屋というのもよさそうです。昼間から酒を飲んでも許されるのは蕎麦屋だそうで、つまみにせいろを頼んでも2千円は高い方だしその点では安心。

「男の隠れ家 3月号」あいであ・らいふ
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禅学入門

2005-02-08 | 文庫
 「禅」は中国から入ってきた(達磨さんが持ってきた)仏教の宗派だけど,いわゆる鎌倉仏教の発展の中で日本オリジナルの思想体系が作られて現代に至っているんですね。曹洞宗,臨済宗,黄檗宗で禅が組まれ,有名なのは福井・永平寺ですね。基本は自然を自然のママに受け入れるということ,自然になりきるというのか,。魚が泳ぐがごとく,鳥が飛ぶがごとく,雲のように流れることが禅的生き方ということらしい。そして「悟る」ことが禅の目標でもあるわけですけど,悟りを悟っていない人に説明すると悟りではなくなってしまうというややっこしい話があります。いわゆる禅問答,公案というのも独自の世界ですよね。この本は昭和15年に鈴木大拙が英語で著したものを日本語訳したもの。わかりやすくかいてあるけれど,でもわからないことが多く,1回読んだだけではうーむと唸ってしまうだけです。
 でも自然と対峙するのがユダヤ系宗教(キリストやイスラム),自然にとけ込むののが仏教系の思想というのはわかりますな。日本人にはなんとなく後者のほうがお似合いという感じ。

「禅学入門」鈴木大拙,講談社学術文庫
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横井小楠

2005-02-04 | 新書
 幕末維新の傑物というと坂本竜馬,西郷隆盛,勝海舟,高杉晋作,桂小五郎らの名前が挙がって,またその時代のドラマに彼らが出ないということはないのですが,横井小楠という名前を知っている人がいれば余程の歴史好きと言えるんじゃないかと思えます。熊本藩士にして(酒癖で失敗をして藩からスポイルされ)福井藩主松平春嶽のブレーンとして活躍したのです。その思想は開国重商主義富国強兵であり,竜馬や勝らに大きな影響を与え,明治政府にも参与として呼ばれそこでもブレーンとして活躍しましたが,旧主派に思想を誤解され暗殺されてしまいます。この人の凄いところは日本は世界平和の為に尽くさねばならないと言ったことです。国内がまだ佐幕か攘夷か公武合体かでもめているときに世界平和を訴えたのですよ。トルストイも感嘆したといいます。ただ革命家でなかったので名が残りにくかったと著者も言っています。ドラマになりにくいかもしれませんが,是非どこかのテレビで幕末維新ものドラマを作るのだったらこの人を是非加えて欲しいものです。

「横井小楠」徳永洋 新潮新書
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世間のウソ

2005-02-02 | 新書
 宝くじは買わなければ当たらないし,買ったものでなければ夢も見られないということで,自分もジャンボだけは買っているのであります。しかし,このほんの著者はこの本を書いてから宝くじを買わなくなったとか。TVCFでは所ジョージがいかにもあなたも億万長者に成れますよと御輿を担ぎますが,実際に当たる確率は交通事故に遭う確率の方が10万倍近いのだそうです。宝くじを買いに街に出て事故に遭うということです。なんといっても日本の公営ギャンブルは(ギャンブルは公営しか認められてませんが)胴元が取りすぎ。宝くじは52%が取られてしまう。競馬は25%だそう。みな官僚の天下り団体に吸収されていくのです。ちなみにルーレットとかバカラとかをラスベガスでやってきても10%以下だそうです。
 てな話や,無能なマスコミ記者や裁判官の話など一般的には優れていると思われる人たちの判断って実は頼れないのだよという話の缶詰であります。

「世間のウソ」日垣隆 新潮新書
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