活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

日はまた昇る

2004-09-28 | 文庫
 この小説の面白さがわかるのは30代過ぎの人ではないでしょうか。そもそもこの本を手にしたのは村上春樹の紀行文で、著者が旅行用に持っていたのがこの本。著者は高校時代にこの本を読んだのですが、面白さが今ひとつわからなかったそうで、でもその旅行中に読んだとき(村上春樹が30代)ともても面白く読んだというのに啓発されて読んだのです。
 うーむ、確かに面白い。30代とおぼしき中年達がそれも1920年代のフランスとスペインを舞台に友達であったり愛人であったりする、ひょっとするとちょっと昔に流行った男女七人のトレンディドラマのような関係を持つのですが、もちろんそれはドラマよりずっと文学的なことはいうまでもありません。
 ちょっと粋な男女の恋愛小説を読みたかったらお奨めです。

「日はまた昇る」ヘミングウェイ 新潮文庫
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ハリーポッターと不死鳥騎士団(下)

2004-09-26 | 単行本
 この第5巻では今までの4巻のストーリーをふまえて、色々な事実が明らかになっていきますが、そういうプロットの緻密さには敬服します。そして1巻1巻でも完結したミステリーとアクションとファンタジーがこのお話しの醍醐味ですね。
 上巻では死喰い人一派にさんざんにやられていた不死鳥騎士団派は下巻で溜飲を飲むことになりますが、15歳になったポッターは自己主張も強くなり、女の子が気になる年頃になります。でも女の子のあしらい方はまだまだ子どもで、ハーマイオニーが女心を教えても理解できません。そして相変わらずの正義感の強さをヴォルデモートにつけいられ逆に利用されピンチを招きます。大事な人を失うという犠牲の結果ダンブルドアの活躍もあって不死鳥騎士団はとりあえずの勝利をつかみ、ヴォルデモート復活を信じなかった魔法省にその事実を認めさせます。
 6巻以降のポッターは最愛の人の死を乗り越えて、またヴォルデモートとの関係を明らかにされたことから、魔法戦士としての自覚を強く持って戦いを繰り広げてくれるであろうことが予想されます。16歳になるポッターに早く会いたいものです。

「ハリーポッターと不死鳥騎士団(下)」J・K・ローリング 静山社
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Boys be ambitious !

2004-09-25 | その他
 札幌農学校のクラーク博士の言葉として有名ですが、この言葉を学生の前で声高々にうたいあげたのではなく、ぽつりとつぶやいたようにしゃべられたのを、大島正健が心に刻みつけていたのだそうです。大島は農学校が北海道帝大として昇格なったとき寂しく去りましたが、転変を経た後甲府中学校の校長として赴任し、そこでクラーク精神が花開くとことになったといいます。というのも教え子に石橋湛山がいたんですね。のちに首相にもなり現在でもリベラルの師といわれていますが、この"Boys be ambitious !"という言葉と"Be gentleman !"「紳士たれ」というやはりクラークの言葉が炭山のリベラルの源流になったそうです。
 "Be gentleman !"はクラークの校則に代わるただ一言の訓辞だったそうで、自分で判断に行動するということは逆に言えばなんと厳しい言葉でもあると言えます。
 母国アメリカではほとんど知られることのないクラーク博士は日本では銅像が建つ人物です。在日期間たった8ヶ月でもこの短い二言が日本に残した足跡として歴史に名を残しました。

「少年よ大志を抱け」朝日新聞 9/25土曜版
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温泉へ行こう

2004-09-22 | 文庫
 温泉については色々な本が出ていますが、これはいわゆる紀行文というやつです。最近読んだ内田百の阿房列車のように旅行に精通した相棒(スバル君と本名を書かないのも同じ雰囲気です))とあちらこちらの温泉を旅します。そして、飛行機が嫌いなので遠いところは寝台車、近場は車というのが移動方法です。
 糖尿病で一日1800KCalに食事を制限されているにもかかわらず、寝台車で寝るために大酒を飲みますが結局寝付けなったり、埼玉の秘境の田舎「ふう」温泉宿ではちょっと違うぞという感じで連泊を一泊で早々に宿替えしたりして笑わせてくれます。
 作者の山口瞳は「礼儀作法入門」などで売れたサントリー出身の作家でこの時57歳、ロサンゼルス五輪の頃前後に旅をしたものです。
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BREW

2004-09-18 | 単行本
タイトルだけ見ると村上龍あたりの小説の題名みたいですが、全然そんなものではなく、auケータイをお持ちの方ならちょっと関係あるのですが、パソコンではWindowsがOSとして使われているようにケータイにもOSというのが搭載されていて、auのケータイに搭載されているOSがBREWというのです。
 まぁ普通にはこんな内容の本は読まないのですが仕事上ちょっと必要があって読むことになりました。

「BREW」インプレス
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おとこくらべ

2004-09-16 | 文庫
 なんか凄いタイトルですが、樋口一葉、有島武郎、芥川龍之介ら文人達の死に様を描いた短編集です。いかにもその場で見て聞いてきたような情景が繰り広げられますが、これら有名な文人達の私生活を描き出しているのがとても面白いです。ご存じの通り龍之介は睡眠薬で自殺ということになっていますが、実は処方されていた睡眠薬を全部飲んでも致死量ではなかった(青酸カリを飲んだようです)ということなどへぇという感じです(裏を取っているのか知りませんが)。著者には似たように文人を主人公とした温泉小説「ざぶん」があってこれも面白かったのですが、こちらでは与謝野晶子と鉄幹の絡みが印象に残っています。

「おとこくらべ」嵐山光三郎 ちくま文庫
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デイキャンプ

2004-09-14 | 雑誌
 アウトドアブームもひと頃のブームは落ち着いてきたようです。アウトドア雑誌も老舗ビーパル以外は休刊(アウトドア、フィールド&ストリーム)になってしまいました。ビーパルはワンコインで買えるという価格設定も長く買われている理由かもしれません。
 私もこの2年キャンプに行かなくなってしまい(子どもが大きくなってしまったことが一番の理由かなぁ)、それでもたまには海岸に弁当を持って行くことはしますが、ストーブとか七輪を持ち出してというのはちょっと億劫になってしまっています。ビーパルは20年前から読んでいますが、このところは特集によって年2、3回というところ。今月は久し振りに買ってしまいました。シンガーの矢野顕子が七輪でサンマを焼いてつつくというシーンで買ってしまったわけです。
 アウトドア定番のコールマンのツーバーナーは持っていますが、七輪の方が好きで使い込んだ七輪は15年以上保っています。

「ビーパル 10月号」小学館
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賽は投げられた

2004-09-13 | 文庫
 賽は投げられた・・・有名な言葉ですが、誰がどういう状況で発した言葉なのか今までよく知りませんでした。カエサルがルビコン川の前でローマ元老院と戦うことを最終的に決心した時の言葉なのですね。もう後戻りはできないそういう気持ちを素晴らしい表現で表したものです。
 ガリアを8年に渡る戦いの末制圧しゲルマンを押さえ込み、来るべきローマ帝国(まだ共和制ですが)の地図を描いたカエサルは、いよいよ本国の政体を改革しようと乗り込もうとしますが、共和制維持を固持する元老院との対決を避けて通ることは出来ない状態になるわけです。
 わくわくする物語の展開が続き、これがみな史実であったということに対しては歴史を読む者の幸せを感じます。

「ローマ人の物語 文庫版10」塩野七生 新潮文庫
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ローマ人の物語9

2004-09-12 | 文庫
 カエサルという人は歴史上もっとも偉大な政治家と言われることが多いのですが、それは何故かという理由はローマ執政官を終えた後属州総督時代のガリア遠征のときからの行動に求められます。またこの時の遠征はガリア戦記として自ら記録をしたため刊行しましたが、その筆力は現代に至る歴史家を唸らせるものです。8年に渡ってフランスとベルギーを制圧するための戦いを続けたわけですが、途中ブリタニア(イギリス)遠征も行い野蛮人の集合体だったブリタニアに文明の秩序を持ち込み、チャーチルをしてイギリスの始まりはここからと言わせています。そしてのちのフランス文明の基礎となる秩序も現在のフランス一帯に作ったわけです。
 カエサルの活躍した紀元前一世紀という時代は中国でも前漢後期の頃で東西で大きな文明が育った頃です。

「ローマ人の物語 文庫版9」塩野七生 新潮文庫
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ローマ人の物語 文庫版 8

2004-09-10 | 文庫
 ローマ人の物語文庫版が再開されて早速買いました。いよいよユリウス・カエサルが主人公として登場です。文庫6冊に渡って主人公になるようです。まぁとにかく面白い本です。一時は司馬遼太郎の一連の大河小説(竜馬が行くとか坂の上の雲とか)や三国志にはまりましたが、それらの負けずと面白い本ですね。単なる歴史の著述でなくまた歴史小説でもなく「物語」という体裁ではまります。
 日本ではジュリアス・シーザーとも呼ばれクレオパトラとの恋沙汰が有名ですが、西欧では稀代の政治家として学ばれているようです。確かに読み進めていくとカエサルの深謀遠慮、危機管理能力、行動力、人身把握能力がずば抜けてあり、容姿端麗というのとは少々違っていた(身長はそこそこにあった)のにそれでいてプレーボーイとして名を高め、莫大な借金をして女に貢ぎ(みな不倫)、でも恨まれないという人でした。彼の魅力はそうした人間性全体にあったということです。

「ローマ人の物語8 ユリウス・カエサル ルビコン以前」塩野七生 新潮文庫
コメント (1)
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