活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

無限とは

2005-07-29 | 雑誌
 無限とは限り無いということで、文字通り無限なのだと思っていました。しかし、数学的な(ちょっと難しい)話だと二種類の無限があるのだといいます。数直線上に並ぶ数はもちろん無限なのです。そしてその上に並ぶ整数は確かに無限の彼方まであるわけですが、整数(2か5とか)と整数の間には隙間があるのでそれを埋めるために1/2とか1/3とかで埋めるとそれも無限にあるのでこれで隙間が埋まるのかと思います(ここまでは有理数)。しかし、これだとπとかルート2とかが埋まらず(分数で表現できない無理数)これを埋めるとすると、実は無限にある有理よよりも同じく無限にある無理数の方が数が多いのだそうです。無限と無限の大きさが違う(実際は濃度が違うというのだそうです)というのがへぇーーな話でした。

ニュートン9月号
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ホームズ余話

2005-07-27 | 雑誌
 シャーロックホームズが宿敵モリアーティ教授を倒す話はドイルの本編でも語られているとおりですが、このモリアーティ教授を扱った世間に数多くあるホームズ番外編というものです。
 直近の第59回アメリカ探偵作家クラブ賞短編候補作になったもので、ホームズを扱ったという意味ではミステリでしょうが、設定はいわゆるパラレルワールドものでこれはどちらかというとSFですね。ホームズを読んだ人でないと登場人物関係がピンと来ないでしょうが、SFも好きだというホームズファンはけっこう読める話でした。

「消えた探偵の秘密」ゲアリ・ラヴィシ、日暮雅通訳、ミステリマガジン9月号
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植草甚一日記

2005-07-24 | 単行本
 植草甚一スクラップブックが今再刊されています。70年代カルチャーの担い手だった著者ですが、毎月刊行されていたスクラップブックには月報が入れられていて、そこには手書きの日記が添えられていたのです。毎回使っていたペンが違っていてそれで文字の形が違うのも面白いのですが、著者が大好きだったコラージュも挿絵のように入れることでより著者らしさが出ていました。それらの日記、1976年前半部分をまとめたものです。元旦は自作コラージュの年賀状を書くことから始まり、相変わらずの本屋通いが続きますが、当時池波正太郎全集の解説も担当していたなんて知りませんでした。そのためにひたすら池波の作品を読みまくっています。この全集解説を機に池波とも親交を結ぶようになったらしいです。
 植草甚一を知る人はある年代以上の人と思います。多分昭和30年代前半生まれ以前かな。でも彼の生き方は今にしても憧れな生き方です。

「植草甚一コラージュ日記①」植草甚一 平凡社
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宇宙戦争

2005-07-22 | 文庫
 火星人といえばタコのお化けのような姿が定番ですがその元になったのがこの宇宙戦争でのH・G・ウェルズの描写。地球よりも文明が進んだ火星は天文学的な理由で火星人の居住に適さなくなったことから地球移住を開始しようとします。数個のロケットが火星から地球に到着し活動を開始します。しかし重力が違うので「タコ」は脚で踏ん張れません。しかし戦闘マシンに乗ってレーザー光線とも思われる熱線砲で周囲を焼き焦がし、毒ガスで人類を殺戮していきます。食料は人間の血液で、捕らえられた人間はドラキュラのごとく血を吸い取られミイラのようになってしまいます。ウェルズはこのような非道を、しかし白人は帝国主義的搾取で他の大陸の民族を搾取しているのだから怒れないと当時の西洋文明を批判しています。そういう意味では単なるエイリアンの地球乗っ取り物語という切り口ではありません。ウェルズは歴史関係の本も多く出しています。岩波新書では「世界史概観 上下」がまだ現行品です。また、「タイムマシン」という名作も残していますがこれも文明批判的要素が多分にあります。
 実はスピルバーグの映画を観たくて先ず原作をと思って読みました。週末に見に行きます。

「宇宙戦争」H・G・ウェルズ 斎藤伯好訳 早川文庫SF
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パンツが見える

2005-07-19 | 選書
 白木屋火災事件というのを知っていますか。白木屋とは日本橋にあった呉服屋あがりの百貨店でちょっと前まで東急日本橋店でした(もう閉店しました)。昭和初期にあった日本初の高層ビル火災として知られています。この時店員が何人か亡くなったのですが、ビルの7階あたりから紐を伝って降りようとして力尽きて落下死してしまった人がいます。当時の店員は和装で、さらに和装というのは長襦袢(腰巻き)以外の下着を着けていませんから下から見ると陰部が丸見えだったのです。ということでこの力尽きて落下した店員達は下にいる野次馬から見られるのを恥ずかしがって手を離して落ちたのだ、従ってこのことがあってから和装でもパンツをはくようになったということが通説になっています。著者はまずこの通説を疑って間違いであることを証明しています。後生の人の作り話だったのですね。実はこの昭和初期の女性は陰部を見られるということに抵抗感があまりなかったらしいのです。現代はパンツが見えるかどうかということが男のスケベ心を遊びますが、当時はパンツどころか階段の下から丸見えであることがよくあったというのです。
 というような大正末期から現代に至って女性がいかにパンツをはくようになったのかという風俗史の本です。サブタイトルは「羞恥心の現代史」。つい最近まで日本もおおらかにパンツを見せる女性がそこかしこにいたというのですが、自分の記憶にはなかなか存在しません。

「パンツが見える」井上章一 朝日選書
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ミニコミ新聞

2005-07-17 | その他
 取っている新聞の折り込みチラシと一緒に、ミニコミ新聞が入っておりました。最近流行の広告を兼ねた地域新聞ではなく、有志の市民が作った市政を良くしようという新聞です。党派的な新聞ではなく、一市民感情として市議会を傍聴して得た市政への感触と市政そのものの動きを書きつづったものです。
 市の広報ではなかなか負の面が伝えられることはないのですが、このミニコミ紙を読むと市政というものが市民から乖離されたところで動いているなというのがよく判ります。特に市議会での議員たちの動きが非常に悪い。学級会並みかそれ以下という感じのようです。市側も事なかれでなれ合っていますから、誰かが声を上げて現実を市民に伝えないと、密室議会のように勝手をやられてしまうというところです。
 でもミニコミは読まれない確率が高いし費用もかかるから是非、ネット上で展開していただきたいものだと思いました。

「みんなで○○市をよくする会」(○○はとりあえず省略しました)
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レッド・パージ

2005-07-14 | 文庫
 かつて日本が今のイラクのようにアメリカの占領統治を受けていて、政治はGHQの意向のままに動いていたわけですが、最初はいわゆる民主化をという方向で日本を改造しようとし、公職追放を行って旧勢力を追い払っていたものの、ソ連の台頭と共に冷戦状態が明らかになると公職追放よりも共産主義者追放に力が注がれることになったことがあります。アメリカでもアカ刈りといって共産主義者が徹底的に追われた時があったのだけれど、日本でもあったのですね。公職追放の方は長くても4年で戻ってきた人がほとんどでしたが、レッド・パージは一般の労働組合に属するレベルの人たちが職を追われ、それもその烙印を押されると二度とまともな就職が出来ず、肉体労働者として生きるしかなく、精神を害したり自殺をした人が多かったと言います。
 そんな負の時代が日本にあったことを松本清張は丁寧に掘り起こしました。戦後昭和史を発掘した第一人者であった松本清張のこの作品は、マッカーサーを初めとするGHQがいかに適当な人材で運営されていたかを教えてくれます。

「追放とレッドパージ・日本の黒い霧よりぶ」松本清張 宮部みゆき責任編集松本清張傑作短編コレクション 上 文春文庫
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或る「小倉日記」伝

2005-07-13 | 文庫
 知りませんでした。松本清張が芥川作家だったなんて。社会派推理小説を切り開いた松本清張の出だしが純文学で評価されたわけです。直木賞というのが誰もが思うことですが。
 この「或る小倉日記伝」は森鴎外が小倉で生活していた頃書かれた小倉日記が一時行方不明になり、それを埋めるようにその期間の森鴎外の生活ぶりを調べた人を主人公に描いた小説ですが、でもちょっと芥川賞というのとは今の感覚では違う感じがしました。宮部みゆき曰く、生きている人間の生き様を現在進行で書くというのが芥川賞であるとするならそうなのかもしれないというのはあたっているのですが。
 芥川賞作品といいながら、後の社会派推理の大家を予感させるような内容ではあります。

「或る『小倉日記』伝」松本清張 文春文庫
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結局軍隊がキーポイントか

2005-07-11 | 新書
 世の中には平和主義者がいて、軍隊を廃止しろという物言いをする、それはそれでいいのだけど、人類の発展の歴史は科学にしろ芸術にしろ全て軍隊のありように寄り添ってきたと言えるのだということは知っていた方がいいのですね。音楽もギリシャ・ローマの時代から戦いの前に人の心を鼓舞するために使われ、宗教的な色彩はうけたものの、中世の十字軍も近世の大陸の王家継承戦争も近代の戦争もみな背景には音楽が使われ、その音楽は芸術のための音楽ではなく実用のための音楽として芸術家も糧を得るために作曲を続け、民衆は親しみをこめてそれらの曲を聴き歌い続けてきたということなのです。国歌だってフランス革命以降の国民意識のなかから生まれ、戦いのためのアイデンティティであったわけです。多くの国歌は独立戦争や存続のための戦いの中から生まれてきたというわけです。戦いがなければ人類の発展はなかったというのはまぎれもない事実なのでしょう。
 カタカナが多くて読みにくい文章でもありますが、ところどころハッと気づかせる内容でした。

「音楽のヨーロッパ史」上尾信也 講談社現代新書
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TEAMという言葉

2005-07-07 | 雑誌
 ラグビーの平尾氏が書いているコラムにスポーツにしろ企業にしろ、チームTEAMが大切だと書いてありました。平尾氏の造語なのかそうでないのかはわかりませんが、T=Technorogy技術、E=Emotion感情、A=Activity(行動)、M=Motivation(動機づけ)ということだそうです。特にエモーションは組織の表現力ということで感情を素直に表現できる組織は一体感が生まれ、モチベーションは個々が高めていく要素だということである。とはいえ、モチベーションの維持は中間管理職がもっとも気を使うところでなかなか個々の意識に頼ることは難しいところだと思う。しかし、TEAMとはよくまとまった言葉だと思う。ほうれん草(報告、連絡、相談)とかPDSC(Plan Do See Check)いう言葉が有名ですがこれに加えてもいい言葉だと思いましたね。

「ラガーマンの眼 平尾誠二」日経ビジネス 7/4号
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