井上靖の楼蘭を読了。12編の短編集です。8編は表題通り古代中国を舞台にしたものですが、4編は日本が舞台のものです。以前ブラタモリが那智・熊野を巡ったとき、海岸の補陀落寺のロケがありました。補陀落寺は山から下りてきて海岸にぶつかった所にあるのですが、そこが終わりでは無く、海に出て観音に会いに行くという出発の場であったという話でした。上人が小舟に(ほぼ監禁状態で)乗って渡海するということが昔何回もあったということで、舟も展示されていたのですが、それを記した補陀落渡海記というのが、ブラタモリをみたおかげでよく理解できたのは面白かったです。明智光秀の本能寺の変は丹波平定時の地侍の怨霊が一因であったとい話、明治の磐梯山噴火の話など、こちらの話もとても面白かったです。
「楼蘭」井上靖 新潮文庫kindle版