活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

地震と日本経済

2004-11-30 | 雑誌
 日本列島は平穏な時期を過ぎていよいよ地震周期に入ったと言っていいでしょう。阪神淡路辺りから始まって(相変わらず北海道はよく揺れますが),中越地震ときて今度は関東直下が疑われています。阪神淡路の被害総額は10兆円。中越地震は地方都市で山間部ということもあって3兆円と見積もられていますが,関東直下では60兆円とも言われているようです。国家予算が消えてしまうような規模ですね。そしてその後数年は日本は生活程度の低下は免れないだろうと言われています。関東直下は40年以内に70%なんていいますから今にも来そうな確率です(中越地震の予想確率は数%以下だったのに)。
 関東直下もそうですが東海・東南海地震も(50年以内には)100%起こると言われているわけですが,怖いのは新幹線と浜岡原発。特に原発の方は建設以来一度も検査していないなんて箇所があるのですから,原発は安全と言っている人たちの真意がわかりません。中越の時もバックアップ電源が切れて物事が動かないなんてことがありましたが,炉心停止後停電なんて不測の事態(冷却水が循環しなくなる)が絶対無いなんてことも言いきれるかどうか。正直な情報を開示してもらいたいものです。
 でもそんなことに気を回している人も無いようなたたずまいで街は年の瀬を迎えようとしています。

「地震と日本経済」エコノミスト12/7号 毎日新聞社
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パラドックス大全

2004-11-26 | 単行本
 パラドックス=逆説とは入り込むと迷宮のような世界です。有名なアキレスと亀のかけっこ(アキレスは永久に亀に追いつけない)の話などもこの手の話で,理解しようとすればするほど迷宮に迷い込んでしまいます。論理学や数学など頭の中がしっかりと整理されていないとなかなか理解が進みません。早く読んでしまおうと斜め読みしてもダメです。行間を読むようにじっくり読まないと何を言っているんだか結局かなり前に戻って読み直すということになってしまいます。速読には一番向かない話ですが,こういう話って好き嫌いがハッキリしているというか,わかるわからないがハッキリしているっていうか,うーむ,自分でなに言っているんだか判らなくなってきた。

「パラドックス大全」ウィリアム・パウンドストーン,松浦俊輔訳,青土社
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ローマ人の物語16パックスロマーナ(下)

2004-11-22 | 文庫
 アウグストゥスはカエサルの引いた帝国の路線を基本的には継承するものの、自分流というものも残した。その一つがゲルマン民族との防衛線をライン川からエルベ川まで拡大したこと。もう一つが後継者には血の流れを重視したことだ。エルベ川への防衛線拡大は結局失敗する。アウグストゥス自身が戦線の先頭に立つことが無く(元々軍人としての才覚が無く、カエサルもそこを見抜いていたためアグリッパというおつきを配した)、そのため戦況の分析力がカエサルに比べると劣っていたのだ。またカエサルの軍人として評価が高かった理由が現場主義、能力主義にあったのに比べて、どうしても机上の思惑で物事を運ぼうとしたことが失敗の原因ともいえた。同時にそのことが徹底的に後継皇帝には自分の血筋にこだわり続けることになる。あわてず、ゆっくりと改革をしたことが、帝国化の完成という一大事業を成し遂げ、それがアウグストゥスの真価であったのだが、やはり彼も人間であったということなのだろう。いよいよパックス・ロマーナと言われる地中海の平和と繁栄が始まる。

「ローマ人の物語16パックスロマーナ(下)」塩野七生、新潮文庫
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ローマ人の物語15パックスロマーナ(中)

2004-11-20 | 文庫
 アウグストゥスはカエサルの引いた路線を踏襲し帝国化への道を進んだが、大きく違っていたのは2点あったようだ。一つはゲルマンとの防衛線をライン川からエルベ川へ拡大したこと。もう一つは後継者にあくまで血にこだわったことだ。カエサルは自身が軍人としても優秀だったからきわめて現場主義で問題を解決した。能力第一主義だったのだ。アウグストゥスは軍人としてはからっきしダメでカエサルがつけてくれたアグリッパに頼り切ったばかりでなく、戦地に赴いても後方からの指示に終始した。そんなこともあって能力主義であることはあったが徹底できず、特に後継者には血統をひたすら重視した。我が子にこだわることもなかったが自らの血が混ざっていることしか考えなかった。いくつかの不運があって思うような後継者に恵まれなかったが、その過程はおかしみさえ感じられる。

「ローマ人の物語15パックスロマーナ(中)」塩野七生、新潮文庫
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ローマ人の物語14 パックスロマーナ(上)

2004-11-17 | 文庫
 カエサル暗殺後の混乱を制したオクタビアヌス改めアウグストゥス(8月の英語名オーガストの語源ですよね。ちなみにユリウス・カエサルはユリウスの英読みジュリアスという名が7月ジュライになってますね)が事実上治世を握りますが,すんなりと帝政になったわけではないのですね。受験で学んだ世界史だとこのあたりはすーっと行ってしまうのですが。カエサルが暗殺されたのは急ぎすぎた改革ということを認識し,ゆっくりとじっくりと元老院と民衆を操っていきます。操られた側は操られたとは思ってもいないのですが。

「ローマ人の物語14 パックスロマーナ(上)」塩野七生 新潮文庫
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へんないきもの

2004-11-10 | 単行本
 こんな生き物が地球上にいるのかいな、と深く感動してしまう本でした。ファイナルファンタジーに出てくるデザートワームのようなのが我々の身近な海にいるんです。もっともウミウシの仲間ですから大きさは手に乗るサイズで人間が吸い込まれるということはないのですが。真空中でも150℃の高温でも放射能の中でも生きながらえる生き物がいるとか信じられますか?また、著者は生物学者ではなくデザイナーなので説明文がとても笑わせてくれます。また写真でなくイラストで載せていますから特徴がとてもわかりやすいです。また、おじさんには懐かしい「つちのこ」は何処へというのと、あの「たまちゃん」は何処へというコラムもあります。
 著者の言ではありませんが、火星探査もいいですが深海探査をもっと行うと新生物がまだまだ見つかると言うことです。地球はまだまだ奥が深い。

「へんないきもの」早川いくを、バジリコ
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書斎&DEN

2004-11-05 | 雑誌
 小生は人の書斎ってすごーっく気になるタイプなんですな。どんな蔵書がどんな部屋にしまわれ、また文筆業ならどんな机でどんなペンでどんな原稿用紙にどんな字で、または最近はどんなパソコンでというのが載っていると思わずゲットしてしまいます。先日の池波正太郎特集の雑誌を買ったのもそんな観点でしたし、もちろん今回もそう。今回が初めてではないのですが、内藤陳の書斎(一般的には書斎と言うよりも蔵書部屋というかプライベートルーム)には圧倒されます。古本屋以上に積み重ねられたいかにも崩れそうな文庫の山は他のどの作家や蔵書家のそれよりも本好きの血の匂いが伝わってくるようです。一般的に作家は資料集めをしますから蔵書が山になります。司馬遼太郎なども歴史小説を1本書くために神田の古本屋街からそれ関係の本が一時的に消えてしまうほど買い集めたといいます(もっとも完成の暁には売ってしまったそうですが)。
 かくいう小生の書斎はもともと納戸を使って机なども入れていたのですが、いつのまにか元の納戸に戻ってしまい雑然としています。最近はどちらかというと通勤電車が読書場で食卓が書斎机です。

「書斎&DEN]男の隠れ家12月号
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ニューギニア山岳戦

2004-11-02 | 単行本
 昭和19年上半期の直木賞受賞作です。メディア統制の中で書かれた戦記物ですが、日本軍のニューギニア侵攻の様子が(従軍記者だった実体験を元に)生々しく書かれています。ロジスティックの語源ともなる戦略物資の補給線が乏しくまた軽視されていたことが読み取れるのですが、当時はそういう感覚はなく精神力で突き進む日本軍の勇ましさという観点の方で読まれたのではないでしょうか。
 米一合を何日にも渡って食いつなぎつつ(まさに精神力で)4千m級の山々を乗り越えて進軍し、さて敵基地を総攻撃というときに、ガダルカナルの全滅などの戦況の変化で同じ道を敵に追われながら撤退していくというなんとも兵隊にとっては切ない話です。

「ニューギニア山岳戦」岡田誠三 メディアファクトリー
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