
今日は懐かしい10インチLPレコードからグリンカのオペラ代表作「イワン・スサーニン」を取り上げてみたいと思う。(写真)グリンカ(Mikhail Ivanovich Glinka/1804~1857)は「ロシア国民音楽の祖」と呼ばれている人である。しかし日本ではまだコンサートのアンコールなどでよく演奏される歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲が馴染み深いところだろうか・・・
この「イワン・スサーニン」というオペラは先の「ルスランとリュドミラ」より前、1836年の作品で彼の「ロシア国民歌劇」として最初の成功作でもあった。題材は1612年「ロマノフ王朝」成立期の内乱に乗じて侵攻したポーランド軍を農夫スサーニンが巧みに欺き雪深い森の中に導いたが気づかれ殺されてしまう彼の英雄的物語である。1836年ペテルブルグ初演時は4幕とエピローグを持つ「イワン・スサーニン」のタイトルで上演されたが帝政賛美のために時の皇帝ニコライ1世が題名を「皇帝に捧げた命」と改題させた。因みに題名がオリジナルの「イワン・スサーニン」に戻ったのは1939年のことである。
現在このオペラ全曲の国内盤はなく最近では英カプリッチョ(CAPRICCO)盤(イワン・マリノフ指揮ソフィア国立歌劇場盤)出たくらいである。写真のLPはワシリー・ネボルシン(1898~1958)指揮ボリショイ劇場管弦楽団・合唱団他によるハイライト盤でおそらく1950年前後の録音と思われる。(新世界レコード/PH-30)モノラル録音のため時代を感じさせるが各幕の一番の聴きどころを一つづつピックアップしてうまくまとめてある。終幕の合唱とモスクワのロシア正教会の鐘が高らかに鳴り響くところは圧巻である。
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