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私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

「カール・リヒター/バッハ・チェンバロ・リサイタル」

2010-09-21 22:05:10 | 器楽曲
 今日は久しぶりにレコード棚からカール・リヒター(Karl Richter/1926~1981)がチェンバロを弾く「カール・リヒター/バッハ・チェンバロ・リサイタル」と題する写真のLPを聴いた。リヒターは今さら言うまでもなく20世紀最高のバッハ解釈の第一人者であったが55歳に満たない若さで惜しまれこの世を去ってしまった。考えてみると彼が遺したチェンバロ・ソロの録音はこのレコードの他には「ゴールドベルク」ぐらいしかないと思われるのでこれも貴重な1枚である。(写真/国内盤グラモフォンMG2240)
 収録作品は「イタリア協奏曲ヘ長調BWV971」・「半音階的幻想曲とフーガニ短調BWV903」・「トッカータとフーガト短調BWV915」・「パストラーレ ヘ長調BWV590」・「幻想曲ハ短調BWV906」の5曲でもちろんリヒター唯一の録音である。
この録音は記録によれば1969年11月、ミュンヘンで行われている。確かこの国内盤の発売は1971年だったと記憶しているで筆者が学生時代に初めて購入したリヒターのバッハのLPでもあった。今改めて聴いても彼のチェンバロの演奏は骨太でダイナミックなところに魅力を感じる。彼が同様に「ドイツ・グラモフォン」に1964年に録音した「オルガン・リサイタル」と共に今後も彼の不滅の名盤として輝くことだろう。

舘野 泉 /小泉八雲の怪談によるバラード」(ノルドグレン)

2010-09-01 19:35:40 | 器楽曲
 今年の夏は連日異常な暑さが続いている。9月に入ってもまだ暫らくこの酷暑が続きそうだが先日この暑さを何とか凌ぐために松戸の席亭で催された「怪談噺の会」に足を運んでみた。そこで演じられたのは三遊亭円朝作と言われる怪談「江島屋騒動」の一席であったが場内の灯りを落としロウソクの火の中で聴く「怪談噺」はまた格別な味があった。
 さて音楽にも何か「涼」もとめたものがないかとレコード棚をあたってみたところ写真の舘野 泉が弾くフィンランドの作曲家ノルドグレン(Pehr Henrik Nordgren/1944~ )の「小泉八雲の怪談話によるバラード」第2集が目に留まったので久しぶりに針をおろしてみた。このLPは今から30年以上前の1977年7月に東京(EMI第1スタジオ)でレコーディングされたもので彼はこれ以前にも同バラード集の「第1集ー(耳なし芳一ほか)」を録音していた。因みにこの「第2集」(LF91037)には「食人鬼」・「お貞」・「ろくろ首」・「安芸之助の夢」・「十六桜」の5曲が収録されている。
 いずれの作品も作曲者ノルドグレンが1970年~72年にかけて日本に滞在した際に読んだ小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の有名な「怪談集」からヒントを得て作曲した10曲からなるバラードである。「プロ・ユース・シリーズ」として76cm/secハーフ・カッティングされたこの超ステレオ盤は舘野が弾くピアノの音を鋭く捉えその音質はすこぶる良好である。音楽作品と八雲の小説の一話・一話とのイメージが直接結びつくものではないにしても「八雲」が描く怪談の世界をピアノ・タッチ(動の世界)で表現しているところに興味がわく。

ラベック姉妹による「ペトルーシカ」より3つの楽章

2010-05-15 20:30:08 | 器楽曲
 今日は久しぶりにラベック姉妹によるストラヴィンスキーの舞踊音楽「ペトルーシカ」より3つの楽章ほかを写真のLPで聴いた。今さら云うまでもないことだが彼女たちの息の合った洗練されたピアノ・テクニックは素晴らしい。ラベック姉妹ーカーティア&マリエル・ラベックはフランスの美人姉妹ピアノ・デュオである。もう一昔前の話になるが彼女たちが「N響定期」に客演、プーランクの「2台のピアノと管弦楽のための協奏曲」を見事に弾いていたことを思い出す。
 写真のLP盤は1982年に録音されたものだが彼女たちの初のストラヴィンスキーであった。第1面に「2台のピアノのための協奏曲」、第2面に「ペトルーシカ」より3つの楽章が収録されている。どちらも名演だが私は特に第2面の「ペトルーシカ」の演奏が興味深い。この作品は作曲者自身がピアノ独奏用や四手連弾版に編曲したものが存在するがここで彼女たちが弾いているのはロシア出身のヴィクター・バビンの編曲による「2台によるピアノ版」である。3つの楽章とは「ロシアの踊り」・「ペトルーシカの小屋で」・「謝肉祭の日」の3曲である。

グールドのヘンデル/「ハープシコード組曲」

2010-05-08 10:14:57 | 器楽曲
 普段、私はバッハやヘンデルのレコードに針をおろすことが少ない。またそれらのコレクションの数も全体からみれば微々たるものである。しかし時たま聴いてみたくなる時が不思議とあるものだ。今日取り上げるグレン・グールド(Glenn Gould/1932~1982)のヘンデル「ハープシコード組曲」もそんな1枚である。(写真/CBSソニーSOCL1146)
 このレコードは今や伝説の人ーグレン・グールドが遺した唯一の「ハープシコード(チェンバロ(独)/クラヴサン(仏)」を弾いた録音で興味を持ち購入した。ヘンデルの「ハープシコード組曲」と呼ばれる作品には「第1巻」(第1番~第8番/1720年)と「第2巻」(第1番~第9番/1732/33年)があるがグールドは前者、「第1巻」の「第1番」から「第4番」までを順番に録音しただけに終わってしまった。大変残念な気がするがこれは結果論でいたしかたない。しかし録音されたこれらを聴くと彼らしい装飾音を持った「即興的」演奏を充分に楽しむことができる非常に興味深い演奏である。尚この録音は1972年、カナダ・トロントの「イートン・スタジオ」で行われている。
 
 

個性派ピアニスト、サンソン・フランソワの「ドビュッシー名演集」

2010-04-19 23:29:34 | 器楽曲
 過日紹介した個性派ピアニスト、サンソン・フランソワ(Samson François/1924~1970)のラヴェルの二つの「ピアノ協奏曲」と並んでドビュッシーのピアノ作品集も忘れがたい名盤である。写真のLPは今から約30年近く前に東芝EMIの「NEW ANGEL BEST100シリーズ」の1枚としてリリースされたものだが彼の色彩感あふれる個性的なドビュッシーを聴くことができる。
 収録曲は組曲4作品ー「子供の領分」・「版画」・「ベルガマスク組曲」・「ピアノのために」である。これらは当時彼が録音進行中であった「ドビュッシーピアノ作品全集」からの選曲だが特に「版画」の第3曲「雨の庭」と「ベルガマスク組曲」の最も有名な第3曲「月の光」、第4曲「パスピエ」は聴きものである。彼は心臓発作で急逝したため全集録音は未完で終わってしまったが個性派ピアニスト、フランソワの魅力を余すところなく伝えている。

今も「超名盤」に輝くポリーニのショパン/「エチュード」Op.10&25

2010-04-04 12:20:32 | 器楽曲
 今日取り上げたいレコードはポリーニがまだ弱冠30歳の時にレコーディングした難曲中の難曲とも言われるショパンの「エチュード」作品10,25の全曲盤である。写真はその1973年に発売されたドイツ・グラモフォン国内盤の初出LP(MG2389)である。イタリアのピアニスト、マウリツィオ・ポリーニ(Maurizio Pollini/1942~ )は今や巨匠の域だがこの若き日の録音ショパンの「エチュード」は彼のピアノ技巧が実に自然体で聴き手の耳に伝わってくる1枚だ。30歳の若さにしてこのような難曲をサラっと弾きこなしてしまうところが彼の魅力の一つで作品10の名曲中の名曲第3番ホ長調「別れの曲」や最後の第12番ハ短調「革命」などは素晴らしいの一語につきる。そこにはポリーニの情感がこめられたショパンのロマンチシズムあふれる世界がある。
「1960年ショパン・コンクール」で彼が18歳の若さで優勝したことは今さら言うまでもないことだがその12年後に録音したこの「ショパン・エチュード集」は彼の最初の記念すべきドイツ・グラモフォンへの「ショパン・アルバム」でもある。今後も彼の「超名盤」の一つに輝き続けるであろう。
 
 
 


モーツアルトのスペシャリスト、内田光子の「ピアノ・ソナタ全集」

2010-04-01 21:50:11 | 器楽曲
 今や「世界のウチダ」とてウィーン・フィル、ベルリン・フィルをはじめ世界のメジャー・オーケストラとの共演や世界の主要音楽祭への出演など大活躍中のピアニスト内田光子が1983年から87年にかけて取り組んだ「モーツアルト/ピアノ・ソナタ全集」を紹介したい。(写真)この全集録音により彼女は世界的なモーツアルトのスペシャリストとして高い評価を得たと言っても過言ではないだろう。
 この全集を改めてじっくりと聴きなおしてみると彼女のモーツアルト作品に対する深い洞察力がうかがえる。どの演奏にも共通して言えることだが一音一音を色彩豊かなニュアンスで表現しているところが魅力的である。特に各「緩徐楽章」においては彼女のモーツアルトへの情感がたっぷりと味わえるまさに独擅場である。中でも「第11番イ長調K.331」・「第14番ハ短調K.457」・「第15番ハ長調K.545」の演奏は絶品だ。

マルタ・アルゲリッチの「ショパン/ピアノ・ソナタ第3番ロ短調」

2010-03-29 22:37:53 | 器楽曲
 筆者が最初にショパンの「ピアノ・ソナタ第3番ロ短調作品58」を生で聴いたのは1970年マルタ・アルゲリッチの初来日公演だったと思う。当時聴いた印象はなんと感情表現が豊かでダイナミックな演奏をするピアニストといった感じだった。そして彼女の演奏が気に入り購入したレコードが写真、ドイツ・グラモフォンの国内盤(MG2130)であった。この録音は彼女が「1965年ショパン国際ピアノ・コンクール」で優勝して約2年後にミュンヘンで行われている。このレコードの演奏も当時20代とは思えないほどの彼女のスケール感のあるロマンティシズムあふれるショパンが聴ける。
 この「第3番」はショパンの最後のピアノ・ソナタ作品で有名な「葬送行進曲」を第3楽章に持つ「第2番変ロ短調」と共に親しまれている。作品の「円熟度」から見ればむしろ「第2番」を凌ぐ力作であろう。またこのLPの第2面に収録されている「幻想ポロネーズ」・「英雄ポロネーズ」並びに「3つのマズルカ作品」もアルゲリッチの技量が余すところなく発揮された好演である。また今年は「ショパン生誕200年」の記念すべき年にもあたりコンサート等をはじめとして彼の作品が取り上げれる機会も多いことだろう。


 

「リヒテル東京ライヴ1979」から

2010-03-18 01:24:54 | 器楽曲
 ロシアのピアノの巨匠スヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter/1915~1997)はどちらかと言えば録音嫌いのピアニストだった。しかし彼が生涯に遺したレコード録音の数はコンサート・ライヴを含めるとそこそこの数にのぼる。とりわけ私が好んでよく聴くLPは写真の1979年2月の来日公演のライヴ盤である。
 この来日公演で彼が主として取り上げたプログラムはシューベルトであった。そしてそれらのコンサート・ライヴがデジタルでレコーディングされ国内盤はビクターから1981年4枚のLPでリリースされた。写真はそのシリーズの中の1枚でシューベルト「楽興の時」Op.94(D.780)から「第1番ハ長調」・「第3番ヘ長調」・「第6番変イ長調」の3曲、「即興曲集Op.90(D.899)から「第2番変ホ長調」・「第4番変イ長調」の2曲、シューマン「幻想小曲集Op.12」から第5曲「夜」・第7曲「夢のもつれ」の2曲が収録されている。録音は東京厚生年金会館・東京文化会館・NHKホールのそれぞれ3つの会場でのコンサートからの編集である。今改めて聴きなおしてみるとライヴ録音ならではの会場の興奮した聴衆の拍手も収録されており緊張感とスリルがひしひしと伝わってくる演奏でリヒテルのピアノ・テクニックの巧さは今さら言うまでもない。(写真/ビクターVIC28047)

ブラームス/交響曲第4番(4手ピアノ連弾用編曲版)

2010-02-23 23:01:30 | 器楽曲
 ブラームスは自作の「交響曲第4番ホ短調作品98」を自身の手で4手ピアノ連弾用に編曲をおこなっている。ブラームスの最後の交響曲となった第4番は1884年~85年にかけて作曲され楽譜は1886年1月に出版社「ジムロック」より出版されている。そしてこの「4手ピアノ連弾用」は1年遅れて翌1887年1月に同社より出版された。しかし一般的には「ピアノ版」の方が「オーケストラ版」より先に書かれたと考えられている。その理由の一つとして「ピアノ版」の第1楽章は「アレグロ・ノン・アッサイ」の表示になっているがオーケストラ版では「アッサイ」の表示をブラームス自身の消しこみで「トロッポ」に書き換えている点にある。
 写真のLPレコードはベルギーの「パヴァーヌ」レーベルより1983年にリリースされたデュオ・クロムランク(パトリック・クロムランク/桑田妙子 夫妻)による4手ピアノ連弾演奏である。(PAVANE-ADW7119)もちろんこれが「4手ピアノ連弾演奏による世界初録音(1982年)のレコードであり二人への評価が高まり注目を浴びるきっかけとなった録音でもあった。クロムランク夫妻は1974年から1994年まで「デュオ・クロムランク」として演奏活動を続け活躍しスイスのレコード会社「クラーヴェス」レーベルにも多くの録音を遺したが1994年7月、活動の頂点にして二人はブリュッセルで悲劇的な自殺による死を遂げている。