
来年は「孤高の天才ピアニスト」と云われたグレン・グールド(Glenn Gould/1932~1982)が亡くなり早、30年をむかえる。私はどちらかと言えばこれまでこのピアニストのレコード(CD)にそれほど耳を傾けることがなかったが最近になりまた関心を持つようになった。そのきっかけとなったのが写真のベートーヴェンの「3大ソナタ集」である。
彼独特の演奏スタイルに時には興味が湧きまた時には抵抗を感じたこともあった。この「3大ソンタ集」に収められた第23番「熱情」の極端なテンポの遅さは彼がストコフスキー&アメリカ交響楽団とレコーデングした協奏曲第5番「皇帝」第1楽章冒頭のデフォルメしたピアノ・タッチと同様に大変興味深い演奏のひとつであろう。今、何かで読んだことがある「ベートーヴェンのピアノ・ソナタを別のテンポで弾いてみるとまるで人工衛星から地球を見下ろしているような感がする・・・」と云うようなグールド自身の言葉を思い出した。
(写真/グールドー、ベートーヴェン/「悲愴」・「月光」・「熱情」1966-67録音)