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私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

グールドのベートーヴェン ー 3大ピアノ・ソナタ

2011-12-22 11:27:24 | 器楽曲

 来年は「孤高の天才ピアニスト」と云われたグレン・グールド(Glenn Gould/1932~1982)が亡くなり早、30年をむかえる。私はどちらかと言えばこれまでこのピアニストのレコード(CD)にそれほど耳を傾けることがなかったが最近になりまた関心を持つようになった。そのきっかけとなったのが写真のベートーヴェンの「3大ソナタ集」である。
 彼独特の演奏スタイルに時には興味が湧きまた時には抵抗を感じたこともあった。この「3大ソンタ集」に収められた第23番「熱情」の極端なテンポの遅さは彼がストコフスキー&アメリカ交響楽団とレコーデングした協奏曲第5番「皇帝」第1楽章冒頭のデフォルメしたピアノ・タッチと同様に大変興味深い演奏のひとつであろう。今、何かで読んだことがある「ベートーヴェンのピアノ・ソナタを別のテンポで弾いてみるとまるで人工衛星から地球を見下ろしているような感がする・・・」と云うようなグールド自身の言葉を思い出した。
 (写真/グールドー、ベートーヴェン/「悲愴」・「月光」・「熱情」1966-67録音)

クラウディオ・アラウの「リスト作品集」

2011-12-16 19:58:31 | 器楽曲

 南米チリ出身の20世紀を代表するピアノの巨匠クラウディオ・アラウ(Claudio Arrau/1903~1991)はベートーヴェン弾きのイメージが強かった。実際、筆者も彼のベートーヴェンのレコードをよく買い求めたものだった。もう40年以上も昔になるが彼が1968年に来日した際に新宿・厚生年金会館大ホールで聴いたベートーヴェン/ピアノ・ソナタ「ワルトシュタイン」の演奏は今も忘れることができない。またこの時プログラムのラストを飾ったリストの作品「エステ荘の噴水」ほかも印象的だった。彼はリストの作品をSPレコード時代からレコーディングしておりベートーヴェンと並んで得意のレパトリーにしていた。
 写真(上)はアラウが66歳、1969年にフィリップスに録音したリストの作品を集めたLPアルバムである。収録作品は「ペトラルカのソネット第104番・第123番(巡礼の年第2年/イタリア)」・「バラード第2番ロ短調」・「オーバーマンの谷(巡礼の年第1年/スイス)」・「忘れられた円舞曲第1番嬰ヘ長調」・「エステ荘の噴水(巡礼の年第3年)」の全6曲が収められている。今改めてこれらの彼の演奏に耳を傾けると自然にリストの華麗で甘美な旋律の世界に引き込まれてしまう。まさに円熟期に達した最高潮のアラウが聴ける1枚ではないかと思う。

(クラウディオ・アラウ、1968年10月来日公演プログラム)
 
 

ツィマーマンのDGデビュー盤 - 「モーツアルト/ピアノ・ソナタ集」

2011-12-05 13:56:21 | 器楽曲

 今日紹介するLPレコードはクリスティアン・ツィマーマンの「ドイツ・グラモフォン」への本格的スタジオ録音デビュー盤でもある懐かしいモーツアルトの「ピアノ・ソナタ集」である。(写真/DG国内盤MG1148)今さら云うまでもないが彼は1975年の「ショパン国際ピアノ・コンクール」で18歳の若さで見事優勝しこの時のライヴ録音も当時発売され世界的に話題を呼んだがその後1978年1月にスタジオ・レコーディングされたDG第1弾がこのモーツアルトの4つのピアノ・ソナタであった。
 LPには「第2番ヘ長調K.280」・「第3番変ロ長調K.281」・「第9番ニ長調K.311」・「第10番ハ長調K.330」の4曲が収録されている。ツィマーマンの美学とでも云うべきかフレーズが大変美しく響くモーツアルトである。現在のところこれが彼の唯一のモーツアルトのピアノ・ソナタ録音と思われる。今や50歳代の半ばに達した益々円熟した彼のモーツアルト後期ソナタもぜひ聴いて見たいものである。


コンタルスキー兄弟が弾くブラームス「ハンガリー舞曲集」(1976年録音)

2011-08-09 22:08:35 | 器楽曲

 アロイス(Aloys)&アルフォンス(Alfons)・コンタルスキー兄弟によるブラームス「ハンガリー舞曲集」のレコード(写真)を取り出し十数年ぶりに針を下ろした。コンタルスキー兄弟はドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州のイーザーローン(Iserlohn)出身の現代音楽を得意とする国際的「ピアノ・デュオ」である。
 このLPレコード(DG国内盤/MG1033)がリリースされたのも今から30年以上も昔のことで筆者のレコード棚に仕舞ったままになっていた。オーケストラ版で聴く「ハンガリー舞曲」も管弦楽の色彩感が豊かで素晴らしい魅力があるがこのオリジナルのピアノ連弾による演奏もまた格別な味がある。彼らの磨きぬかれたテクニックによる息の合った演奏は実に爽やかで歯切れがいい。この録音の後、彼らは「同レーベル」にブラームスの「2台のピアノのためのソナタ」、「ハイドンの主題による変奏曲」(2台のピアノ版)も録音している。(1978年録音)

アンネローゼ・シュミット、R.シューマン「クライスレリアーナ」

2011-07-22 18:06:34 | 器楽曲

 今日は久しぶりにアンネローゼ・シュミット(Annerose Schmidt)が弾くロベルト・シューマンの「クライスレリアーナ(Kreisleriana)」の写真のLPに針をおろした。このLPは彼女の当時東独の「VEBシャルプラッテン」録音の第1弾だったと思う。録音年代1973~74年にかけてのものだがレコード第ニ面の余白に「ウィーンの謝肉祭の道化」も収録されている。写真は当時購入した国内初出盤ーETERNA/ET-3030(1975年発売)のLPである。
 彼女は当時東独を代表する名女流ピアニストで1956年には「国際ロベルト・シューマン・コンクール」で優勝、さらに1964年には「ロベルト・シューマン国際メダル」を受賞するなどの実力者である。また1970年に最年少で「国際ショパン・コンクール」の審査員にも招待されている。筆者が初めて彼女の生演奏を聴いたのは1976年11月の「読売日本交響楽団」定期公演に客演した時だった。因みにこの時彼女が取り上げた作品はなんとブラームスの「ピアノ協奏曲第2番変ロ長調」であった。(1976年11月18日、東京文化会館/指揮テオドール・グシュルバウアー)
 話を本題に戻し、このシューマンのレコードのリリース当時を振リ返ると国内では「レコード・ジャナーリズム」の話題にそれほど上らなかったと記憶するが今改めて聴き直し彼女の繊細なピアノ・タッチが印象的でその上品な響きにうっとりしてしまった。伝えるところによると彼女は残念なことに現在はコンサート・ピアニストから引退しているとのことである。

クン・ウー・パイク、ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ」(デッカ録音)

2011-07-07 20:45:41 | 器楽曲

 昨日まで韓国、ソウルぶらり旅に出かけ現地の最近の「CDショップ」廻りも楽しんできた。一昔前のソウルの街には東京と同様にレコード(CD)店があちこちに点在していたが現在はそのほとんどが姿を消している。これもパソコンの普及による音楽の情報が簡単なダウンロード等で入手できることが大きな要因になっているのだろう。
 このような状況下、今回は現在も営業を続けている数少ない「CDショップ」をいくつか回り韓国の国際的ピアニスト、クン・ウー・パイク(Kun-Woo Paik)が2005年から2007年にかけて「デッカ」にレコーディングした「ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集」から特に親しみ深い副題付きソナター7曲を収録したCD等を求めてみた。(写真/韓国ユニバーサルーDD7917)
 彼は1946年生まれなので今年65歳、まさに円熟したピアニストの一人だがこのベートーヴェンを聴いてもそれは充分にうかがい知ることができる。また彼が弾くラヴェルやスクリャービンなども以前から定評があり数々の賞も受賞しておりそのレパートリーも広い。特に2000年以降「デッカ」と録音契約を結び彼の名声は世界的に飛躍した。このベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ」は彼のピアノ・テクニックもさることながら繊細な感覚が独自の斬新な「ベートーヴェン像」を映し出した快演である。今後のさらなる活躍が期待できるピアニストの一人でもある。
 

 

ミケランジェリの美学ー「ドビュッシー/「映像」第1集・第2集ほか

2011-05-25 17:43:43 | 器楽曲

 本日紹介するLP盤は今やイタリアの「伝説のピアニスト」と言って過言ではない名匠アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(Arturo Benedetti Michelangeli/1920~1995)が1971年に「ドイツ・グラモフォン」に初録音したドビュッシーの「映像」第1集・第2集、「子供の領分」の国内初出盤である。(1972年発売/MG2324)その後彼は「前奏曲集第1巻」を1975年、「同第2巻」も1988年に同レーベルに録音しこれらは当時大変話題を呼び現在ではCD化もされ彼の音楽美学を集大成した誉れの高い名盤として輝いている。
 このレコードを聴くと彼の圧倒的なピアノ・テクニックとその透明感ある美しい音色にうっとりとさせれてしまう。勿論、彼のレパートリーは広くドビュッシー以外にはショパン、シューマン、ベートーヴェン等々の作品がコンサート・プログラムにも並んでいた。とりわけ筆者は彼が弾くドビュッシーには強く魅力を感じている。今彼の来日公演を振り返ってみると初来日は意外に古く1965年であった。その後何度なく来日しているが彼自身のコンディション等でキャンセルになった公演も度々あった。因みに筆者が一番印象に残った公演は最後の来日となった1992年のチェリビダッケ/ミュンヘン・フィルとの共演(シューマン/ピアノ協奏曲イ短調作品54)である。



ウィルヘルム・ケンプのシューベルト「即興曲集」

2011-04-02 11:54:54 | 器楽曲

(ケンプ/シューベルト/「4つの即興曲」-DG国内盤MG2122/1970年発売)
 
 ウィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff/1895~1991)はベートーヴェンと共にシューベルトも得意にしており「ドイツ・グラモフォン」に「ピアノ・ソナタ全曲」をはじめとして数多くの録音を遺している。今回取り上げる写真の「即興曲集」も筆者の好きな演奏のひとつで昔から名盤としての定評がある。
 シューベルトの「即興曲」はいずれも作曲者の自筆譜がないため正確な作曲年代が不詳であるが最晩年の1827年、28年頃の作品ではないかと推測されている。作品はD.899(作品90)とD.935(作品142)の二つでどちらも4曲から成っている。作品はシューベルトの個性が余すところなく味わえる叙情的旋律で美しい。
 この録音は1965年のハノーファー、べートーヴェンザールにおけるステレオ録音でその後彼はこの作品を再録音しなかったのでこれが唯一の「即興曲(全曲)」録音になる。

 

キース・ジャレットのショスタコーヴィチ「24の前奏曲とフーガ」

2011-02-03 19:47:16 | 器楽曲

 米国のジャズ&クラシック・ピアニスト、キース・ジャレット(Keith Jarrett/1945~ )についてはだいぶ以前に指揮者デニス・ラッセル・デーヴィスとのコンビによるモーツアルトの「ピアノ協奏曲」のCD(独ECMレーベル)についてふれたことがあったと思うが今回はピアノ・ソロ録音からショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ作品87」を取り上げてみたい。(写真/独ECM)
 この作品はショスタコーヴィチが1950年にライプツィヒで開催された「J.S.バッハ没後200年祭」の「第1回国際バッハ・コンクール」の審査員に招かれこのコンクールで見事優勝を飾った当時ソヴィエトのピアニスト、タチアナ・ニコライエーワの演奏に深く感銘したことがきっかけとなり生まれた作品と言われている。事実この作品の全曲初演も1952年に彼女によって行われている。
 キース・ジヤレットは1980年代後半から1990年代にかけて特にクラシック分野に関心を持ち当時、独ECMレーベルに先のモーツアルトをはじめ多くの作品を録音しておりこのショスタコーヴィチの作品も1991年7月にスイスの「ラ・ショー・ド・フォン/La Salle de Musique, La Chaux de Fonds)でレコーディングされた。これはその前に録音されれたJ.S.バッハの「平均律クラヴィア集第1巻・第2巻」、「ゴールドベルク変奏曲」に続く彼の注目されたクラシックのアルバムの一つでもあった。筆者もこの演奏は好んで時々聴いているが彼の驚くべきピアノ・テクニックは一昨日取り上げたジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスと同様に聴き手の心に何かをはたらきかける鋭い魔力みたいなものを感じてしまうアルバムである。

元祖!コンティグリア兄弟盤のベートーヴェン/交響曲第9番(2台のピアノ版)

2010-09-29 18:51:29 | 器楽曲
 リスト(Liszt Franz/1811~1886)はベートーヴェンの交響曲全曲をピアノ版に編曲しているが「交響曲第9番」については後に「2台のための四手連弾用」にさらに編曲を試みた。編曲が完了した正確な年代ははっきりとしないが彼がワイマールに移り住んだ時代と言われているので1850年代の初頭と思われる。写真のLP盤は1977年に「フォノグラム」から廉価盤(PL1021/ステレオ)としてリリースされた「米国コニサー・ソサエティ」録音のリチャード&ジョン・コンティグリア兄弟(双生児)による2台のピアノによる四手連弾の演奏である。ジャケット・デザインは当時の廉価盤を「時で行く」ものであまりパっと見はしないが演奏そのものはなかなかのものである。
 この録音はデータによれば1972年8月にニューヨークで行われており当時この「2台のピアノ版」によるレコードは「コンティグリア兄弟」によるものが唯一のものだったと思われるので言わば「元祖」であった。その後、同版による演奏では「仏ハルモニア・ムンディ」からアラン・プラネス、ジョルジュ・プリュデルマルシェ盤」が出た記憶があるが筆者は未聴である。
 当然のことながら「ピアノ編曲版」のため第4楽章の声楽はないがたまにはベートーヴェンの交響曲をこの「第九」に限らずリスト編曲のピアノ版で聴いてみるのもまた新鮮な気分になり興味深いものがある。