教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

新学習指導要領のゆくえ[04]

2008-02-19 08:29:10 | 文化・芸術
☆反動的というか逆走する新学習指導要領のベクトルだが、総合学習で学んだノウハウは教師の中で生き続けるだろう。

☆ともかく逆走したところで出会う知は、20世紀型産業資本における労働者としてのサバイブ・ノウハウ。これでは実は子どもたちは成長した時に生きていくのは困難である。

☆そこで、

民俗芸能の継承者やスポーツ選手、地場産業の担い手、震災の語り部などを県内の全小中学校へ特別講師として派遣する「出あい・ふれあい・学びあい」授業が、2008年度からスタートする。専門的な知識や技術にふれることで職業観を身につけてもらう狙いがあり、08年度予算案に957万円を計上した。
(読売新聞2008年2月18日)

☆というようなワークショップは継続するだろう。

新学習指導要領のゆくえ[03]

2008-02-19 07:24:12 | 文化・芸術
☆新学習指導要領のゆくえを見定めるには、社会や世界の動きを見通しておくと便利である。

☆岡部憲治さんは、そういうビジョンをまとめるのが得意だし、そういう中で学びの方法論を具体的に考案し、実践もしている。傾聴にいやいや傾読に値する。

☆さて、「新学習指導要領案 主要教科の授業1割増 -予想される世の中の動き(1)-」によると、

「属性別受験戦争」に参戦することになるのだろう。だが、どの属性で参戦するかは子ども自身で判断するのは難しい。ゆえに、親の「判断力」が昔に比べて問われている。つまり、ただ、「勉強しなさい!」と叫んでいればいい時代は既に去り、なぜ、なんのため、子どもがどうしたいのか、人生を選択するための見聞は足りているのか、世の中はどうなっていくのかなど、「情報収集と選択機会」による判断力が必要な時代に入ったのだ。

☆「属性別受験戦争」という局地戦になるというベクトル。あるいは「情報戦略と選択戦略」の時代。やはりかなり大きな知的関数を持った個の時代だなぁ。もはや歯車的な個ではなく、国家レベルの知的戦略を持ちうる可能性を持った個の時代というわけだ。まさにクリエイティブ・クラスの時代である。

市民記者が活躍するフラット化社会

2008-02-18 08:04:31 | 文化・芸術
ITmediaニュース(2月15日11時11分配信)によると、

米Time Warner傘下のCNN Worldwideは2月13日、市民記者サイト「iReport.com」のβ版立ち上げを発表した。3月にはすべてのサービスが利用可能になる予定。iReport.comは、編集者が記事の取捨選択、監視、内容の編集を行わない、完全にユーザー任せのサイトだ。・・・iReport.comでは、ユーザー登録をしなくてもすべてのコンテンツが閲覧できる。また登録すれば、ほかのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)と同様に、プロフィールの作成、音声、写真、ビデオ、テキストの投稿、ほかのiReporterとのコミュニケーションなどが可能となる。

☆CNNがこのレポートから採用するニュースは10%。今までのようなメディアでは、市民の視点の90%は無視されてきたことになる。それが公器とかパブリックとかいう意味の本質だったのか・・・。

☆それゆえ、このiReport.com betaの動きは、メディアの大きな転機である。選挙も遅かれ早かれおそらくはこうなるなぁ。

アツイチーム藤巻兄弟

2008-02-18 07:39:25 | 文化・芸術
時事通信(2月18日7時0分配信)によると、

投資助言会社フジマキ・ジャパン(東京)の藤巻健史社長(57)と実弟の幸夫副社長(48)が18日までにそろってインタビューに応じた。1日付で就任した幸夫氏は、「ライフスタイル全般を対象に、世界に通用する日本発のブランドを手掛けたい」と、企業の再建請け負いにとどまらず、新ビジネスを創造するプロデューサー業を目指すと表明。健史氏は独自の金融人脈と資金調達ノウハウで弟を後押しし「実業分野の企業価値向上に貢献したい」と、出資を視野にファッション事業への進出構想を明らかにした。・・・「衣・食・住」に「遊・知・健(康)・美」をテーマとして加え、「(店頭販売の)リアルと(インターネットや携帯電話販売の)バーチャルを使い分けながら試す」とし、デザイナーを束ねて付加価値を生み出す立場を強調した。 

☆ ポイントは「衣・食・住」に「遊・知・健(康)・美」をテーマとして加えたところ。

☆それから、「リアルとバーチャルを使い分けながら」デザイナーを束ねて付加価値を生み出す企業価値を高める活動をする点だ。

☆数学とアートの共演ということだなぁ。まさにクリエイティブ・クラス。アツイチームだねぇ、藤巻兄弟は。

☆藤巻兄弟の本で短時間でいろいろな発想を沸かせる本は、

藤巻健史さん→「藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義」光文社新書2003年

藤巻幸夫さん→「チームリーダーの教科書」インデックス・コミュニケーションズ2005年

☆両著を読むと経済と商売、知と教育、数学と平和と市場と倫理などなどの関係が見えてきますよ。


新学習指導要領のゆくえ[02]

2008-02-17 15:21:12 | 文化・芸術
産経新聞(2月16日8時2分配信)の論調はスッキリしている。

「学力低下」の大合唱に押され、新しい学習指導要領案は授業時間を増やし、指導内容も現行で削られた事項がかなりの部分復活した。子供たちにしっかり勉強させようというねらいの一方、10分程度の朝自習も授業時間に換算したり、忙しい中学で週1時間授業を増やすなど、まずは時間増ありきの発想から抜け出ていない。・・・新要領の継続的な検証と、産業界が求める「創造力」や、世界標準の学力をどう育てるか検討が必要だろう。

☆問題は世界標準の学力を、学習指導要領が想定していないということの認識があまりになさすぎること。

☆仮にあったとして、世界標準の学びのイメージを現場が持っていないこと。世界標準の学びを実践しているところは、私立中高一貫校の一部と一般には想定されていない小さな場。まだ誰も気づいていない・・・。

新学習指導要領のゆくえ[01]

2008-02-17 13:39:37 | 文化・芸術
読売新聞(2008年2月16日)によると、

「ゆとり教育」からの転換を打ち出した学習指導要領改定案が15日、文部科学省から示された。これを受けて(埼玉)県教育局は、県内の小中学校の教員を対象に、新学習指導要領の説明会を今年夏に実施し、周知徹底を図りたいとしている。現場の教師からは早くも、新要領に期待する声が上がっている。

☆期待の声?とは何ぞや。生徒の学力をあげられる授業ができるということか?まあ、それはたしかに一方では大事である。

☆しかし、どんな学力だろう。3000人ちょっとしか毎年入学できない東京大学に合格させるための学力か?それともハーバード大学やオックスヴィレッジに入学できる学力か?それとも世界の貧困を解決できる学力か?

☆それとも教育基本法に掲げる日本人としての学力か?

☆そのためには、一日学校以外で5時間、塾に通わなくても自立して勉強できる学びの楽しさを知らなくてはね。

☆そうそう教師の給料を平均800万円以上にしなければ、グローバリゼーションの品格は身につかないけど、それはきちんと要求した方がよいですね。もちろん、それに見合った自己鍛錬は必要ですね。専門分野の論文を2年にいっぺんだす。洋書は年に3冊読む。生徒の論文指導を年に一度行い、論文集を編集するプロジェクトチームを監修する。以上。

リーダーは桃太郎型か浦島太郎型か?

2008-02-16 13:18:05 | 文化・芸術
☆どっちでもよい話なのかもしれないが、ダイヤモンド・オンライン(2008年2月15日(金)20:15)によると、

「桃太郎と浦島太郎、あなたはどちらの物語が好きですか」筑波大学産業医学研究室では、講師採用の最終面接で、こんな質問を投げかけるという。予想もしなかった問いに候補者たちは少し戸惑ったあと、たいていこう答えるそうだ。「桃太郎です」。「桃太郎というのは非常に論理的な物語ですからね」と笑うのは、精神科産業医で筑波大学社会医学系教授の松崎一葉氏だ。「鬼が島の鬼退治という目標を設定し、キビダンゴという報酬によってイヌ、サル、キジと主従関係の雇用契約を結ぶ。そして、計画通り、鬼をやっつけて彼らの財宝を手にする。いかにもエリートが好みそうな話です」だが、採用されるのは意外にも「浦島太郎」と答えた候補者。学生たちの指導者に必要なのは、まさに浦島太郎的な要素だからだ。「大学だけではありません。この質問の考案者は元慈恵医科大学精神科牛島定信教授ですが、氏の指摘によれば、うつが深刻化する今の企業でも、求められているのは『浦島太郎のような上司』。私もまったく同感です」と松崎氏。

☆浦島太郎のような上司では、世の中はサバイブできないのでは?と思うのは私がへんかな。浦島太郎は、世の中がたいへんなときには、竜宮城で遊んでいたわけです。気づいたら高齢化していたわけです。

☆そこへいくときび団子という元手でステイクホルダーと協力して資本を増やしてしまう桃太郎のほうが、市場の原理にあっているのではないだろうか。桃太郎が苦労するのでは、浦島太郎型のスタッフがいるときだろう。大事な時にはいないのだから。

☆このアナロジーではうつは救われないのでは?と思うのは間違いだろうか・・・。

小浜市は新道徳教育のあり方を模索?

2008-02-16 10:32:36 | Weblog
オバマ氏を小浜市が勝手に応援 国内外のメディア殺到(朝日新聞) - goo ニュースによると、

米大統領選の熾烈(しれつ)な民主党候補指名争いでバラク・オバマ氏への支持が広がるにつれ、福井県小浜(おばま)市が興奮に包まれている。「オ・バ・マ」という音つながりを頼りに、地元有志は応援する会を立ち上げ、同市も「必勝だるま」を贈ることを決めた。海外からの注目も集め、AP(米)やロイター(英)など大手通信社やABCテレビ(米)が取材し、ニューヨーク・タイムズ(米)も18日に現地入りする予定だ。

☆村上市長も

「オバマ氏の宣伝効果は抜群。外国からの観光客も増えてくれれば」と話し、オバマ氏の出身地・ハワイ・ホノルルとの友好都市提携も目指す

☆と言っているという。この気転はなかなかすてきではないですか。友好都市外交を、経済ベースで結びつける。しかもそれは国際政治がからんでいる。当然平和外交。そのためにはグローバルな公共性ルールが必要になる。

☆32,000人弱の小浜市が、市全体をあげてやれば、平和を経済という道が開かれる。この公共性のルールは、このような経済関係、つまり市場の原理をささえるものでなければならない。こういう意味での道徳教育であれば、公立学校でも十分考えられる。ただし、これの教材はグローバルな公共性ルールでありながら、ローカルなのだ。ローカルな市の独自の動きがあってグローバルな公共性に結びつくという活動のないところで、教科書だけ先行していても、たぶん教えている教師が実感できない。実感できないとき、抽象的偏った価値観を押し付けることになる。

☆道徳の画一的教科書は、それゆえ困難である。


モバイル生態系の時代

2008-02-15 08:29:42 | Weblog
『恋空』を読む(3):果たしてそれは「脊髄反射」的なのか――「操作ログ的リアリズム」の読解(WIRED VISION) - goo ニュース

濱野智史の「情報環境研究ノート」は、おもしろい。モバイルというメディアが、認知行動学的視点(濱野さん自身はそんな静的視点は関係ないというでしょうが^^;)から描かれていて、これからの子どもの生活の創り方の変化がわかる。

☆その変化のよしあしは、また別問題で、まずはどう変容するのかを見定めたいが、私たち団塊・断層世代は、実際にはモバイル生態系をフィールドワークしていないから、よくわからないのである。

☆それにしても、膨大な論考なので、どこかで時間を見つけなくては・・・。


道徳教育は公立学校では無理なのダ

2008-02-13 11:52:01 | 文化・芸術
産経新聞(2月9日8時3分配信)によると、

小中学の道徳教育の教材について文部科学省は8日、平成21年度にも国庫補助制度を導入する方針を固めた。中央教育審議会の教育振興基本計画特別部会で示した。財政支援が明示されたのは初めて。・・・道徳の授業は他教科への流用も目立ち、教員の熱意に温度差がある。規・・・中教審は教科化の是非について言及せず見送ったものの、充実策は必要だと強調した。文科省では、中長期的な教育振興基本計画に国庫補助制を盛り込むことで予算措置を担保。道徳充実策の要として理解を得たい構えだ。・・・ただ、文科省の道徳教育推進状況調査(平成15年度)によると、副読本を学校備え付けにしている小中学校は半数弱で、普及はしていない。このため、同省は、普及を促進しようと、財政措置を取ることにした。

☆私立学校なら宗教教育ができるから、道徳は教えられるが、公立学校はそれは最初から無理なのダ。

☆どこの学校に、「法と法律と道徳」の違いを教えることができる教師がいるというのだろう。教えることはできる。しかし、それはあくまでも一つの価値観。公立学校は、偏った価値観を教えることはできないのが日本の法システム。

☆法律的に罪に問われなくても、良心の呵責を感じる人もいれば、まったく感じない人もいる。そこの境をどうやって教えるというのか。

☆教えられることは、コミュニケーションによって、たがいの価値観の違いを知り、尊重し合い、闘争や葛藤を回避しようという行為ぐらいだ。それが道徳だというのなら、それはそれでよいが、常識からかい離している、こんなメタ道徳は、ますます教師は理解しようとしないと思うがいかに。