教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

国立の教職大学院の募集低調

2008-01-27 12:19:12 | 文化・芸術
日経新聞(2008年2月27日)によると、

政府の教育再生策の目玉の一つとして今春開校する国立の教職大学院15校のうち7校で志願者数が入学定員に達しなかったことが26日、分かった。二次募集の実施を決める大学も相次いでおり、全体としての人気も低調。大学生の就職が好調なことや学費を払ってまで進学するメリットが不明確なことなどが背景にあるとみられる。

☆そういう中で、東京学芸大の教職大学院は好調らしい。学芸大のこのコースでは、

教育活動を「プロデュース(創成)する」という以下のような基本的視点に立って編成しています。○ 学校内外の協働とプロデュースのサイクル<課題(再)発見-開発-運用-点検評価>を実際に体験できるようなプログラムとなっている。○ 教育方法としては、フィールドワーク、ワークショップ、ロールプレイング、ケース・スタディ、ケース・カンファレンス、キャリアカウンセリング等のアクティブな学習スタイルを大胆に取り入れる。

☆とありますが、<課題(再)発見-開発-運用-点検評価>はPDCAサイクルをAPDCに並べ替えた(もともと循環しているのでどこから始まっても良いのだけれど)だけで、一般企業でもやっていること。

☆「フィールドワーク、ワークショップ、ロールプレイング、ケース・スタディ、ケース・カンファレンス、キャリアカウンセリング等のアクティブな学習スタイル」というのはプロジェクト・ベース学習で、中高生がやっていることだ。

☆つまり新しいことは何もない。それはメリットを感じないだろうな。ただ、学芸大は、おもしろい教授陣をそろえているらしい。教師はやはり人だから、そういう場合は募集もうまくいくということか。もし教授陣が従来型の教育を経験してきたとしたら、そもそも上記の2つのポイントは教授できないだろう。実効性は薄い。

☆やはり人材不足は否めない。

和田中「夜スペ」始まる

2008-01-27 08:25:07 | 文化・芸術
産経新聞(1月26日22時12分配信)によると、

賛否のなかで26日スタートした進学塾講師による東京都杉並区立和田中学校の「夜スペシャル(夜スペ)」。塾のない地方はどうするのか。教員や教育委員会関係者からは保護者からの要求の多様化や地方と都市部の意識の差を指摘する声もある。

☆賛成派は、

埼玉県教育委員長で明星大教授の高橋史朗氏は「(都教委が指摘した)(1)費用の負担(2)学校主催(3)教員が教材づくりを手伝う-の3点の問題さえなければ、学校の壁を破る新しい試みだ。学校の閉鎖的体質を改めるいい機会で、保護者と連携して子供のために何をすべきかを優先すべきだ」と話す。

☆異論派は、

東京都品川区教育委員長の細川珠生さんは「学力向上は学校の大きな目的のひとつ。それを放棄するのは学校の権威を下げる。恒常的に塾に頼るのは教員の力を伸ばすことにならない」と指摘する。

☆現実派は、

すでに塾講師と連携している東京都江東区の小山正見・八名川小学校校長は「かつては両親が教えたりして予復習の習慣があったが、共働きが増え、家庭での学習習慣が身に付けづらい状況。社会総がかりの教育が大切といわれるなか、外部の民間活力を導入するのは良いことではないか」という。

☆すべて一理ある。しかし、経済派がいないな。実は、問題点はたった一つ。「夜スペ」の前提は塾であるSAPIXとの連携。SAPIXはCSRやブランド戦略、あるいはPRぐらいかな、いずれにしても利益をあげることよりも投資だぐらいは経営陣は考えているだろう。

☆資本がある塾がやろうと思えばできるだろうが、そうでない塾は連携できない。藤原校長の和田中はOKだが、ほかの中学はどうだろう。

☆藤原さんなら、それはまた違う発想をだせばよいというだろう。教育に市場の原理を導入することにもなるだろうとも。しかし、そうなるとSAPIXのブランド戦略は失敗する。他のアイディアのOne of Themになるからだ。結局和田中の歯車になって終わる。企業はそれに耐えられない。市場の原理が働けばそうなる。そのときSAPIXは退却するだろう。企業は、自治体の統廃合の時間より、意志決定速いはず。

☆では誰が引き継ぐのか。結局保護者・・・。ならはじめからやればよいのでは。もっともこういう流れを作ったことが大事なのだろう。ゆさぶることには変わりがないのだから。