☆MONEYzine(2月28日9時30分配信)によると、
現在、資産3000万ドル(約36億円)以上有する超富裕層(スーパーリッチ)は、世界中に9万人近くいるといわれ、その実態はベールに包まれているが、そのうちの16%を日本人が占めていて、増加傾向にあるという。富裕層の定義を「年収5000万円以上、金融資産1億円以上」としてみると、日本では150万人近く存在している。2000年代初めの大不況時を経て、いつのまにか世界でも有数の富裕層国家になったのである。
☆そして、この富裕層の中にニューリッチという方々が誕生しているという。
格差社会が広がる一方で、ここ数年で、ストックオプションで何十億という資産を手にする若者が急増している。ハデにやり過ぎて捕まったホリエモンが顕著な例だが、彼らは「ニューリッチ」と呼ばれる新しい富裕層だ。中でも、ニューリッチの女性たちのお金の使いっぷりはすごい。
☆どんなふうにすごいのか?
億ションを丸ごと一棟購入したという、外資系でバリバリ働く強者女性や、ほかにも、「週に一度は、フィリピンの家政婦さんにきてもらいます。そうじゃないと、そうじや洗濯をするヒマがなくて」と、MBAを有して大手コンサルティング会社で働くなど、仕事はバリバリ、プライベートはゆったりと優雅な生活をおくっている女性たちが増えている。以前は、家政婦というと、大御殿に住んでいる大富豪と相場が決まっていたが、最近では珍しくなくなってきている。巻頭の営業マン氏が驚くように、とにかく、服装や言葉遣いがごく普通の何の変哲もない若者が億万長者だということがよくあるのだ。
☆団塊・断層世代としては、まったくついていけない話である。ところで、そういうスーパーリッチ、ニューリッチの人の最大の関心事は何か?
そんな彼らがいちばん力を入れるのが、先ほども述べたが子女教育、つまり自分の子どもにいかによい教育を受けさせるかということだ。お金で買えるものはすべて手に入れた世界の富裕層にとって、お金で買えないもの、それが教育なのである。したがって、彼らは最高の教育を施すために、世界の伝統のある名門校に入学させる。想像を絶するようなすばらしい環境で、豊かな教育が受けられるのだから、劣悪な人間が育つわけはない。やはり豊かさはしっかり受け継がれていくのである。教育は、次世代の資産形成に確実に寄与する投資ともいえるのだ。
☆なるほどなるほど、もっともこれは世界の富豪に共通の動きだが、日本というエリアではどうだろう。
日本のニューリッチたちはどのようにとらえているのであろう。もともと日本は教育程度が高く、それが国際競争力につながっているとされてきた。それは義務教育をはじめとする、公的な教育機関が整っていたからだ。昭和40年代までは、東京都千代田区の番町小学校から麹町中学、そして都立日比谷高校から東大法学部というのが、典型的なエリートコースとされていた。しかし、1967年( 昭和42年) に、革新知事として有名な美濃部亮吉が都知事に就任して、学区制を導入したことで、いくら成績がよくても希望校に入れず、都立の名門校は崩壊していくのである。それに輪をかけたのが、「ゆとり教育」の実施だった。・・・増えたのは教師のゆとりだけで、公立校はほとんど全滅状態。土曜日に制服を着て登校するのは、いまや私立校の生徒だけである。教育に敏感な富裕層は、公立校を完全に見捨てて、初等・中等教育から私立校へ行かせ、東大をトップとした一流大学を目指すことになる。ちなみに、彼らのいう「一流大学」とは、東大、京大、阪大を含む旧帝大グループと早慶上智、せいぜいMARCH (明治、青山学院、立教、中央、法政 )までで、関西では関関同立( 関西学院、関大、同志社、立命館) が加わるくらいである。
☆日本のニューリッチも「現在甘受している豊かさを末代まで相続していくには、教育が不可欠だと理解している」ようだ。もっとも、日本の私立中高一貫校を選択する家庭はニューリッチばかりではない。ニューリッチを含むスーパーリッチは、私学選択者の中の30%ぐらいだろう。だから、みんながみんな大学進学実績という投資のためにのみ選択しているわけではないが・・・。
☆しかし、現実に横たわる真の問題は、このエッセイの著者橘尚人さんの次の論調だ。
一方、ゆとり教育で生み出された学力最低、思考力ゼロの生徒たちは、「元気のよいバカ」として社会に送り出される。ロクに字も読めない彼らは、正社員はおろか、派遣社員にもなれず、パート社員か日雇い派遣、ワーキングプアの予備軍として登録されるのである。
☆また、橘さんは、1995年に日経連(日本経済団体連合会)が出した報告書「新時代の『日本的経営』―挑戦すべき方向とその具体策」に注目して、次のような考えを提示している。この報告書では、労働者を3つのグループに分けている。
1. 長期蓄積能力活用型グループ将来的に会社を背負う幹部候補エリートたち
2. 高度専門能力活用型グループ高度な専門知識を有する技術系職人集団
3. 雇用柔軟型グループ短期単純作業など会社の都合に応じて柔軟に雇用できる者たち
☆さて、橘さんは、この分類をうけて、
「1.」と「2.」は会社経営の根幹を成すグループなので、時間と費用をかけて育てる必要があるが、「3.」は専門の知識は必要なく、いつでも「使い捨て」できる労働力として認識されている。仕事中でも決して名前で呼ばれることはなく、せいぜい“派遣さん”とか“人材さん”とかいわれる、顔のない労働者たちである。実はこれからの日本の国際競争力を保っていくためには、この3のグループをいかに臨機応変に活用していくかが問われるのである。そのためには、まさに「3.」の雇用柔軟型には、ゆとり教育から生まれた「 元気のよいバカ」が、そのニーズに見事に応えているのである。学力は最低でも文句はいわず、低賃金で従順に働く彼らは、企業にとっては「救世主」になる。・・・ゆとり教育を実施ことによって、・・・教育格差は社会的な格差を固定化する大きな要因になっていく。あるひと握りの人たちだけが豊かになり、その他すべてが下流に落ち込んでいく・・・。
☆しかし、もう一つすごい問題がある。「2.」の部分は、BRICsの人材に侵食される恐れがあることだ。実際にインドのIT人材は、ハードは日本人が得意だが、ソフトは私たちに任せてと言っているほど。
☆島国日本人から漂白日本人へ。ワーキングプアとミドル階層のさすらいが始まる。ニート、フリーター現象は、その予兆なのかもしれない。
関連記事)新学習指導要領案 主要教科の授業1割増 -予想される世の中の動き(3)-
現在、資産3000万ドル(約36億円)以上有する超富裕層(スーパーリッチ)は、世界中に9万人近くいるといわれ、その実態はベールに包まれているが、そのうちの16%を日本人が占めていて、増加傾向にあるという。富裕層の定義を「年収5000万円以上、金融資産1億円以上」としてみると、日本では150万人近く存在している。2000年代初めの大不況時を経て、いつのまにか世界でも有数の富裕層国家になったのである。
☆そして、この富裕層の中にニューリッチという方々が誕生しているという。
格差社会が広がる一方で、ここ数年で、ストックオプションで何十億という資産を手にする若者が急増している。ハデにやり過ぎて捕まったホリエモンが顕著な例だが、彼らは「ニューリッチ」と呼ばれる新しい富裕層だ。中でも、ニューリッチの女性たちのお金の使いっぷりはすごい。
☆どんなふうにすごいのか?
億ションを丸ごと一棟購入したという、外資系でバリバリ働く強者女性や、ほかにも、「週に一度は、フィリピンの家政婦さんにきてもらいます。そうじゃないと、そうじや洗濯をするヒマがなくて」と、MBAを有して大手コンサルティング会社で働くなど、仕事はバリバリ、プライベートはゆったりと優雅な生活をおくっている女性たちが増えている。以前は、家政婦というと、大御殿に住んでいる大富豪と相場が決まっていたが、最近では珍しくなくなってきている。巻頭の営業マン氏が驚くように、とにかく、服装や言葉遣いがごく普通の何の変哲もない若者が億万長者だということがよくあるのだ。
☆団塊・断層世代としては、まったくついていけない話である。ところで、そういうスーパーリッチ、ニューリッチの人の最大の関心事は何か?
そんな彼らがいちばん力を入れるのが、先ほども述べたが子女教育、つまり自分の子どもにいかによい教育を受けさせるかということだ。お金で買えるものはすべて手に入れた世界の富裕層にとって、お金で買えないもの、それが教育なのである。したがって、彼らは最高の教育を施すために、世界の伝統のある名門校に入学させる。想像を絶するようなすばらしい環境で、豊かな教育が受けられるのだから、劣悪な人間が育つわけはない。やはり豊かさはしっかり受け継がれていくのである。教育は、次世代の資産形成に確実に寄与する投資ともいえるのだ。
☆なるほどなるほど、もっともこれは世界の富豪に共通の動きだが、日本というエリアではどうだろう。
日本のニューリッチたちはどのようにとらえているのであろう。もともと日本は教育程度が高く、それが国際競争力につながっているとされてきた。それは義務教育をはじめとする、公的な教育機関が整っていたからだ。昭和40年代までは、東京都千代田区の番町小学校から麹町中学、そして都立日比谷高校から東大法学部というのが、典型的なエリートコースとされていた。しかし、1967年( 昭和42年) に、革新知事として有名な美濃部亮吉が都知事に就任して、学区制を導入したことで、いくら成績がよくても希望校に入れず、都立の名門校は崩壊していくのである。それに輪をかけたのが、「ゆとり教育」の実施だった。・・・増えたのは教師のゆとりだけで、公立校はほとんど全滅状態。土曜日に制服を着て登校するのは、いまや私立校の生徒だけである。教育に敏感な富裕層は、公立校を完全に見捨てて、初等・中等教育から私立校へ行かせ、東大をトップとした一流大学を目指すことになる。ちなみに、彼らのいう「一流大学」とは、東大、京大、阪大を含む旧帝大グループと早慶上智、せいぜいMARCH (明治、青山学院、立教、中央、法政 )までで、関西では関関同立( 関西学院、関大、同志社、立命館) が加わるくらいである。
☆日本のニューリッチも「現在甘受している豊かさを末代まで相続していくには、教育が不可欠だと理解している」ようだ。もっとも、日本の私立中高一貫校を選択する家庭はニューリッチばかりではない。ニューリッチを含むスーパーリッチは、私学選択者の中の30%ぐらいだろう。だから、みんながみんな大学進学実績という投資のためにのみ選択しているわけではないが・・・。
☆しかし、現実に横たわる真の問題は、このエッセイの著者橘尚人さんの次の論調だ。
一方、ゆとり教育で生み出された学力最低、思考力ゼロの生徒たちは、「元気のよいバカ」として社会に送り出される。ロクに字も読めない彼らは、正社員はおろか、派遣社員にもなれず、パート社員か日雇い派遣、ワーキングプアの予備軍として登録されるのである。
☆また、橘さんは、1995年に日経連(日本経済団体連合会)が出した報告書「新時代の『日本的経営』―挑戦すべき方向とその具体策」に注目して、次のような考えを提示している。この報告書では、労働者を3つのグループに分けている。
1. 長期蓄積能力活用型グループ将来的に会社を背負う幹部候補エリートたち
2. 高度専門能力活用型グループ高度な専門知識を有する技術系職人集団
3. 雇用柔軟型グループ短期単純作業など会社の都合に応じて柔軟に雇用できる者たち
☆さて、橘さんは、この分類をうけて、
「1.」と「2.」は会社経営の根幹を成すグループなので、時間と費用をかけて育てる必要があるが、「3.」は専門の知識は必要なく、いつでも「使い捨て」できる労働力として認識されている。仕事中でも決して名前で呼ばれることはなく、せいぜい“派遣さん”とか“人材さん”とかいわれる、顔のない労働者たちである。実はこれからの日本の国際競争力を保っていくためには、この3のグループをいかに臨機応変に活用していくかが問われるのである。そのためには、まさに「3.」の雇用柔軟型には、ゆとり教育から生まれた「 元気のよいバカ」が、そのニーズに見事に応えているのである。学力は最低でも文句はいわず、低賃金で従順に働く彼らは、企業にとっては「救世主」になる。・・・ゆとり教育を実施ことによって、・・・教育格差は社会的な格差を固定化する大きな要因になっていく。あるひと握りの人たちだけが豊かになり、その他すべてが下流に落ち込んでいく・・・。
☆しかし、もう一つすごい問題がある。「2.」の部分は、BRICsの人材に侵食される恐れがあることだ。実際にインドのIT人材は、ハードは日本人が得意だが、ソフトは私たちに任せてと言っているほど。
☆島国日本人から漂白日本人へ。ワーキングプアとミドル階層のさすらいが始まる。ニート、フリーター現象は、その予兆なのかもしれない。
関連記事)新学習指導要領案 主要教科の授業1割増 -予想される世の中の動き(3)-