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教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

ニューリッチVSゆとり教育犠牲者??

2008-03-02 07:31:40 | Weblog
MONEYzine(2月28日9時30分配信)によると、

現在、資産3000万ドル(約36億円)以上有する超富裕層(スーパーリッチ)は、世界中に9万人近くいるといわれ、その実態はベールに包まれているが、そのうちの16%を日本人が占めていて、増加傾向にあるという。富裕層の定義を「年収5000万円以上、金融資産1億円以上」としてみると、日本では150万人近く存在している。2000年代初めの大不況時を経て、いつのまにか世界でも有数の富裕層国家になったのである。

☆そして、この富裕層の中にニューリッチという方々が誕生しているという。

格差社会が広がる一方で、ここ数年で、ストックオプションで何十億という資産を手にする若者が急増している。ハデにやり過ぎて捕まったホリエモンが顕著な例だが、彼らは「ニューリッチ」と呼ばれる新しい富裕層だ。中でも、ニューリッチの女性たちのお金の使いっぷりはすごい。

☆どんなふうにすごいのか?

億ションを丸ごと一棟購入したという、外資系でバリバリ働く強者女性や、ほかにも、「週に一度は、フィリピンの家政婦さんにきてもらいます。そうじゃないと、そうじや洗濯をするヒマがなくて」と、MBAを有して大手コンサルティング会社で働くなど、仕事はバリバリ、プライベートはゆったりと優雅な生活をおくっている女性たちが増えている。以前は、家政婦というと、大御殿に住んでいる大富豪と相場が決まっていたが、最近では珍しくなくなってきている。巻頭の営業マン氏が驚くように、とにかく、服装や言葉遣いがごく普通の何の変哲もない若者が億万長者だということがよくあるのだ。

☆団塊・断層世代としては、まったくついていけない話である。ところで、そういうスーパーリッチ、ニューリッチの人の最大の関心事は何か?

そんな彼らがいちばん力を入れるのが、先ほども述べたが子女教育、つまり自分の子どもにいかによい教育を受けさせるかということだ。お金で買えるものはすべて手に入れた世界の富裕層にとって、お金で買えないもの、それが教育なのである。したがって、彼らは最高の教育を施すために、世界の伝統のある名門校に入学させる。想像を絶するようなすばらしい環境で、豊かな教育が受けられるのだから、劣悪な人間が育つわけはない。やはり豊かさはしっかり受け継がれていくのである。教育は、次世代の資産形成に確実に寄与する投資ともいえるのだ。

☆なるほどなるほど、もっともこれは世界の富豪に共通の動きだが、日本というエリアではどうだろう。

日本のニューリッチたちはどのようにとらえているのであろう。もともと日本は教育程度が高く、それが国際競争力につながっているとされてきた。それは義務教育をはじめとする、公的な教育機関が整っていたからだ。昭和40年代までは、東京都千代田区の番町小学校から麹町中学、そして都立日比谷高校から東大法学部というのが、典型的なエリートコースとされていた。しかし、1967年( 昭和42年) に、革新知事として有名な美濃部亮吉が都知事に就任して、学区制を導入したことで、いくら成績がよくても希望校に入れず、都立の名門校は崩壊していくのである。それに輪をかけたのが、「ゆとり教育」の実施だった。・・・増えたのは教師のゆとりだけで、公立校はほとんど全滅状態。土曜日に制服を着て登校するのは、いまや私立校の生徒だけである。教育に敏感な富裕層は、公立校を完全に見捨てて、初等・中等教育から私立校へ行かせ、東大をトップとした一流大学を目指すことになる。ちなみに、彼らのいう「一流大学」とは、東大、京大、阪大を含む旧帝大グループと早慶上智、せいぜいMARCH (明治、青山学院、立教、中央、法政 )までで、関西では関関同立( 関西学院、関大、同志社、立命館) が加わるくらいである。

☆日本のニューリッチも「現在甘受している豊かさを末代まで相続していくには、教育が不可欠だと理解している」ようだ。もっとも、日本の私立中高一貫校を選択する家庭はニューリッチばかりではない。ニューリッチを含むスーパーリッチは、私学選択者の中の30%ぐらいだろう。だから、みんながみんな大学進学実績という投資のためにのみ選択しているわけではないが・・・。

☆しかし、現実に横たわる真の問題は、このエッセイの著者橘尚人さんの次の論調だ。

一方、ゆとり教育で生み出された学力最低、思考力ゼロの生徒たちは、「元気のよいバカ」として社会に送り出される。ロクに字も読めない彼らは、正社員はおろか、派遣社員にもなれず、パート社員か日雇い派遣、ワーキングプアの予備軍として登録されるのである。

☆また、橘さんは、1995年に日経連(日本経済団体連合会)が出した報告書「新時代の『日本的経営』―挑戦すべき方向とその具体策」に注目して、次のような考えを提示している。この報告書では、労働者を3つのグループに分けている。

1. 長期蓄積能力活用型グループ将来的に会社を背負う幹部候補エリートたち
2. 高度専門能力活用型グループ高度な専門知識を有する技術系職人集団
3. 雇用柔軟型グループ短期単純作業など会社の都合に応じて柔軟に雇用できる者たち

☆さて、橘さんは、この分類をうけて、

「1.」と「2.」は会社経営の根幹を成すグループなので、時間と費用をかけて育てる必要があるが、「3.」は専門の知識は必要なく、いつでも「使い捨て」できる労働力として認識されている。仕事中でも決して名前で呼ばれることはなく、せいぜい“派遣さん”とか“人材さん”とかいわれる、顔のない労働者たちである。実はこれからの日本の国際競争力を保っていくためには、この3のグループをいかに臨機応変に活用していくかが問われるのである。そのためには、まさに「3.」の雇用柔軟型には、ゆとり教育から生まれた「 元気のよいバカ」が、そのニーズに見事に応えているのである。学力は最低でも文句はいわず、低賃金で従順に働く彼らは、企業にとっては「救世主」になる。・・・ゆとり教育を実施ことによって、・・・教育格差は社会的な格差を固定化する大きな要因になっていく。あるひと握りの人たちだけが豊かになり、その他すべてが下流に落ち込んでいく・・・。

☆しかし、もう一つすごい問題がある。「2.」の部分は、BRICsの人材に侵食される恐れがあることだ。実際にインドのIT人材は、ハードは日本人が得意だが、ソフトは私たちに任せてと言っているほど。

☆島国日本人から漂白日本人へ。ワーキングプアとミドル階層のさすらいが始まる。ニート、フリーター現象は、その予兆なのかもしれない。

関連記事)新学習指導要領案 主要教科の授業1割増 -予想される世の中の動き(3)-

小浜市は新道徳教育のあり方を模索?

2008-02-16 10:32:36 | Weblog
オバマ氏を小浜市が勝手に応援 国内外のメディア殺到(朝日新聞) - goo ニュースによると、

米大統領選の熾烈(しれつ)な民主党候補指名争いでバラク・オバマ氏への支持が広がるにつれ、福井県小浜(おばま)市が興奮に包まれている。「オ・バ・マ」という音つながりを頼りに、地元有志は応援する会を立ち上げ、同市も「必勝だるま」を贈ることを決めた。海外からの注目も集め、AP(米)やロイター(英)など大手通信社やABCテレビ(米)が取材し、ニューヨーク・タイムズ(米)も18日に現地入りする予定だ。

☆村上市長も

「オバマ氏の宣伝効果は抜群。外国からの観光客も増えてくれれば」と話し、オバマ氏の出身地・ハワイ・ホノルルとの友好都市提携も目指す

☆と言っているという。この気転はなかなかすてきではないですか。友好都市外交を、経済ベースで結びつける。しかもそれは国際政治がからんでいる。当然平和外交。そのためにはグローバルな公共性ルールが必要になる。

☆32,000人弱の小浜市が、市全体をあげてやれば、平和を経済という道が開かれる。この公共性のルールは、このような経済関係、つまり市場の原理をささえるものでなければならない。こういう意味での道徳教育であれば、公立学校でも十分考えられる。ただし、これの教材はグローバルな公共性ルールでありながら、ローカルなのだ。ローカルな市の独自の動きがあってグローバルな公共性に結びつくという活動のないところで、教科書だけ先行していても、たぶん教えている教師が実感できない。実感できないとき、抽象的偏った価値観を押し付けることになる。

☆道徳の画一的教科書は、それゆえ困難である。


モバイル生態系の時代

2008-02-15 08:29:42 | Weblog
『恋空』を読む(3):果たしてそれは「脊髄反射」的なのか――「操作ログ的リアリズム」の読解(WIRED VISION) - goo ニュース

濱野智史の「情報環境研究ノート」は、おもしろい。モバイルというメディアが、認知行動学的視点(濱野さん自身はそんな静的視点は関係ないというでしょうが^^;)から描かれていて、これからの子どもの生活の創り方の変化がわかる。

☆その変化のよしあしは、また別問題で、まずはどう変容するのかを見定めたいが、私たち団塊・断層世代は、実際にはモバイル生態系をフィールドワークしていないから、よくわからないのである。

☆それにしても、膨大な論考なので、どこかで時間を見つけなくては・・・。


受験生にナポめし?パス飯?

2008-02-13 06:22:52 | Weblog
goo注目ワード ピックアップ・・・ナポめし(goo注目ワード) - goo ニュースによると、

甘いケチャップと赤いウィンナーの誘惑。そのチープな味わいは、パスタの本場イタリアには存在しない、日本のオリジナル。ときどき無性に食べたくなる懐かしの昭和の味、ナポリタン。そのナポリタンが、同じくケチャップ味のチキンライスとドッキング。ナポめしなる新メニューとして、誕生しました。・・・言うなればそば飯のパスタ版。食感の異なる麺とご飯とがケチャップと絡むことで生み出される、美味しさの相乗効果。・・・お子さんのお弁当に、受験生のお夜食に、ささっと作れるナポめしはいかが?

☆受験生の夜食には、ちょっとヘビーな気もするが、横断的あるいは複眼的知性を味覚が刺激することはまちがいない。脳を刺激するのはカレーだとも言われているが、カレー味のパスタ飯、略称「パス飯」ってのはどうだろう。合格=パスという縁起のよい食であると思うのだが。

大学入試センター試験の結果公表される

2008-02-08 06:28:52 | Weblog
読売新聞(2月7日22時54分配信)によると、

(大学入試センター試験の)受験者数は前年より6885人少ない50万4387人だった。受験率は92・82%(前年92・40%)だった。平均点は「数学1・数学A」「現代社会」などで上がり、「生物1」「理科総合A」などで下がった。英語のリスニング(聞き取り)テストの平均点は、50点満点で29・45点で過去最低だった。

☆詳しくは大学入試センター発表の「センター試験情報」を見るとよい。

☆受験者は、2003年以降減り続けている。少子化とAO入試や推薦入試のチャンスが増えているからだろう。だから、AO入試や推薦入試の生徒も「センター試験」を受けることを義務付けるなどの動きが見え隠れするのだろう。

☆それにしても、平均点が下がったとか上がったとかいう言説は何を意味するのか。生徒の学力が下がったとか上がったとかいうことだろうか。それもあるだろうが、テスト作成側の問題もある。同じ問題同じ条件で行わない限り、平均点だけ見ていても実は何もわからない。

☆それに得意科目を選択できるという話だが、今年のセンター試験で、世界史Bの平均点は58.98、日本史Bは64.27、地理Bは66.36。地理Bで受けた方が有利ということにならないのかな。大学入試も運不運ということか・・・。

パイカリはリアルな話だった

2008-01-13 13:07:34 | Weblog
沈没船の財宝めぐり対立=米国の探査会社とスペイン政府 (時事通信) - goo ニュースによると、

17世紀から18世紀ころの商船とみられる沈没船から引き揚げられた金銀財宝の所有権をめぐり、発見した米国の沈没船探査会社オデッセイ・マリン・エクスプロレーション(フロリダ州)とスペイン政府の対立が続いている。米連邦裁判所は10日、問題解決に向け、発見場所や財宝に関する詳細なデータを2週間以内にスペイン政府に提供するよう同社に命じた。・・・引き揚げられた財宝は、沈没船からの回収物としては過去最大級の5億ドル(約550億円)相当の価値があると推定されている。

☆パイカリこと“Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl”の映画は痛快丸かじりで娯楽的要素満載なんだけれど、呪いの部分が背景に押しやられているだけで、本当はすさまじい恐怖の世界。

☆それは金を巡る争奪戦の人間の欲のヘドロの広がり・・・。カントの言う「金の力」とはあくまでも「商業精神」に支えられているし、その精神の背景には、人間の欲ではなく、カントという哲学者がお控えにっているのだが・・・。

全国学力テストで正答70%目標設定

2008-01-12 10:44:59 | Weblog
琉球新報(1月12日10時1分配信)によると、

県三役と部長級でつくる県振興推進委員会が11日、県庁で開かれ、沖縄振興計画の行動計画に位置付けられる11分野の第3次計画(2008―11年度)の素案を了承した。このうち県は国の同意が必要な法定4分野を除いた7分野を公表。教育推進計画では、07年度の全国学力テストの結果が全国最下位だったことを受け、初めて具体的な目標値を定めた。平均正答率が小学生65・1%、中学生が60・1%だったのを、11年度には「小中学生とも70%」と掲げている。法定の4分野は24日、沖縄振興審議会の終了後に発表される。

☆県教委はランク付けのためではないと語る。そうだと思う。目標設定は学びの方向付けのためにはたいへん効果的だし、使い方によってはたんなるランク付けの危険性を回避できる。

☆その使い方なのだが、正答率だけではなく、どの習熟度レベルをどれくらい解決できるようになるかという二重の視点で設定するとよいのだ。「習熟度レベル×正答率」。OECD/PISAはそのようになっているが、まだ日本ではそれを活用しきれていない。

☆OECD/PISAの学びの構造にまで踏み込んで研究している国際教育研究家の岡部憲治さんの「世界標準の読解力 OECD・PISAメソッドに学べ」は必読だし、全国学力テストの分析も必読。

パナソニックブランド戦略と米国大統領選と教育と

2008-01-10 22:31:20 | Weblog
パナソニックに社名変更、「ナショナル」廃止へ…松下電器(読売新聞) - goo ニュースによると、

松下電器産業が、10月に社名をデジタル家電などのブランドと同じ「パナソニック」に変更することがわかった。冷蔵庫など国内の白物家電に使っている「ナショナル」ブランドも2009年中に廃止し、「パナソニック」に一本化する。

☆松下→ナショナル→パナソニックへとグローバルブランド戦略へ収束。米国大統領選は、まだ民主党に政権が代わったというわけではないが、とにかく変化、アメリカ初というインパクトを欲している。

☆アメリカは変わらなければならない。大統領選はそこに焦点が絞られる。しかし、今のところ日本は変わらない。だから米国大統領選で対日戦略が話題にのぼらない。

☆しかし、日本の国は変わらなくても、民は変わる、個は変わる。松下幸之助の名前が消え、幸之助翁が名付けしたナショナルも消える。白物家電の秋葉原はとっくにアキバ文化の系譜に路線変更しているが、これでますます拍車がかかる。

☆日本の若者の英語力によって、米国大統領選とともに、日本の経済も政治も法律も変わる。松下電器の先見性の意味は歴史的転機となるだろう。人材資本のあり方も当然変わるだろう。



2008年もアメリカの大衆の時代

2008-01-02 19:43:09 | Weblog
2008年のアメリカ 大衆主義が決定権握る――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュースによると、「大衆受けするポピュリストな経済政策が、右でも左でも高く支持されている」背後にあるものは、

アンチ貿易・アンチ大企業的な反感が積み上がっている背景にある米国の経済情勢は、まあまあ好調なのだ。中流家庭の生活レベルの停滞、製造業の衰退、経済的ストレス、医療保険費や大学教育費の高騰に対する懸念が積み上がっている一方で、金利・インフレ率・失業率はいずれも低いし、株価は好調だし、(つい最近までは)総生産高も順調に伸びていたのだ。

☆選挙に勝つには、ポピュリストな経済政策以外にない。選挙は数で決まる。アメリカの大衆票は絶対的だろう。

☆だからポピュリストな経済政策の背景にあるものは、上記の書き方では十分な説明になっていない。

☆たとえアンチ貿易・アンチ大企業的な反感が積み上がっている背景があろうとも、大衆票のために米国の経済情勢をまあまあ好調にしておかねばならないし、中流家庭の生活レベルの停滞、製造業の衰退、経済的ストレス、医療保険費や大学教育費の高騰に対する懸念が積み上がっていても、金利・インフレ率・失業率はいずれも低くおさえねばならない。株価も。そうそう総生産高も順調に伸ばさねば。そのためには化石燃料資源の派遣とそれを活用させる海外企業に投資をすることが肝要だという政府の判断といったところだろう。

☆大衆にとって気に入らない事態が起こっていても、大事なのはfeel-goodな雰囲気を作り出すことなのだ。アメリカの大衆市場主義は、市場の原理が実は阻害されている状況なのだ。アメリカの中での淘汰は許されない。アメリカ以外の国では許される。アメリカ福音主義が、進化論を否定してもおかしくないのは、これだけの民主主義国家で、プロテスタンティズムが前面にでるのは、この進化論を否定するためにあるのかもしれない。アメリカ国内で大事なことは自然淘汰はない。みなハッピーで、ウィン・ウィンでなければならない。

☆そんなのは幻想であることはわかっているが、そうなのだ。アメリカの大衆の時代、それは大衆プロテスタンティズムの時代でもある。一年を通じての宗教行事は、まさにその象徴的な経済サイクルである。

ロシアの後継者作戦

2007-12-30 05:34:34 | Weblog
「プーチン首相」は官僚出身の大統領をどうするつもりか――フィナンシャル・タイムズ(1)(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュースによると、

まだまだテレビカメラの前ではぎこちないメドベージェフ氏は、憲法の規定で来年任期切れとなるプーチン大統領を、新首相として政権に迎える方針を表明。プーチン氏はただちにこれを了承しなかったが、10月の時点ですでにその意志があることを明らかにしている。

☆すでに多くのコメンテーターが言っているように、2008年以降もプーチン・ロシアがひき続く。民主主義的な見方からすれば、実質危ういが、形式手続き的には民主主義的である。つまり、

モスクワのマスコミが「後継者作戦」と呼ぶこの一連の動きは、ロシアの民主主義の本質をむきだしにする。ロシアの民主主義とは、クレムリン内のごくごく少数の権力者たちが集って決めたことを、形式的にお墨付きを与える手続きに過ぎなくなってしまったのだ。

☆今回の「後継者作戦」は、様々な見方や感じ方が、国内外にあるようだが、おそらく民主主義の前に、大企業ロシアのベクトル作りに関心が高いだろう。大企業としてのロシアだから、グローバリゼーションの中で、CSRが市場経済で問われる。民主主義国家としての役割を果たすことがCSRの一要素だとしたら、大企業ロシアは、それを取り入れ、パフォーマンスを高める。それだけだろう。国家間の政治闘争は、ロシアはベルリンの壁崩壊後、捨てた。国家内の政治権力闘争は、大企業内の権力争いに過ぎない。

ロシアのヘッジファンド、ファロス・フィナンシャル・グループは投資家たちに対して、メドベージェフ氏の大統領就任は「プーチン政権の功績を明確に固める一助となり、西側から見たロシアの地位を復活させることとなるだろう」とコメントを発表。「一党支配の国であることに変わりはないが、今のロシアはむしろ、日本やメキシコ、スウェーデンなど、同じような政治調整の時期を経ていった国々の系譜に連なるといっていい」としている。

☆ロシアの地位の復活という見方は正しいし、ファイナンシャリストにとっても、ロシアの安定は大事だ。しかし、その安定は政治安定ではない。経済の安定だ。結果政治が安定するというだけ。

☆だから、日本やメキシコ、スウェーデンの系譜だと語っているのだろう。ただし、日本はこの系譜にはないのではないか。国家がグローバル市場の原理の中で、企業として行動することはなかったし、これからもない。

☆2008年、それでは困るのだけれど・・・。欧米も、BRICsも国家の根本は商業精神。やはり「プロテスタンティズムと資本主義」が先鋭化していくのに、日本は逆走してどこに行こうとしているのか。