今週の東洋経済は力の入った特集が多く高く評価できる。
「高齢者が狙われるのは豊かで身辺にも資産を置いてるから、という単純な理由」
と先週に書いた通りの内容もあったが、他かなり頑張って取材している。
汚い仕事に手を染める探偵や名簿屋の存在、
詐欺の手口がコロナにより仮想通貨から転じたこと、
反社が詐欺集団を脅して配下としていること、
ルフィ等と関わったら絶縁、との話も出ているが
反社もカネの出所は聞かないからズルズルになっていること。
一筋縄ではいかない相手だから家族を守るため自衛の工夫も必要だ。。
なおエントリーのサブタイトルは「東日本大震災 置き去りにされた米兵被曝」より。
この記事を福島原発事故で一人も死んでいないなどとほざく自民党議員らに突き付けた方がよい。
そういう連中は日本人としてだけでなく、人間として間違っている。
他には今後に期待大の記事も発見した。
「大企業であるほど経営は緩く、不祥事が起きる」
と喝破する金田氏の新連載で、言わば大企業病と言うか、
大企業の経営以上の問題となぜ不祥事が起きるのかを
これから発表してゆくようだ。
最近の関電、九電の違法行為を見れば「まさにその通り」で、
これから内情が暴かれてゆくことに大いに期待したい。
他の注目点は冒頭の「経済を見る目」。
慶大の太田教授が人的資本の向上について取り上げている。
矢張り故・小池和男氏の業績は偉大で製造業での研究は進んでいるが、
対照的に非製造業だとスキルの測定が上手くいかないとのことだ。
ただ、付加価値生産性でスキルを測定できると仮定すれば
転職で賃金が上昇しているかどうかを分野毎に分析すれば
蓋然性の高い計量分析が可能ではなかろうか?
(そして当該数値を見れば、非製造業での人的資本の改善は乏しい筈)
経済学研究者各位の奮起と工夫を望みたい。
「刻々とロシアの劣勢が明らかになってきているので
氏がウクライナに話を戻す頃にはもうロシア軍が大打撃を受けているだろう」
ところで佐藤優氏の連載は、矢張りウクライナから離れた方が質が高い。
故・猪木議員が議員外交においてどのような活躍をしていたか
非常に興味深い内容であるので一読をお勧めしたい。
ただ氏は根っからのヒューミントの人間だと感じた。
ダイヤモンドでのコラムでは情勢分析はいかにも苦手に見える。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンドは得意の農業特集、中々力が入っているし
現下の状況に農協の責任が大きいのも事実。
但し農作物の輸出に力を入れなければならない理由は
明らかに少子高齢化で国内市場は縮小しているからであるし、
アジアの実習生を安く使って儲ける農業に未来などない。
(待遇の良い優良農家や事業者もあるがそうでない輩が多い)
「「儲からない農業」も沢山あるという事実を認めて欲しい」
と先週書いたが、特集を通読してもその考えは1ミリも変わらない。
ランキングにも出ている風来のような高付加価値農業が増えるのが理想であるが、
現実は必ずしもそうはなっていない。
佐藤優氏の新連載は、以前に氏が書いた内容と食い違いある。
以前は岸田首相のウクライナ訪問を強く諌めていたが
今回は事前にクレムリンに通告したためロシアの反応は抑制的とか。
この分析の方が妥当であるが、最初からそう書かずに途中で言を翻したようだ。
ただ明らかに失策なのは、ロシアが東部二州を占領したら停戦も、とした点。
以前に氏は東部が要塞化されているので容易に攻略できないと書いていて齟齬があるし、
その前にウクライナ南部の戦線崩壊によりロシアが停戦に追い込まれる可能性が高い。
(事実、ロシアはウクライナ南部占領地の住民に避難を呼びかけ始めている)
氏はロマノフ朝が崩壊した第一次世界大戦をよく調べていないのではないか。
◇ ◇ ◇
エコノミスト合併号の世界経済特集は三誌の中で最も本格派。
親日国インドネシアはかつて華人系に経済を牛耳られていたため
オランダ人とともに華人を追い出した日本の好感度が高いとか。
親日で有名な台湾と同じく、歴史的な背景があるのだなあと改めて痛感した。
群を抜いた鋭さを感じたのは83頁の台湾情勢分析で、
ウクライナ侵攻でのロシアの大苦戦を見て中共は
台湾海峡を渡るハイリスクな軍事侵攻よりも
台湾総統選挙で親中の国民党政権を打ち立ててから
抗議運動の過激化に乗じ数年前の香港のように
武装警察を大勢投入して表向きは治安維持を名目とし、
日米欧の介入を防ぐのではないかとの見立てが紹介されている。
軍事専門家かと思えばピクテの市川氏の寄稿で、
ソースは恐らく軍事シンクタンク各種リポートだと思うが、
非常に質が高いので熟読をお薦めしたい。
市岡繁男氏の連載は今週も斬れ味が素晴らしい。
昨年末の段階で米銀の債券含み損は約84兆円で自己資本の三割に迫り、
REITが一年で七割下落というとんでもない事態である。
ただ氏は金融恐慌もあり得るとしているが、今のところ個人的には
あのヴォルカー時代と似た状況になり泥濘がひたすら続く市況と見ている。
◇ ◇ ◇ ◇
次週の注目はダイヤモンド、農業特集と同じく必ず売れる学校特集。
▽ エヴィデンスのない私学ブームこそ、都市圏の子育て世帯を苦しくする第一の要因では。。
▽ いつもタイトル大袈裟なメイン特集より、トヨタのEV戦略の方が気になる東洋経済
あれ? 「特大号」ということはダイヤモンドのみ合併号なのか?
「高齢者が狙われるのは豊かで身辺にも資産を置いてるから、という単純な理由」
と先週に書いた通りの内容もあったが、他かなり頑張って取材している。
汚い仕事に手を染める探偵や名簿屋の存在、
詐欺の手口がコロナにより仮想通貨から転じたこと、
反社が詐欺集団を脅して配下としていること、
ルフィ等と関わったら絶縁、との話も出ているが
反社もカネの出所は聞かないからズルズルになっていること。
一筋縄ではいかない相手だから家族を守るため自衛の工夫も必要だ。。
なおエントリーのサブタイトルは「東日本大震災 置き去りにされた米兵被曝」より。
この記事を福島原発事故で一人も死んでいないなどとほざく自民党議員らに突き付けた方がよい。
そういう連中は日本人としてだけでなく、人間として間違っている。
他には今後に期待大の記事も発見した。
「大企業であるほど経営は緩く、不祥事が起きる」
と喝破する金田氏の新連載で、言わば大企業病と言うか、
大企業の経営以上の問題となぜ不祥事が起きるのかを
これから発表してゆくようだ。
最近の関電、九電の違法行為を見れば「まさにその通り」で、
これから内情が暴かれてゆくことに大いに期待したい。
他の注目点は冒頭の「経済を見る目」。
慶大の太田教授が人的資本の向上について取り上げている。
矢張り故・小池和男氏の業績は偉大で製造業での研究は進んでいるが、
対照的に非製造業だとスキルの測定が上手くいかないとのことだ。
ただ、付加価値生産性でスキルを測定できると仮定すれば
転職で賃金が上昇しているかどうかを分野毎に分析すれば
蓋然性の高い計量分析が可能ではなかろうか?
(そして当該数値を見れば、非製造業での人的資本の改善は乏しい筈)
経済学研究者各位の奮起と工夫を望みたい。
『週刊東洋経済』2023年4/8号(狙われる高齢者) |
「刻々とロシアの劣勢が明らかになってきているので
氏がウクライナに話を戻す頃にはもうロシア軍が大打撃を受けているだろう」
ところで佐藤優氏の連載は、矢張りウクライナから離れた方が質が高い。
故・猪木議員が議員外交においてどのような活躍をしていたか
非常に興味深い内容であるので一読をお勧めしたい。
ただ氏は根っからのヒューミントの人間だと感じた。
ダイヤモンドでのコラムでは情勢分析はいかにも苦手に見える。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンドは得意の農業特集、中々力が入っているし
現下の状況に農協の責任が大きいのも事実。
但し農作物の輸出に力を入れなければならない理由は
明らかに少子高齢化で国内市場は縮小しているからであるし、
アジアの実習生を安く使って儲ける農業に未来などない。
(待遇の良い優良農家や事業者もあるがそうでない輩が多い)
「「儲からない農業」も沢山あるという事実を認めて欲しい」
と先週書いたが、特集を通読してもその考えは1ミリも変わらない。
ランキングにも出ている風来のような高付加価値農業が増えるのが理想であるが、
現実は必ずしもそうはなっていない。
『週刊ダイヤモンド』2023年4/8号 (儲かる農業2023) |
佐藤優氏の新連載は、以前に氏が書いた内容と食い違いある。
以前は岸田首相のウクライナ訪問を強く諌めていたが
今回は事前にクレムリンに通告したためロシアの反応は抑制的とか。
この分析の方が妥当であるが、最初からそう書かずに途中で言を翻したようだ。
ただ明らかに失策なのは、ロシアが東部二州を占領したら停戦も、とした点。
以前に氏は東部が要塞化されているので容易に攻略できないと書いていて齟齬があるし、
その前にウクライナ南部の戦線崩壊によりロシアが停戦に追い込まれる可能性が高い。
(事実、ロシアはウクライナ南部占領地の住民に避難を呼びかけ始めている)
氏はロマノフ朝が崩壊した第一次世界大戦をよく調べていないのではないか。
◇ ◇ ◇
エコノミスト合併号の世界経済特集は三誌の中で最も本格派。
親日国インドネシアはかつて華人系に経済を牛耳られていたため
オランダ人とともに華人を追い出した日本の好感度が高いとか。
親日で有名な台湾と同じく、歴史的な背景があるのだなあと改めて痛感した。
群を抜いた鋭さを感じたのは83頁の台湾情勢分析で、
ウクライナ侵攻でのロシアの大苦戦を見て中共は
台湾海峡を渡るハイリスクな軍事侵攻よりも
台湾総統選挙で親中の国民党政権を打ち立ててから
抗議運動の過激化に乗じ数年前の香港のように
武装警察を大勢投入して表向きは治安維持を名目とし、
日米欧の介入を防ぐのではないかとの見立てが紹介されている。
軍事専門家かと思えばピクテの市川氏の寄稿で、
ソースは恐らく軍事シンクタンク各種リポートだと思うが、
非常に質が高いので熟読をお薦めしたい。
『週刊エコノミスト』2023年 4/11・18合併号【特集:世界経済入門2023】 |
市岡繁男氏の連載は今週も斬れ味が素晴らしい。
昨年末の段階で米銀の債券含み損は約84兆円で自己資本の三割に迫り、
REITが一年で七割下落というとんでもない事態である。
ただ氏は金融恐慌もあり得るとしているが、今のところ個人的には
あのヴォルカー時代と似た状況になり泥濘がひたすら続く市況と見ている。
◇ ◇ ◇ ◇
次週の注目はダイヤモンド、農業特集と同じく必ず売れる学校特集。
▽ エヴィデンスのない私学ブームこそ、都市圏の子育て世帯を苦しくする第一の要因では。。
『週刊ダイヤモンド』2023年4/15・22合併号 (中高一貫校&塾&小学校) |
▽ いつもタイトル大袈裟なメイン特集より、トヨタのEV戦略の方が気になる東洋経済
『週刊東洋経済』2023/4/15特大号 (保険動乱) |
あれ? 「特大号」ということはダイヤモンドのみ合併号なのか?